第1話 始まりの時
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俺はある日のことを思い出していた。
辛く悲しい出来事。消しても消しても消しきれない。悔しくてたまらなかったあの悪夢のような10年前を·····。
10年前のある日、当時15歳だった俺は恋人のフライデとデートをしていた。
桜が舞い散る景色が程よく見える河原で。
フライデは金色の髪を腰まで伸ばしており、青い瞳を輝かせている。多分この街1の美人と言えるだろう。
まだ付き合って間もないが、俺はこの女性を大切にしようと思っている。
そんな時、何処から現れたかは知らないが一人の青年が姿を表した。そいつは俺と同い年で、幼馴染のカイロという青年だ。
カイロは灰色の髪と瞳を持ち、顔はかなり整っている。それに同い年とは思えないほどに大人びていた。
俺とカイロとは昔からの仲だ。兄弟のようなものであり、俺は密かに憧れていた。
「やあお二人さん。中々お熱いことで何よりだよ」
「カイロ·····あまり茶化さないでくれよ」
「いいじゃないかライト。大体誰のおかげお前がフライデと付き合えていると思っているんだ?」
それを言われては俺は言い返せない。
俺がフライデと付き合えたのは、目の前にいるこのカイロが仲を取り持ってくれたからだ。
「そう言えばライト、ガーマルさんがお前のことを探してたぞ」
「げっ、そう言えば窓ガラスそのままにしっぱなしだぁ〜!!」
俺は慌ててガーマルさんの所に向かう。
ガーマルさんとは、俺が昔からお世話になっているご近所さんだ。もう家族同然でお母さんのような存在だが·····。
そのお世話になっているガーマルさんの家のガラスを俺は今朝割ってしまったのだ。
フライデとの約束に遅れそうで急いでいたらガラスにぶつかり割れてしまった。多分許してはくれないだろうな。
俺はそう思いながら、急いでガーマルさんの家にむかう。
それから5時間位がたっただろうか。
俺はこっぴどく叱られた挙句、掃除までさせられた·····。まあ自業自得か。
流石にあいつらはもう帰ったよな·····。まあ一応2人の家に行ってみるか。
俺はそれから2人の家に向かうことにした。
勿論謝るためだ。
今俺がいる場所から近いのはカイロの家なので先にそっちに行くことにした。
俺はカイロの家に着くとふと思った事がある。
なんで俺カイロに謝んなきゃ行けないんだ?
俺からしたらデート邪魔されただけなんだけどな·····。まあいいか。
俺はカイロを驚かそうと窓からはいることにした。カイロは俺と同じで一人暮らしだ。
俺は窓までこっそりと近づき、バレないように窓から家の中の様子を確認する。
するとそこには信じ難い光景が俺の目に飛び込んできた。
その部屋にはカイロといるはずのないフライデがいたのだ。しかも2人で抱き合って口付けを交わして·····。何度も、何度も。
俺はその場に崩れ落ちた。感じたことの無い感情だ。
親が死んだ時だってこんな気持ちにはならなかった。いや、親が死んだ時は悲しかったわけじゃない。だがそれとは違う。
あの時とは全くの別の感情。なんだこの気持ちは·····。
「だ、ダメよカイロ。·····一応私はライト付き合ってるのよ?」
「でもまだライトとは手を繋いだだけなんだろ? そんなままごとしてないで俺を選んだらどうだ?」
「·····ん」
俺の中の何かが壊れる音がした。
何なんだろうなこれは。2人の行為の音が聞こえる。ギシギシと揺れるベットの音。
なんか笑えてくるな·····。
当時15歳だった俺にはかなり堪えた出来事だった。
「·····笑えねえよクソが」
俺は小さく呟いた。そして俺は家に引きこもった。
枕を何度も濡らした。鼻水を何度もかんだ。
これが悪夢の始まりだった。
これから先、俺をずっと蝕み続ける
次回は今日の10時頃更新予定です!!