第49話 奴隷商
それから俺達は依頼を受け続けた。
ゴブリン退治から薬草採取。オークにコボルト、スライムに大蛇。様々な魔物を倒して言った。
また季節が変わると依頼も変わった。
夏には海鮮系の魔物が多かった気がする。カニとかエビとかスライムとか。あとゴーレムなんかも見たな。魔物のカニは食えたもんじゃなかった。エビは美味しいのに何故なんだろう。
秋は普通だったな。特に変わった依頼はなかった。だが、採取依頼が多かったと思う。キノコの魔物とかたけのことかスライムとか。意外と美味いんだよな、キノコ魔物。
今年の冬はかなり寒かった。凍え死ぬかと思ったが、ミオンがいてくれたおかげで何とかなったが。
依頼の方も凍えていた。薪集めや炎集めとか。スノーゴーレムやスノーウルフ討伐依頼もあったな。こいつらは炎に弱いから楽勝だったな。
そして春。今まさに春の季節だ。この街に来てから約一年。この街にもだいぶ慣れてきた。
冒険者ランクもCまで上がっている。レベルもかなり上がってきた。
「でも仲間になってくれる人は居ませんね」
「そうなんだよな……」
俺はため息をつきながら下を向く。
そこには自分の足しかない。
俺達が今いるのはギルドの酒場だ。
依頼兼仲間探しに来ているのだ。
「何ども声はかけてるんですけどねぇ」
「なんかみんな遠慮してるんだよな。二人だけじゃ受けられない依頼とかあるし。せめて一人くらい欲しいんだけどな」
俺とミオンは同時にため息をつく。
二人だけじゃ受けられない依頼、というのはいくつも存在する。
例えばワイバーンなんかがいい例だ。
俺とミオンならば、ワイバーンくらい問題なく倒せる。だが二人だけじゃギルドから依頼を受ける許可が降りないのだ。受付嬢曰くあと一人くらい必要らしい。
「どうしたもんか……」
別にどうしても仲間が必要という訳では無い。魔王を倒せればそれでいいのだから。
だが、魔王を倒すためには力が必要だ。今の俺達のレベルでは到底叶わないだろう。
ならばレベルを上げるしかない。だがここらの魔物では効率が悪いのだ。
最初の頃はどんどんレベルが上がっていたが、徐々にレベルの進みが遅くなっていたのだ。
『早熟』の効果を持っても全然レベルが上がらない。
ならばより強い魔物を倒さなくてはいけない。
より強くなるために仲間が必要なのだ。
「リヒト様。ひとつだけいい案があるんですが」
「いい案?」
ミオンはそう言って、俺を引っ張ってギルドを出た。もう道には迷わない、なんせ一年いるのだから。とでもいいたげな顔をミオンはしている、
俺はミオンに連れられるままある場所に連れていかれた。
そこは薄暗く怪しげな通り、普段は絶対来ないような場所である。
そして、俺たちの目の前構えている店こそが今回の目的地らしい。
「ここって奴隷商?」
「はい。その通りです」
「じゃあいい案ってのは」
「……その通りです!」
ミオンの言っていた案とは奴隷の事のようだ。
以前少しだけ話した事があったが、まさか本当に奴隷を買おうとするとは思わなかったな。
俺とミオンは恐る恐る店のドアを開けた。
そこには小太りひた一人の中年男性がいた。
「いらっしゃいませ。奴隷をお探しで?」
男は「いひひ」と笑いながら挨拶をする。
あまりの不気味さに思わずギョッとしてしまった。
部屋の中は外とは違い、普通の実務室のような感じだ。白を基調としているせいか奴隷を扱っているふうには見えない。
「本日はどの様な奴隷をお探しに?」
「えーっと……一緒に戦えるようなのがいいかな」
俺は思わずおどおどしながら返事を返した。
男は「かしこまりました」といい。裏へと消えていった。
俺達はソファに腰をかけてしばらく待っていると、準備が終わったのか奴隷商の男が戻ってきた。
「ではこちらへどうぞ」
俺達は奴隷商に案内されるがまま、店の裏へと入っていった。




