調理実習で②
直樹はため息を吐いた。
(こいつら小学生かよ。まだこんなことやってんのか?)
直樹が後ろを振り返ろうとした瞬間「あっ」という声が聞こえた。
ビッ
「っぐ!?」
直樹が首に鋭い痛みを感じた直後、直樹の首からボタボタと血が流れた。
「ぐああああああああああーーーっ!!!」
直樹は首を抑えて地面に倒れ込んだ。
「キャアアァァーーーッ!!!」
辺りは悲鳴に包まれる。ふざけていた男子は声にならない声を漏らしている。
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!!!)
僅かな時間で、地面には血の水たまりができた。
(苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいっ!!!!)
直樹の視界は次第に暗くなり、体も冷たくなる。
「あ……あ……」
どこまでも続くような闇の中に引き摺り込まれるような感覚が直樹を襲った。
(暗い……どこまでも暗い。寒い、怖い……嫌だ、死にたくない……誰か……誰か助けてくれ! 誰かっ……!)
山田直樹の意識はそこで途切れた。
潮の香りと冷たい風。ぼんやりする意識の中で、それらを感じ取った。
「ん……あれ……」
体に力を入れて起き上がり、周囲を見渡す。直樹は浜辺にいた。