魔王と朝の出来事
「よっしゃー!終わった!」
俺できる人!1日で人クラスが一週間かける量を終わらせた!
えらいえらいと自分を褒めてもいいだろう。
だがいつでも水を差す人はいるもので…
「…そんな急いでやらんくでもよかったちゃうん?」
「うっせ。あのメガネにドヤ顔してやる。ついでに仕事を増やしてやる。」
「魔王にしか見えへん。」
「それはない。」
おい、俺が魔王ってどう言う事だ。しめるぞ。社会的に。
「西城様。」
話しかけてきたのは加藤沙耶。最近話している仲だ。
「なんだ?」
「今度私の誕生日パーティがあるのでよければ…?」
あぁパーティへの招待か。たしかに俺を誘えればそこの会社は自慢できるな。
知り合い程度だったら断るが、加藤だったらいいだろう。親父も人脈を広げるためといえばダメとは言わない。
参加すると答えようとして、ふと嫌な予感がした。
「…誰が来る?」
「珍しいですね。いつもはお気になさらないのに。」
軽く目を瞠られた。
確かに普段は気にしないが、最近やけにメガネが絡んでくるからもしかしたら…
「えっと…菫ちゃんと未来ちゃんと佐々木様と…」
タクト!?
ぐわんと振り向くとタクトがいつも通り微笑みを浮かべていた。
お前も参加すんのかよ!
他にも何人か呼ばれたがメガネ…
俺メガネの名前知らなくね?
直接聞くしかないじゃん。
「……メガネはいないよな?」
「…メガネって誰ですか?」
そうだよな。伝わらないよな。
「ほら、昨日俺に書類を押し付けてきた…」
「菫ちゃんの事ですか。」
菫…ついさっき聞いたような…って加藤が言っていたじゃねーか!
「メガネは呼ぶなぁ!」
「え?…それは難しい…ですね。」
えぇ…なんでぇ?と加藤が混乱しているが、メガネが来ると想像するだけで鳥肌が立つ。
マジで、アイツだけはダメだ。
「なんとか「和人やめなて」タクト?」
「流石の和人やても、人様の誕生日パーティの参加者を決める権限はないやろ?それに加藤のパーティや。」
頭が冷静になっているような気がした。
俺メガネと会ってから感情乱れすぎだろ。
「…そう、だな。すまん加藤。俺が決めることではなかったな。」
「いえいえいえ!西条様に謝られるなんて…恐れ多い!」
そこな素直に謝罪受け取ってほしいな!?
「いや、気にするなよ…。取り敢えず参加するから。いつだ?」
「二週間後の日曜日です。大丈夫ですか?」
「ああ。空いている。タクトと一緒に行くから伝えといてくれ。」
「はい!……学園のツートップが来てくださるなんて!」
うん。小規模会社のパーティに参加するなんてほとんどないから。
気分が上がってきていると、真っ赤になった女子に呼ばれた。
「あの、西条様!お時間頂いてもよろしいですか?」
……せっかく上がっていたのに。