第20話 異世界転生って面倒臭い
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「てか何でベイトさんが神様やってんだよ」
「またそこに戻るのかよライトの坊主」
俺がここに来て小一時間程経っただろうか。この2人は俺がどんだけ断っても折れない。まったく、どうしてそこまで俺に転生して欲しんだか。
「もーそんなことはどうでもいいのよ!」
「そんな事って……俺、ほんとに偉いんだぞ」
「ベイストスは黙ってて!」
ベイトさん、メンツ丸潰れだな。ほんとに神様なのか疑わしくなってきたぞ。膝抱えて座ってるし、多分いじけちゃったな。傍から見たら、おっさんが拗ねてるだけにしか見えない……って傍から見なくても変わらないか。
「いいライト君。君にはかなり重い罪があるのよ?」
「罪?」
俺何かしたか? 確かに人は何度も殺した事はあるが、それは仕方の無いことだろう。誰かに迷惑をかけたとか? んーガーマルさんくらいしか心当たりが無いな。……ガーマルさん元気にしてるかな。
俺が的外れな想像をしていることに腹を立てたのか、クライシス顔が真っ赤に膨れている。俺はそんなに悪い事はしてない気がするのは気のせいだろうか。
「人間の七つの大罪ってのは分かるよね?」
「ああ、人間の罪の源的な感じだったか?」
「まあだいたいあってるわ。そして君の罪はその7つの中の1つ、憤怒の罪よ」
「憤怒……」
確か前に読んだ本に載ってたな。憤怒、激しく怒るだったかな。
俺は以前、冒険者専用の図書館で見たほんのことを思い出していた。
「怒りで我を忘れ、仲間を殺させ、親友までも殺めた。それが貴方の罪よ」
「ッ! ちょっとまて」
確かに俺は守れなかった。自分が弱いから、そのせいでファレス達を死なせてしまった。だが、親友を殺した? 確かにカイロは親友だったさ。だが今はそんなもんじゃない。ただの親の仇に過ぎないのだから。というか何かがおかしい。
「ちょっとおかしくないか?」
「おかしいって何がおかしいの?」
「だってそうだろ? この世の中、俺なんかよりよっぽど悪いやつはいる。俺より人を殺した奴や俺より重い罪の奴だって沢山いるはずだ。それに大罪と転生がどう繋がるって言うんだ」
俺より悪い奴なんて5万といる。それなのに俺が大罪を背負わされるのはおかしいだろう。
クライシスはちょっと難しそうな顔をしながら俺に説明する。
「まあ色々あるんだよ。君は特別な人間、それで十分でしょ?」
何だか適当すぎるような気がするが。てか、俺が異世界に転生するのってやっぱり確定事項なのか?
「じゃあ、早速行こうか!」
「地獄に?」
「異世界にきまってるでしょー!」
クライシスの怒鳴り声が聖域に響き渡る。かなりお怒りの様子だ。
やっぱりそうなるのか。まあこの際しょうがないとするか。そうなると色々とまた聞かなきゃダメだよな
「じゃあ俺はどんな異世界に行けばいいんだよ」
「え、じゃあ転生してくれるの?」
クライシスが瞳を輝かせて俺を見てくる。
まあ正直どっちでも良かったんだけどな。この調子で俺が断り続けてたらきっとクライシスは何100年経とうと諦めたりしないだろうし。そっちの方がめんどくさい。
「じゃ、じゃあライト君が行く異世界について軽く説明するわね」
俺が行く異世界はタグルメットっという名の世界らしい。そこでは15歳になると誰もが天より職業、つまり天職が与えられる。その世界では。俺のいた世界のように魔物や魔法なんかがありふれている。俺がいた世界より数段凄いらしい。そして自分の力が数値化され、それをステータスと呼ぶ。俺はよく分からなかったが、行けば分かるとの事だ。
「あと、貴方の記憶が覚醒するのは15歳になる前日よ。そっちの方が都合がいいし。それと色々私達の加護も付けといてあげるから。と、まあこんな所かしらね」
「だな」
「あ、ベイト起きてる」
さっきまでいじけて寝っ転がってたのに。まあそれは置いておいて。クライシスの説明はほんとに軽くだった。適当と言ってもいい程に軽かった。まあ転生すれば分かるわよ、とクライシスはいっている。俺からすれば不安でしかないんだが。
まあ転生したら赤ん坊って事は無さそうで安心したな。……赤ん坊だと色々大変だし。
「じゃあそろそろ転生しようか」
「早すぎやしないか?」
「確かにはやすぎるぞ」
クライシスは何故そこまで急ぐんだ? ベイトさんだって早すぎるって言ってるし。何か特別な理由があるのだろうか。
「そうかしら? どうせ今説明しなくたってあっちの…世界に行けば分かる事だし」
「やっぱお前、自分が面倒臭いだけだろ!」
「も〜ほら! 早く行きなさい!」
クライシスがそう言うと、俺は浮かび始めた。そして俺は、急激な睡魔に襲われる。これが転生ってやつなのか。……意識が無くなりそうだ。だけど悪い感じじゃないな。
「行っちゃったわね」
「クライシスの嬢ちゃんが勝手に送っただけだろ?」
ベイトがそう言うとクライシスは無言でベイトの横っ腹を殴る。そのベイトが弱々しい声を上げているのを無視するクライシス。
「しっかりしなさい。また次の子が来るのよ」
「あ〜そうだったな。ライトの坊主の師匠としては接しずらい気がするが」
「つべこべ言わない!」
ベイトの横っ腹に、2度目のクライシスの拳が叩き込まれる。が、寸前の所でベイトがそれを受け止める。それもドヤ顔で。ベイトのドヤ顔がむかついたのか、そのままクライシスはベイトに蹴りを喰らわす。今度は避けれ無かったようで、また弱々しい声を上げている。ライトが見ていたらきっと、みっともないな、と言っていただろう。
そこには2人の神と1人の人間。その人間もまた、ライトと同じく特別であり、大罪を背負うもの。
「ようこそ。私は世界の創造者にして絶対の神、クライシスよ。以後お見知り置きを」
「はい?」




