第22話 天職
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「魔法の威力は術者の魔力とイメージ力に委ねられる、か。正直自信ないな」
前世じゃ魔法なんて縁が無かったしな。
それにどうやらこの世界は魔法は使えて当たり前って感じらしいし。
「ベルノエット様、魔法のお勉強ですか?」
俺の隣では、ミオンがちょこんと椅子に座っている。どうやら俺が読んでる本に興味があるらしい。
「まあな。ミオンは魔法とか使えたりするのか?」
「えーっと、回復魔法を少し使えますね」
んーと、回復魔法って傷とかを治せる魔法だったよな。魔法で傷とかを治せるってのは便利だな。ポーションとかの節約になりそうだし。
「まあでも一般的には、神様から天職を授かってから魔法を習得するんですけどね」
「天職か……」
天職って神様から貰うものなんだな。てことはクライシスやベイトさんが俺の天職ってのを決めるんだよな? 一体俺の天職は何になるのやら。農家とか良さそうじゃないか?
ちなみに天職ってのは、誰もが与えられる職業の事だ。俺達は天職ってのを貰うと、その天職に合った恩賜を得られるらしい。剣士なら身体能力や剣術が強化されたり。また魔法使い等は魔力といったように。
「いよいよ明日ですね! お互い頑張りましょう!」
「ああそうだな、って……」
確かに今、ミオンはお互いって言ったよな。
俺が見るにミオンは10歳くらいに見える。身長も130センチ程度だし。
「私はベルノエット様と同じ14歳で、明日には15歳ですよ?」
何となくだが、俺はミオンに謝らなければならない気がする。
それはさて置き、勉強の再会だ。とってもあらかた記憶として頭の中に入ってはいるのだが。
「そういえば、何でミオンは俺についてきたんだ? 前から話してみたいって言ってたけど、俺達が会うのって多分あの時が初対面だったと思うんだが」
あの時、一瞬だがミオンとは何処かで合ったような気がしたのだ。まあ直ぐに気のせいだと思ったのだが。
「実は昔に1度だけ、ベルノエット様を見かけた事がありまして。その……あの頃から私は、ベルノエット様の事が気になっていたのです」
「そうだったのか」
正直、俺はミオンの言っている事がよく分からなかった。俺の理解力に問題があふのかもしれない、だがミオンも言葉足らずだと思う。俺の何が気になってたのかさっぱり分かんない。というか、その頃の俺は俺じゃないし。まあどうでもいいだろう。
「愚問だったな。忘れてくれ」
「え、いや……はい」
ミオンは何やら落ち込んだ顔をしていた。
俺はまた何かやってしまったのだろうか。
俺達はその後直ぐに屋敷に帰った。帰りが遅いとまた家族に怒られるからだ。「白髪の分際」で、と。
俺は明日に備え、早く寝る事にした。他にすることも無いし。転生してまだ1日も経ってないが、案外楽しいのかもしれない。本当にこれが罰とやらなのだろうか。
俺が目が覚めると見知らぬ天井が目に入った。俺は直ぐに自分が転生した事を思い出す。
俺は朝食を済ませ、ミオンと2人で天職を貰うため教会へ向かった。教会と言っても見た目はそのこらの民家と何ら変わらない。
「緊張しますね、ベルノエット様」
「そうか?」
「そうですよ。他の人達を見てください」
俺が周りを見ると沢山の人が、緊張を顔に浮かべていた。そこまで緊張する事なのか?
そして次々と人が呼ばれ、教会の中に入っていく。そして教会の裏から天職を授かった人達が出てくる。そこには喜ぶ者や、悲しむ者、実に様々だった。そしてついに俺の番が来た。
俺は神父により教会の中に案内される。
教会の中は何だか薄暗く、何が何だかよく分からないといった感じだ。
胡散臭いと思った俺は罰当たりだろうか?
「ここにお座り下さい」
俺は神父らしき人物によってイスに座らせられる。
そして、神父の呪文らしきものが始まった。何を言っているのか全くわからん。
どのくらいかかるのかと考えていたら、案外直ぐに終わったのだ。
「これで完了です。神はきっと貴方に素敵な天職を授けたでしょう」
日がやや落ち始め、夕方と言っていい時間帯。俺はミオンと一緒に帰っている最中だ。教会では実に不思議な事が起きた。まさか天職を貰ったらあんな事になるなんて想像もしていなかった。
「そう言えばベルノエット様。天職の方はどうだったんですか?」
「何と言えばいいのだろうか。まあ良かったと思うぞ?」
俺もまだ完璧には理解出来ていないのだ。自分の天職について。
俺は自分のステータスを見せた方が早いと思ったので、ミオンに俺のステータスを見せることにした。
ベルノエット・デルミオーカス Lv1
職業 ――――
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