43 ウルフ討伐依頼
「おっとすみません! 今回はどんなご用でしょうか?」
「ああ、初心者用の依頼をもう一度見せてもらえますか?」
「はい。こちらになります」
直樹は採集系の依頼ではなく、討伐系の依頼を確認した。
「ウルフ、オオカミ討伐……? これは初心者用の依頼なんですか?」
「ええ。昔からこの辺に現れるモンスターで、群れだととても厄介なのですが、滅多に群れる事はありません。単体であれば、初心者でも頑張れば倒せますよ」
「なるほど……因みに、討伐したのかどうかってのはどうやって証明するんです?」
直樹の質問を聞いて、マーティンは一瞬固まり、クスリと笑って答える。
「ああ、それなら証拠品となるアイテムをウルフがドロップしますので、そちらを納品してもらえれば大丈夫ですよ」
(おい、ドロップって言ったぞこいつ。ここまで直球なメタ発言は初めて聞いたぞ。世界の概念どうなってんだ? というかウルフって種族名なのかよ、まんまかよ)
「わかりました。じゃあこれにします」
直樹は一撃で死んでしまうような貧弱ステータスだが、直樹にはアナザーレールという頼もしい仲間がいる。
(神父の爺さんが言うには、アナザーレールのステータスは並大抵のモンスターの5倍から10倍……俺が戦う必要もないんだ)
「それではサインを」
直樹は口角を上げながらサインし、意気揚々と、アナザーレールと共に街の外へ出た。