14 絶望的なマズさ
「オエッ!! ゲホッ、オエエエッ!!」
直樹は雑草を吐き出した。跪き、涙を流す少年の姿がそこにあった。
「うえぇ……なんだこの絶望的なマズさは……想像を絶するとはこの事かっ……!」
直樹は不快感と、今までにない吐き気を味わいながら苦しそうに息をする。
「はぁ……はぁ……っはあ、もう二度とこんな事はしない……ん、これは……」
苦しむ直樹の目に入ってきたのは1本のキノコだった。青い傘に赤い斑点模様がついた、いかにも怪しいキノコ。直樹はそれを見て胸を撫で下ろした。
「食べようと思ったのがあれじゃなくてよかった……空腹マジ怖え」
直樹は落ち着きを取り戻し、立ち上がる。
(今回の件で一つ分かった事は、吐き気による苦しみではダメージ判定がないって事だ。苦しさとダメージはイコールじゃない……この世界ではこれが拷問になるんだろうか)
直樹は雑草をアイテムストレージに入れ、先程見つけた木の場所に移動した。
「……はぁ、腹が減って寝れない……」
風で草木が音を立てて揺れる。その音を聞いて、直樹は顔を上に向ける。
「ゴースト系のモンスターでも出そうな雰囲気だな……」
直樹が顔を正面に戻すと、目を見開いた男の顔が目の前にあった。
「ああああああああああぁぁぁーーー!!!!」
直樹は驚いて頭を木にぶつけてしまった。
〈damage 2〉
(ああああああああああぁぁぁーーー!!)
直樹はまた死んだ。