第2話 首を洗って待っていろ!!
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俺が家から引きこもってから半年が過ぎた。
俺が産まれてから15年、こんなにも長い間外に出なかったことは無いだろう。
俺はとうとうあいつらと向き合うことに決めた。向き合わなきゃ行けないんだ。
俺は今二人の後ろにいる。楽しそうに会話してい二人のだ。
「お、おいお前ら」
久々に声を出したので声が裏返った。
だがそんなことは関係ない。今はそんな事よりも大事な事があるのだから。
「なんだライトか。今まで何してたんだ。心配したんだぞ」
「そうよライト。恋人の私にまで内緒で」
「うるさい! 俺に触るな!」
フライデが俺に触れようとしてきたので俺はそれを払いのける。
とっさの行動だった。手に止まった虫を払い除けるのと同じだ。
「この裏切りもんが!」
「おい! 何やってんだよ!」
「何やってんだよはてめぇだよカイロ!!」
俺は1ヶ月前の事を全て話した。
俺が目撃したことを全て。怒りをぶつけながら。
声を荒らげ、二人を睨みつけ、全部吐き出した。
「あ〜見られてたのか」
どんな言い訳をするのかと思えばなんだその態度は。
俺は開き直ったカイロの態度に腹を立てる。
当然だろう。謝るわけでもなく、悪びれるわけでもない。
一瞬、俺はカイロの行動に寒気がした。
「お前には刺激が強すぎたかな? まあお前にフライデは勿体ないからな」
「ちょちょっと·····ライトが、見てる」
「ふふ、別にいいだろ?」
二人は口付けを交わす。1ヶ月前と同じように何度も。
俺はカイロ目掛けて殴りかかる。――が、軽く避けられ反撃される。
俺の非力な体は軽く吹っ飛ばされてしまう。
当たり前だ。俺とカイロでは腕の太さから違う。
「お前が俺に喧嘩で勝てたことがあったか? 俺は剣士になるんだぞ? 勝てるわけないだろ」
カイロは昔から強くて俺のあこがれだった。
大人になったら冒険者になると言っていた。
最近では知り合いの冒険者に剣を教えて貰っているらしい。全くクソッタレだよ。
「ま、お前には10年早いんだよ。フライデも俺に勝つのも」
俺はそれから散々罵倒された。だがほとんど覚えていない。
心が折れていたからだ。それから何度もボコられた。
フライデか止めてくれるかと思ったが、全く持ってその様子はない。
「そうだ、親友のお前にいい事を教えてやる。今から大体2年前か? お前の母親が事故で亡くなったのは」
「だったら·····なんだって言うんだ」
「実はな、あの事故は事故じゃないんだ。お前の母親は殺されたんだよ。この俺にな」
「ーーは?」
カイロが言っている事の意味がわからない。
確かに俺の親は事故で死んだ。
それが事故じゃなくてカイロが殺しただと?
「笑いを堪えるのに必死だったよ。お前の母親ったらお前が怪我したって言ったら慌てて飛び出していくんだもの。後は崖から突き落とすだけだったよ」
「う、嘘だ·····ろ? なあカイロ、カイ·····?」
「ハァーハッハッハー、生憎嘘じゃないさ。俺はこの瞬間の為だけに殺ったのだから。まあ強いて言うなら嫉妬ってやつかな」
「な·····んで。なんで·····母さんを」
カイロはフライデに聞こえない声でそれを俺に伝えた。
そんなことは関係ない。今この瞬間、俺はフライでのことを忘れていた。
「どうしたのカイロ?」
「ん、なんでもない。俺のフライデ」
「あっフラ·····フライデッ」
俺はフライデに手を伸ばす。無意識だった。
こいつがどんな奴なのか伝えないと。とでも体が思ったのだろう。
だが、俺の手はフライデに届く事は叶わなく、カイロによって弾かれた。
「俺の女に気安く触るな。·····そんなんだから母親を失うんだぞ」
俺の中で何が壊れる音がした。壊してはいけない何かが。
そして2人は俺の目の前で行為を始めやがった。外でとは達者なものだな。
俺はボロボロの身体を引きずりながら家に帰った。
そしてまた引き篭った。
あんな事聞いて普通でいられる訳が無い。
それから引き篭って3ヶ月程だった。
噂によるとカイロはフライデを連れて冒険者になったらしい。
どうでもいいと思ったがやはり俺はフライデの事がまだ気になるらしい。なんせ初恋だし·····。
俺は決めた。強くなる事を。この頭にこびり付いた嫌なものを消すために。
無けなしの金で剣を買った。それからは毎日剣を振る生活が続いく。
何日かして森にも行った。
何度も死にかけた。魔物とも戦った。そりゃ死にかけた。
全ては母さんの仇を討つために。やがて俺の心には復讐心が宿り、日に日にその心は強くなっていく。
俺は知った。いや、知らされた。
復讐心が俺を強くしてくれたことを。
俺の原動力になってくれた事を、勇気をくれた事を。少しは変われたか?
変われたなら感謝しなくちゃな。
「母さん·····待っててね。必ず強くなるから」
あの出来事があった日からちょうど1年がたった。とうとう旅立ちの日だ。
俺の体はあの非力な頃に比べかなり変わっただろう。身長も175センチ程になり、筋肉もガッチリとついてきた。
俺は強くなったがまだまだだろう。
まだオークを倒せるレベルだ。
そんなやつはいくらでもいるだろう。
俺はもっと強くならなくては行けない。あいつに復讐するまではな。
俺は進んだ。強くなるために。復讐の為に。
「首を洗って待っていろ!」
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次回は今日の11時頃投稿予定です!!
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