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姿絵販売!

 ルルさんがニヤリと妖艶な笑みを浮かべた。 何々っ⁉


「前衛組は今日もダンジョンね、メイリアちゃんは研究だし……コーディを呼びましょう」


 ルルさんと1階へ降りて少し待つと、ディアブロのお店に行っていたコーディさんがバックヤードの転移陣へ転移して来た。


「姿絵が出来上がったと聞いて!」


「そうよ、コーディも設置を手伝ってちょうだい」


 設置? と思ったらルルさんが亜空間から額縁をいくつも取り出した。


「これに姿絵を入れて店前に飾るわ、魔王様に頼まれてドルムさん達に作ってもらっておいたの」


「店前ですか?」


「そう、外壁。 魔王様の指示よ」


 ええ……せっかくのお城の雰囲気が台無しだよぅ! 額縁は豪華だけど。


「この金の額縁がナンバー3のでしょうか?」


「そうよコーディ、一番豪華なものがナンバーワン、銀はナンバー4以下ね。 毎月姿絵を入れ替えるらしいわ」


 ほうほう、よく見ると額縁にはナンバーの数字が彫られている。 「内勤」と書かれているのはバレットさん専用だ。 さすがに純金じゃなくてメッキかな?


「なるほど! これなら人気ナイトが一目瞭然(いちもくりょうぜん)ですね! 看板に載れなかったナイトも通行人に見られますし宣伝効果抜群です!」


 コーディさんが興奮している。 そっか、そういうことなんだ。


 そしてルルさんの指示によって3人で入口付近の外壁へ姿絵を入れた額縁を飾った。 もちろん結界の魔道具付きだ。


 飾り終わってみると、意外とイケメンの姿絵が並んでいるのは壮観だった。

 ちょっと(ぞく)な感じが出ちゃったけど、まぁ(フタ)を開ければ「ちんちん魔法!」とかって言葉も飛び交う飲み屋さんだしいいのかな?

 今まで外から見ただけじゃなんのお店かよくわからなかったけどこれなら通行人に伝わるかも!


「ルルさん、リサさんの絵が綺麗だからか意外といいですね!」


「私も最初聞いたときはちょっと……って思ったけど、さすがイケメンね、悪くないわ。 街の人は通りすがりにイケメンの姿絵を見るだけでうちのお店が気になってしょうがなくなるわ!」


「ルルさんこのプレートは……」


 そんな事を話していたら魔王様が店前に転移なさって来た。 ぎゃぴっ! 街中での転移はしないんじゃなかったのぉ⁉


「おー! 出来たな、みんなサンキュー! やっぱ元祖と言ったらこれだよな~!」


 ……何が元祖なんだろう。


「魔王様魔王様、このプレートに『姿絵は1000ディルで店内販売しております。 姿絵の購入だけでも可能です、お気軽にお申し付けください』って書いてあるんですけど……」


「おう! 宣伝だからな! 誰にでも売るぞ! んでそのまま初回で飲ませる!」


 ひぇ! 怖いよぅ!


「さすが魔王様ね……」


「魔王様は頼もしいです……」


 ルルさんとコーディさんもちょっと引いてる! 魔王様、もはや商人が本業になってない⁉ よくもこんな恐ろしい手法を次々と……。




 そして営業前ミーティングが始まった。 ナイトさん達はみんな入り口前の姿絵を見たのかキラキラと目を輝かせている。


「よし、始めるぞー! みんなもう姿絵は見たな? 看板に()れなかったやつもちゃんと宣伝してやるから安心しろ!

 んで、通行人でも買えるようにするから、出迎えの挨拶は気合い入れろよ! そのまま初回コースへGOだ!

 姿絵は1枚1000ディルで売る。 物販はほぼ原価だから売上バックは無いけど宣伝になるから売れよ!

 ヘルプを頑張れば客がついでに買って周りに宣伝してくれるだろうからヘルプも頑張れ! チャンスはどこにでもある! 根性だ!」


 おお、ナイトさん達のやる気がみなぎっている……魔王様すごい。


「あとな、仕立て屋パウリーの看板も作成する。 お前らがパウリーんとこの服を着た姿絵の看板が出来るって訳だ! これは今月ナンバー10に入ったやつ10人描くから今月も気合い入れろよ?」


 あ、パウリーさん看板を作ることにしたんだ。 そして生きてたんだ、よかった。


「うおおおおおお! 俺も看板に載れるのか⁉」

「マジか代表スゲーな……」

「代表、俺らのために……っ!」


 わぁ! ナイトさんの魔王様への忠誠心が爆上がりだ! ふふふ……もうこの街はもらったようなものだ!


「あ、今月の二つ名はナンバー5までやるぞ! 以上! 頑張れよーははは!」


 ほとんどのナイトさんが戦慄(せんりつ)した。 ……うん、それはいらない。




 さぁ営業開始! みんな姿絵を買ってくれるかな?


 ピポン!


「「「おかえりなさいませプリンセス‼」」」


「えっ⁉ 全員集合⁉」

「きゃあ! 姿絵の人達が!」


 戸惑ってるから初めてのお客様だ。 バレットさんの声が聞こえる。


「いらっしゃいませプリンセス、初めてでいらっしゃいますか?」


「あ、あの……姿絵が欲しくて……」


「はい、販売しております。 ここでは何ですからお席でゆっくりといかがでしょうか? 2時間飲み放題で1000ディルでございます」


「えっ⁉ 安、えっ⁉」


「ささ、本物のナイトとお酒を(たしな)みながら見比べてみては?」


「本人と一緒に飲めるの⁉」


「左様でございます。 お客様ご来店でーーーす!」


「「「ッシャッセーーーイ‼」」」


 ああっ! バレットさんが有無を言わさず来店扱いにした! 熟年の技恐るべし!




 その後もわさわさとお客様が来店した。 看板効果もあって今日も大盛況だ!


「今日もお客さんすごいねニーナ! 私も姿絵買おうかな!」


「好きにしたらいいと思うよ……。 そういえば貴族のお客様が戻って来たね」


「あ、確かに看板が出来てから初回の貴族が増えたね! さっすが魔王様の戦略!」


「おう! 一時はどうなるかと思ったけどよかったぜー。 一部の貴族にしか影響無かったみたいだな」


 クラリゼッタさんの屋敷に物盗りが入った件だ。 魔族との関わりを探られてるって所まで噂になったのか知らないけど……。


「ミアくんっ! いつの間に姿絵が出来たの⁉」


 あ、ルナさんが来てる。 今日がローテの日なんだな。


「今日ニャ! 買っていくかニャ?」


「待って⁉ 売ってるの⁉ 鑑賞用と保存用と布教用で3枚ちょうだい! あっ! アンナとディアナの分も合わせて9枚! ところでいくら⁉」


 ル、ルナさんの食い付きが半端ない……予想出来たけど。 金額を確認する前に買うのを決めてるのが()()()がすごい……。


「全員分の姿絵をくださる? バレット様のは3枚よ!」


 あ、姿絵は貴族にも好評みたいだ。


 ん? バレットさん?


 チラリとVIPを覗いたら……あああっ! バレットさん指名のマーガレットさんが復活してるぅ!

 鑑賞用と保存用と布教用で3枚だ! 絶対!




 そしてその後も姿絵は売れまくった。

 コーディさんがてんてこ舞いだったので私も久しぶりにキャッシャーのお仕事をした。


 看板のアレンさんルフランさん、珍しい獣人のミアさんの3人がよく売れるのはわかるけど、「お母さんが好きそうだから」って理由で意外とバレットさんの販売数もすごかった……。

 お母さん……連れてきてね是非。




ホスクラの元祖ともいえる〇本店では店前にホストの宣材写真が飾られていたんですよねぇ。

でも去年移転してビルの4階になったから無くなったかも。

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[良い点] お母さん買いますよ!! バレットさんの姿絵買いますよ!!!
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