第47話 冒険者の都
感想おまちしてます!
俺達がいる場所は、元は非常に緩やかな岩場だった。
だが、今一度あたりを見渡すと至る所に穴や瓦礫やらが転がっている。
戦っている最中は気にしていなかったが、ここまで凄いとは。
戦っていたところが森など出なくてよかった。森火事とか嫌だしな。
「リヒト様、この馬車達どうします?」
「んー放置でいいんじゃないか? こいつらもそのうち起きるだろ」
こいつらというのは、あの男の子分のことだ。にしても子分を置いていくとは思わなかったな。
本当はこいつらなんてどうでもいいんじゃないだろうか。
「そう言えば、名前聞くの忘れてたな」
「あー確かにそうですね。でも、なんだか近いうちにまた会いそうですけど」
「そうだな。とりあえずおじさんを起こそう」
俺達はそこら辺で伸びてるおじさんを叩き起す。
大の大人がだらしない、的な感じの顔をミオンがしている。
「いやー情けないね。ごめんね。おじさん臆病者だからさ。刃物突きつけられただけで漏らしちゃうくらいだし」
本当に情けない。が、口には出せない。こっちは乗せてもらう側なのだから。
それから俺達は、下っ端の盗賊達を置いて馬車を進めた。
ギルドに報告、などということはしない。
色々と手続きがめんどくさいからだ。
「君達強いみたいだねぇ。これならバーデンブロウでも活躍できるんじゃない?」
「そんなにもそこは冒険者業が盛んなのか?」
「んー詳しくは分からないけど、この国随一なのは確かだと思うよ」
「へー」
なるほど。通りであの受付嬢も進めるわけだ。
それにしても少し遠いのが難点だな。
俺達はそれからは順調に進んでいった。
道中何度かゴブリン等の魔物に出会すが、盗賊等に出会すということはなかった。
予定通り馬車は進んで行き、俺たちは無事に目的に向かう事が出来た。
「二人とも、ついたよー」
おじさんがそう言うと俺達は荷馬車から降り、あたりを見渡す。
風景は元いた街と余り変わらない。
だが、どこを見ても冒険者風の人達見える。
それに前の街よりも女冒険者が多い気がする。
「ここが冒険者の都か」
「納得ですね」
チラホラと鍛冶屋や武器屋等は見えるが、民家や果実や等がほとんどを占める区域でもこの冒険者の数。
この街には一体、どれほどの冒険者がいるのだろう。
前の街の倍は軽く超えているだろう。
「じゃ、僕は自分の店に行くから。良かったら立ち寄ってね」
「はい。ありがとうございました」
「またねーおじさん!!」
俺達はおじさんと別れを告げ、この街の冒険者ギルドに向かった。
街は広く、道は沢山あり迷路のようになっている。
だが、所々にマップのような掲示板があったおかげで、スムーズにギルドへと向かう事が出来た。
今、俺達はその冒険者ギルドの目の前へと来ている。
「大きいですね」
「ああ……大きいな」
前の街のギルドとは比べ物にならないほど、大きく立派な冒険者ギルドが目に入る。
一瞬、本当にここがギルドかあっているのか疑ってしまうほどに。
俺達は大きな扉を開け、ギルドの中へと入っていった。
中からは当然のように大量の視線を浴びる。
大きい外見と伴って冒険者もかなりいる。
周りを見渡せば武器屋や薬屋、酒場などといった店が建物の中に多数並んでいた。
俺達はこの光景に驚きながらも、受付嬢の所へ向かった。
「初めての方ですね。では冒険者カードを提出してください」
俺達が向かった受付嬢はかなりの美人で、胸が大きくショートカットの似合う女性だ。
俺達は言われるがまま、受付嬢に冒険者カードを提出した。
身分確認のようなものなのか?
ちょっぴりめんどくさいが仕方ないか。
「はい。リヒトさんとミオンさんですね。どこかのファミリアには所属されていますか?」
「ファミリア? ってなんですか?」
ファミリア? まったくもって聞き覚えのない単語だ。
俺は聞き慣れない単語をそのまま受付嬢に聞いてみる。すると受付嬢は、にっこり笑いながら答えてくれた。
「ファミリアとは、一部の冒険者が共に協力し合い、沢山の依頼をこなしていく組織のようなものです。簡単に言ってしまえば、パーティを肥大化した様なものですかね。ファミリアに入れば、色んな特典を受け取ることが出来たり、特別討伐依頼を受けたりすることが出来ます。もしファミリアをお探しでしたら冒険者ストリートで探すのがおすすめです」
「そうなんですか……」
ファミリアに入れば色々とメリットがあるようだ。
だが、逆にデメリットも存在する。
例えば、ファミリアに入ってしまえば行動が制限されてしまうという点だ。
これは少々辛いだろう。魔王軍のこともあるしな。
自由度が高いギルドを探すのも手かもしれない。
だが、俺はそこまでファミリアに入りたいという訳では無い。
というか入る意味があまりないからだ。
上下関係とか面倒くさそうだし。
それに大群よりも少数精鋭の方が俺は好きだし。
「ありがとうございます。少し考えてみます」
「そうですか。では、ごゆっくり御考えください。ちなみに依頼ボードはあちらになります」
そう言って受付嬢は、手で依頼ボードがある場所を教えてくれた。
すごく気がが利く受付嬢だったな。
多分あの受付嬢は出世が早いと思う。




