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第38話 二つのブラック・フレイム

ブクマ・評価して下さりありがとうございます。

これからもよろしくお願いします!

 森を進む。と言ってもあちこちをウロウロするだけだ。

 俺達は索敵能力がほぼ無だから。


「こんな時に敵をばっ、手見つけられればいいんですけどね」


 ミオンがため息混じりにそう呟く。


「確かに。索敵に向いてる仲間とか欲しいよな」


 索敵能力に秀でた仲間が一人いるだけで効率はかなり良くなる。それだけに獣人等は何かと重宝されるらしい。



「次の街でそんな都合のいい仲間が見つかるかどうかだな」


 たとえ見つかったとしても、俺たちのような低ランクパーティの一員になってくれるとは思えないが。


「なら最悪、()()を買う事を視野に入れた方がいいかもしれませんね」


 一瞬、俺はミオンの言葉に驚いた。


 まさかミオンの口から奴隷が出てくるとは思はなかったからだ。


「奴隷……か」


 確かにその手は無くはない。だが出来ればその方法はとりたくない。


 別に奴隷を否定しているわけではない。貧しいものがなんとか生き長らえるため、奴隷という制度があるのもわかる。


 だが俺はあまり好まない。奴隷を見ると罪悪感で押しつぶされそうになるからだ。



「最悪、な……」

「はい!」


 ミオンは元気よく返事をした。

 俺はこの時、最悪ミオンだけでもそばにいてくれればいい。そう思った。



 この世界の人にとっては奴隷なんて当たり前。そんなことはわかっているし、前世にだって奴隷はいた。だが好きではない。



 俺はなんとも複雑な気持ちを抱えたまま森を進んだ。


 そして何度かゴブリンと出会し、ブラック・スピアでトドメをさす。それを繰り返していた。


「リヒト様! あれってオークじゃないですか?」


 俺はミオンの指さす方に目をやる。

 すると確かにオークの姿がある。


「ちょうどいい距離だ」


 オークとの距離はだいたい20メートルくらいだ。

 俺はオークがいる方に両手をかざした。そして魔力を集中させる。


「『ブラック・スピア』……!」

「え、槍が二本?!」


 道中、ゴブリン達にブラック・スピア放っていくうちに、扱いに慣れ、このように槍を二つ作ることが出来たのだ。


「行け!!」


 俺は二本のブラック・スピアをオーク目掛けて放つ。二本の槍は凄まじい速度で放たれ、轟音と共にオークを貫き絶命させた。


 そして、俺とオークとの間にあった木々もまた焼かれ、黒い炎と煙で包まれていた。俺は慌てて燃え盛る黒い炎を鎮火した。



「すごい威力ですね。こんなのくらったらひとたまりもないですよ」

()()()()、だけどな。まだ細かい操作が上手く出来ないから一直線にしか飛ばせられない。これではダメだろ」


 オークやゴブリン等の弱くて遅い敵なら問題ない。

 だがオーガやミノタウロス等の、強くて俊敏な相手にはきっと通用しないだろう。



「まあいいじゃないですか。その時はリヒト様の剣でぶった斬れば! なんなら私だっていますし」

「そうだったな」


 俺には頼りになる仲間(ミオン)がいてくれる。それにこの剣だってある。それだけで十分なのかもしれない。


「そういえばその剣の()()はまだ試してませんよね?」


 ミオンにそう言われ俺ははっとなる。

 すっかり忘れていたのだ。自分のレベルアップが大きすぎて眼中から外れてしまっていた。



「ああ、そうだったな。確か魔力を流せばいいんだよな?」

「そうですね。黒炎を出す時と同じイメージの方がいいと思います」


 俺はミオンに言われた通りにやることにした。

 まず頭の中で黒炎をイメージし、そのまま剣に魔力を流す。


 すると剣から黒炎が現れる。メラメラと燃えており、この剣を焼き尽くす勢いだ。


「おぉー、凄いですね」

「いや、これではダメじゃないか?」


 これはただ剣が燃えているだけ。特に攻撃力が上がった訳でもない。


「もっと擦り込むイメージでやらないといけないのか」


 そう言って俺は黒炎を消し、再度魔力流し込む。今度は魔力を刃に練り込むように。薄く、鋭く、丁寧に。

 そしてまた黒炎が現れた。だが前回と違い今回は燃えていない。


「えーと、炎出たんですか?」

「ああ。刃に薄く塗ってある程度くらいしかないが」


 刃の部分に黒炎をペンキのようにして塗ったのだ。

 見た目はしょぼい。というか剣が黒だから見分けがあまりつかない。だが見た目以上に斬れ味が増し、すこしの切り傷で黒炎は燃え広がる。


「んーそうは見えないですけど」

「まあ見てろって」


 俺は試しにそこら辺の木に剣で軽く傷を付けた。すると傷つけられた箇所から炎が燃え移り、4メートル程ある木が一瞬で黒炎に飲み込まれた。


「すごい威力としか言えないですね……」


 ミオンも言葉を失っていた。だが実は俺自身も驚いている。魔力を流した時は「斬れ味が増せばいいな」くらいにしか思っていなかったのだから。


「これならミノタウロスとも互角に戦えるだろう」


 互角というか普通に勝てると思う。いや、ミノタウロスなら黒炎を使わなくても勝てる気が……。まあ良しとしよう。


「凄いですね!! 名ずけて『ブラック・フレイム・ソード』、ですね!!」

「……ないだろ」


 ミオンがここまでネーミングセンスが悪いは想定外だ。いや本当に悪いかはよくわからない。ただ俺から見るとただただダサい。


 俺は少しの間剣を眺め、感傷に浸っていた。改めてこの剣かっこいいと思う。体に伴って心も若くなったのか?



「リヒト様!! そろそろ行きますよ」

「あ、ああ。そうだな」


 森を探索し始めてまだそこまで時間もたっていない。今日はまだまだ狩る予定だからな。気を引き締めなくては。 


ちなみにレベルが上がる前にミオンが使っていたのが『炎魔法』で現在は『火炎魔法』も使えます。って感じです。

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