表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異文化こみにけーしょん  作者: 作・夏井めろん 画・ピロコン
SPコラボ企画 悪夢のデビルリス君
52/114

その12 ウサミヴィーナスでブモー!

 デビルリス君が手にした写真には、何やらウサギの姿の天使らしきものが写っている。


「天界のアイドル、ウサミヴィーナスちゃんの生写真だよー。しかも、天界湖に遊びに行った時に隠し撮りした水着写真なんだよねー」


「え? 何? 何が起こってるの?」


 意味が分からずキョトンとするもみじ。


「状況から察するに、あの性悪リスはウサミヴィーナスって天使の水着写真で、牛を懐柔しようとしてるみたいね」


「バカなことを」


 時定が人差し指でメガネを軽く押し上げた。


「相手は正真正銘の天使だ。そんな下らない誘惑に負けるはずがない」


「会長の言うとおりだよ。ウシエル様は清らかな天使なんだから」


 もみじも分かったような口ぶりで言う。


(清らかな天使ってところは正直? だけど、さすがにあんな写真でどうこうならないでしょ)


 そう思う玲奈だったけど……。


「ブモ~~~~~~~~! デビルリス君、それ売ってえええええ!」


 ウシエルが鼻息を荒くし、叫んだ。


「思いっ切り誘惑に負けてるじゃない!」


 つい叫ばずにはいられない玲奈。


「ウサミヴィーナスちゃんの水着写真、売ってええええええええ! ブモ~~~~~~~!」


 あまりもの鼻息に、地面がえぐれてちょっとしたクレーターができる程だった。


「ええええ、どうしようかなー? 他ならぬいウシエル君の頼みだしー、売ってあげないこともないけどー」


 デビルリス君は、もったいをつけるようにチラリチラリと写真を見せる。


 もうそれだけで、ウシエルの鼻息はさらに上がる、目は血走っていく。


「じゃあ、こうしよ! この写真を僕から取れたら、タダでプレゼントしちゃうよー!」


 デビルリス君がウシエルの背中に飛び乗った。尻尾から取り出したのは釣り竿。写真を釣り針にひっかけて、ウシエルの目の前にぶら下げる。


「行けー、ウシエル君♪」


「ブモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


 ウシエルの暴走が始まった。目の前の写真目がけてもう突進する。もはや彼の目の前には写真しか見えていなかった。


 デビルリス君が巧みに竿を操り、ウシエルを操縦する。ウシエルは校舎の建物をガンガン壊しながら、ひたすら走り続ける。


「ウシエル様! 校舎を壊さないで!」


 もみじが必死に叫ぶも、もはやウシエルの耳には届かない。


 ウサミヴィーナスの際どい写真に、心を奪われてしまっているのだから。


「水着写真で完全に我を失うなんて、どんな困った天使なのよ。これじゃ、ミイラ取りがミイラじゃない!」


 玲奈が怒りを込めて叫ぶ。


「えっ? B組のマミーちゃんがどうしたの?」


「誰よそれ」


「留学生のミイラだよ。ちょっと防腐剤の匂いがするけど、大人しくて優しい女の子だよ」


「……今はいいわ。話がややこしくなるだけだから」


「まさか、こんなことになってしまうなんて。ウシエルを降臨させることを決めた僕の責任だ」


 時定が沈痛な面持ちでうなだれる。


「そんな、会長のせいじゃありませんよ」


「そうね。悪いのはあのエロ肉牛。それから性悪リス。あと、その性悪リスを呼び出した――」


「僕たちですよね」


 不意に後ろを向くと、股間におぼんだけを装着した集団がいた。かなりの変態集団だ。


「きゃー! 変態!」


「もみじ、落ち着いて。召喚クラブの人たちよ」


「あ、よく見れば臼斗くんだ」


 もみじもようやく納得をする。


「それで、こんな事態を引き起こした張本人が私たちに一体なんの用事?」


 大いなる不満を込め、玲奈は尋ねる。


「僕たち、反省したんだ。まさデビルリス君が、こんなにも質が悪いモンスターだったなんて知らなかったら。今更だけど、後悔してる」


 デルデルの呪いをかけられて、裸におぼんだけという恥ずかしい姿にされたのだ。後悔してとうぜんだろう。


「だから、僕たちの力でどうにかしようと考えてる」


「無理じゃないか? デビルリス君の天敵だと思い降臨させた天使ウシエルでさえ、あの調子なんだよ」


 暴走を続けるウシエルを見て、時定がため息をつく。


「いや、方法がないわけじゃなんだ。デビルリス君も、そして天使ウシエルも、頭の上がらない存在がいる。彼ら……いや、彼女たちを呼び出そうと思う」


「女神オカンヴィーナス、そして、大悪魔デビルリス美ママの2匹を」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ