表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異文化こみにけーしょん  作者: 作・夏井めろん 画・ピロコン
エピソード3 挑戦! 美少女コンテスト!
95/112

その22 マミのピンチと玲奈の賭け


 たくさんの観客が集まる中、美少女コンテストは始まった。


 校庭に作られた仮設ステージに、出場者が1人づつ登場し自己アピールしていく。


 審査は最後にまとめて行われる予定だった。


「マミちゃん、まだかな。まだかな」


 観客の中に混じり、もみじが弾んだ声を上げる。


「落ち着きなさいよ。マミの順番はこの後なんだから」


「いやっふー♪ 楽しんでるねー♪」


 そんな声と共に、2人の前に飛んできたのは背中から羽根を生やしたミニミニサイズの男の子だった。


「もしかして……ピクシル?」


「もしかしなくてもピクシルだぜ♪ いえーい!」


 キュレーネーピクシーという種族のモンスターで、一定の周期事に性転換するという奇妙な特性を持っている。


 美少女コンテストに出てもらおうと、玲奈がスカウトしてしまったのは苦い思い出だ。


 ハチドリのように羽ばたき空中で制止しているピクシルを、玲奈はまじまじと観察する。


「本当に男の子になってるのね」


「もちろんだぜ♪ イエーイ♪」


 ピクシルは楽しそうに辺りを飛び回った。


「あっ、玲奈ちゃん。ピクシル君。マミちゃんが出てきたよ!」


 もみじが指差す。


 ステージに、ぎこちない足取りでマミが上がってきていた。


「得葉曽高校のナイチンゲール事、マミちゃんだ!」


 司会者の声に、観客の生徒達が歓声を上げる。


「マミちゃ~ん!」


「この間はありがと~」


「応援してるね~」


「あわわわわ、ありがとうございます!」


 マミはペコペコと頭を下げている。


「皆さんに一言どうぞ」


 マイクを渡さたマミが、一生懸命に声を出す。


「あ、あの、私はこんなだから……投票とかしてくれなくてもいいんです。でも、後でお友達になってくれれば」


「何て奥ゆかしいんだ!」


「僕はマミちゃんに入れるよ~!」


 観客席からまた声が上がった。


「すごいよ! マミちゃん大人気だよ! これはもう、優勝間違いなしだね!」


「もみじ、さすがにそれは期待し過ぎよ。だけど」


(流れは悪くないわね)


 と玲奈は思った。


 マミの強みは、何と言っても女性票を得ている事だ。う〇こモンスターの治療の際には、たくさんの女子生徒の手当てもしている。


 そして審査員にも思いの他、女子生徒や女性教師の姿があるのも嬉しい誤算だった。


(特別賞とか考えていたけれど、ひょっとしたら3位ぐらいになれるかも。すごく上手くいったら、準優勝なんかもありえるかもしれないわ)


 アピールタイムを終え、マミが最後の挨拶をした時だった。


「ちょっと待ちなさい!」


 会場に声が響く。見ると、観客席の上でサキュが羽根を羽ばたかせ浮いていた。


「マミちゃ~ん☆ せっかくの美少女のコンテストなんだから☆ 本当のあなたの姿を見てもらなさい☆ アタシが手伝ってあげるから☆ キャハ☆」



 サキュが右手を上げた。


「タイフーンカッター!」


 サキュの目の前に、竜巻が現れた。その竜巻がマミを襲う。


 ただの竜巻ではなかった。風の刃を内包した恐ろしい竜巻だった。


「きゃああああ」


 一瞬にしてマミの着用していたナースエプロンが切り刻まれた。続いて、包帯までもが風の刃の餌食となる。


 細かく刻まれ、羽毛のように舞い上がる包帯の残骸。いくら分厚く巻かれていようが、このままではマミの体を覆う包帯はなくなってしまう。


「女の子にヒドい事するなんて許さないぞ!」


 ピクシルが飛び上がり、サキュに突進した。


挿絵(By みてみん)


「えいっ! えいっ! えいっ!」


「うるさいハエね」


 サキュはペシンとピクシルをはたき落とす。


「それにアタシをどうこうしたって無駄よ。タイフーンカッターは一度発動したら、しばらくは消えないんだから☆」


「ああああ大変だよ玲奈ちゃん! このままじゃマミちゃんが裸になっちゃうよ! いやーんだよ!」


「いやーんになるかどうかは分からないけれどね」


 冷静な玲奈には、サキュの目的が何なのかは分かっていた。


(マミの、ミイラの姿を見せて観客を幻滅させようって思っているのね)


 玲奈は猛烈に腹が立った。


(私の風の魔法であの竜巻を打ち消す?)


 そんな事を考えるも、見る限りサキュの使った魔法はかなり高度なものだ。いまだちゃんと魔法の勉強はしていない玲奈が簡単に打ち消せるものではないかもしれない。


(どうするの? このままじゃ本当にマミのミイラの体が皆の目に)


 その瞬間、玲奈の頭にある光景が思い浮かんだ。


(無理かもしれない。上手くいっても逆効果かもしれない。だけど、私にできる事はこれぐらいよ)


 玲奈は、精一杯の魔力を込め。


 その魔法を発動したのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ