5 蟹地帯は通行止め
次に目を覚ますと、直樹はあぐらをかいてすぐに頭を抱えた。
(何故だっ……! 何故攻撃しただけでダメージを食らわなきゃならないんだ……?)
「俺は雑魚モンスターも倒す事が出来ないのか!? ふざけんな!! クソゲーにも程があるだろ!!」
直樹は頭を抱え、目を閉じたまま叫ぶんだ。
「なんで俺がこんな目に……」
直樹はため息を吐くと、立ち上がった。
「本当に死ぬわけじゃない、大丈夫だ。接触しなきゃダメージはないんだ」
直樹は自分に言い聞かせるように声に出す。
「突破してやるうううううっ!!!」
直樹は走って浜辺を抜け、砂利道を走る。蟹のモンスターと一定の距離をとり、背後にも警戒しながら走る。
「うおおおおおおおおおおっ!!!」
街まであと半分というところまで来た時、それは唐突に現れた。
ボコオッ!
「な、なんだ!?」
地面が割れ、幅5m程の超巨大な蟹モンスターが現れた。
(こいつ、地面に潜ってやがったのか!)
「これ以上無駄に死んでやるものか!」
直樹は右へ90度方向転換して走り、回り込む作戦に出た。
しかし、超巨大な蟹はそれをよしとしなかった。蟹は体を回転させ、遠心力を利用し、巨大なはさみで直樹の体を捉えた。
「ぐああっ!!」
〈damage 50〉
(いってええええ! 本気で死ぬ!)
直樹の視界は揺らぐ。
直樹はまた死んだ。