結界の魔道具が発動!
ついに101話! 新章開始!
ブクマ評価感想ありがとうございます
(∩´∀`)∩
ダイニングにみんな集まって来た!
ビー! ビー! ビー! ビー!
ルルさんが手首のブレスレットを見ている。 それが受信機なのかな?
「これはアレン君よ!」
えええ! アレンさんに何が⁉ クラリゼッタさんにお金沢山使わせちゃったから逆恨みっ⁉
「魔王様に念話するわ! ラウンツちゃん、指揮を!」
ルルさんの声でラウンツさんの顔が引き締まる。
「今考えるわっ! みんなスグに戦闘服に着替えてっ!」
その言葉はラウンツさんにお返ししたい!
事件発生でツッコめる雰囲気じゃないから誰も何も言ってないけど!
……ラウンツさんのベビードール姿でみんなが深刻なダメージを受けてるよぅ!
でもそれどころじゃないっ! 部屋に戻って急いで着替えだ!
ダイニングに戻ると最後にルルさんがやって来て、ブレスレットには丸くて平べったい懐中時計のようなものが取り付けられていた。
「これで方向と距離がわかるわ」
丸いのも魔道具のようで、赤い点と距離が示されていた。 なるほど、これを持ち歩きながら向かえばたどり着ける!
「足の速いアーニャちゃんがまず向かってっ! ニーナちゃんは〈影移動〉でアーニャちゃんと一緒に行動出来るわよネッ⁉」
「オッケーだよ!」
「えっ⁉ わ、私も⁉」
「アタシとレイスターちゃんも行くわっ! ただ、おおっびらに行って逆にアタシ達が何か疑われると困るから隠密行動でお願いネッ!
ルルさんコーディちゃんはここで魔王様を待って!
メイリアちゃんは念の為ディアブロに転移してあっちの魔族と連携して待機してちょうだいっ!
では行動開始! ルルさんパーティー念話を展開してっ!」
「わかったわ!」
「はいっ! ここはお任せください!」
「……了解……」
「ニーナ! 行くよ!」
ルルさんからブレスレットを受け取ったアーニャに促された。
「えっ⁉ さ、作戦はぁ⁉」
「移動しながらだ! ニーナ行くぞ!」
アーニャとお兄ちゃんが1階へ駆け出した! とっさに〈影移動〉でアーニャの影へ。 ラウンツさんも着いてきてる。
ディメンションの入口を出て住宅街へ向かう! アレンさん……無事でありますように!
とある長屋、木造二階建ての集合住宅の近くまで来た。 魔力感知したからわかる、長屋の一階の一部屋がアレンさんのお家だ。
『 住宅街へ着いたよ! 結界が発動してるのは多分アレンくんのお家かな⁉ 今私達は建物の陰に隠れてるよ! 周りは特に異常無し!』
アーニャがパーティー念話で報告した。
『 こちらは魔王様がいらっしゃったわ』
『 そのままラウンツが指揮を取れ』
ディメンションに魔王様が来てくれた!
『 了解よっ! ニーナちゃん、〈影移動〉で中の様子をうかがえるかしらっ?』
『 ひゃ、ひゃいっ!』
とっさに返事をしてしまった。 ひぇ! そういう訓練はしてないよぅ!
でもコッソリは私の得意分野だ! アレンさんのためにが、頑張ろう!
夜なら〈影移動〉で移動しやすい。 影の中に潜り込んでスルスルと建物内に移動する。
はぁ! ドキドキするよぅ! 頭を出した瞬間に殺られたらどうしよう!
いくつもの魔力が集まっているあたりに近付き、感覚で天井位の高さへ移動。
影に隠れたままでも近くの音は聞こえるけどさすがに視界は真っ暗だ。
……布擦れの音しか聞こえないので影から目だけひょっこり出してみる。
あ! アレンさん! と弟と妹さん達だ。 よかった、無事だ。
敷きつめられたお布団の真ん中にみんなで固まって、半円球状の結界の中に入っている。 結界は透明だけど、暗闇で薄っすら光っているから分かった。
……小さい子はアレンさんにぎゅっとしがみついている。
『 アレンさんと家族が結界の中にいました! 無事です! 他に誰もいません! 魔力感知したから大丈夫です!』
『 よかったわっ! アタシ達3人はまだ建物の陰に待機してるわぁ。 ニーナちゃんは〈影移動〉で隠れながら護衛して、結界を張ったままのアレンちゃん達を外へ出してっ!』
『 はいっ!』
天井から小声でアレンさんに話しかける。
「ア、アレンさん大丈夫ですか? た、助けに来たんですけど……」
「⁉ ニーナさんですか……?」
「はい、姿を現すのでビックリしないでくださいね」
〈影移動〉を解除っと……。
「ぎゃぴぃっ‼」
ドスン! と天井から落ちた!
うわーーーん! 解除する場所間違えた! カッコ悪いよぅ! 痛いよぅ!
「だ、大丈夫ですか?」
アレンさんを助けに来たのに心配されてしまった。 しくしく。
「だ、大丈夫です……。 とりあえず逃げますか? あ、あれ? どこに逃げるんだろう?」
念話で聞いたらとりあえずディメンションへとの事だった。
「ディメンションへ……」
「ありがとうございます。 みんな怖がっていたので場所を移動出来るだけでも助かります」
弟さんが3人、妹さんは2人、4歳位から私と同じ位の歳の子がいる。
アレンさんに何があったか聞いた。
「物盗りじゃないでしょうか。 みんな寝てから僕も布団に入っていたのですが、夜遅くまで寝れない体質になってしまって頭は起きてたんです。
物盗りが入って来た瞬間にみんなを抱き寄せて魔道具を作動させたら逃げていきました」
「そうだったんですね……」
念話で報告する。
「みんな、このお姉ちゃんは魔族だけど同じお店の仲間だよ。 着替えだけ持って僕のお店に行くよ」
同じお店の仲間……。
「いいまぞくだ!」
「おにいちゃんのおみせいきたい!」
「兄ちゃん、俺怖い」
いい魔族……かぁ。 でも怖がってる子の方が普通だ。
「大丈夫だよ。 魔族がいっぱいいるけどみんな僕達を助けに来てくれたんだ。 魔族は強いから逆に安心だよ」
「……うん、わかった……」
「では行きましょう、ラウンツさん達も物陰から護衛してくれます。 私は影に隠れますがすぐ側にいますので安心して下さい」
〈影移動〉で床へ隠れる。
「すごい! きえちゃった!」
「まほーすげー!」
……何で人族を助けに来たんだっけ?
魔王様は人族を心で支配するんだよね。 だから魔王様を尊敬してその下で働くアレンさんは魔王様の配下、そしてそのアレンさんのお客様と家族も魔王様の配下。
うん、これで魔族念願の人界征服が叶う!
アレンさんを助けるのは配下を助けるだけ!
でもアレンさんは仲間って────あ、ドアの音。 入口を出たみたいだから護衛しなきゃ!
『 イクわよっ!』
アレンさん家族以外は隠れながらみんなでディメンションまで駆けた!
「魔王様っ! アレンちゃんの家族を連れて来たわっ!」
「お疲れ! アレン、話を聞かせてくれ」
「まおー!」
「まおーだ!」
「魔王⁉ 兄ちゃん! 怖い!」
「大丈夫だよ、僕は毎日代表と会ってるよ?」
「あ、そっか……殺されない?」
「あはは! だったらとっくに僕は死んでるよ! とりあえず大人しくしてて?」
「うん……」
「みんな! メイリアちゃんから念話が!」
ルルさんの声にみんな振り向く。
「冒険者用の魔道具もひとつ鳴っているって!
場所が分からないらしいからきっと横流しされた魔道具よ! 街中で作動している可能性が高いわ!」
えっ⁉ 何で横流しされた魔道具がっ⁉




