8 投石なら蟹も
直樹は巨大な蟹がいる方へ走った。
数匹の蟹を発見した直樹は、1匹に向かって石を投げた。
「これなら反動を受けずにダメージが通……」
〈damage 0〉
「……………………」
投石なら蟹も、倒せるわけなかった。
(そうだった。攻撃力1しかなかった)
「うぐっ」
〈damage 10〉
直樹は正面から近づいてきた蟹にワンパンされ、絶命した。
浜辺で生き返った直樹はまたしても起き上がらない。
「もうダメだ……おしまいだ……蹴ってもダメ、石を投げてもダメ、攻撃手段がない……俺はずっとここにいるしかないんだ……」
直樹は完全にやる気を失った。
(俺は何を躍起になっていたんだ……ダメージを受けない限り死ぬことは無い。無駄に死ぬ苦しみを味わうのはもう嫌だ)
直樹は日が暮れるまでずっと横たわっていた。
「寒い……」
直樹は何となくステータスウィンドウを開く。
「レベルはあげられない、どの数値も1。何それおいしいの……?」
直樹はがステータスウィンドウの下側に目線を向けると、小さい三角のアイコンがある事に気付いた。
直樹は体を起こして三角のアイコンに意識を集中する。すると、別の画面が映し出された。
「これは……ステータス以外の情報か?」
〈money 0€〉
「ユーロ……だと……?」
直樹は静かに呻りながら頭を抱えた。
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