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9. 職業『戦士』


「うっぷ。うう、うへぇー。」


 職業を『戦士』にしたところで、臭いへの耐性は変わらないらしい。

 服と一緒に買ったマスクもつけているが、辛いことには変わりない。


 地下水道に入ったところでグリーンスライムの塊を見つける。

 あれ?ポップアップが出てる。


『グリーンスライム/Lv2:20/20』

『グリーンスライム/Lv1:10/10』


「ゲームとかでよくある敵の情報を見れるやつだ。スキル『ヘルプ』の効果かもしれないな。」


 魔物名とレベル、そしてHPの現在値と最大値ってとこだろう。


 ぬぷっ。ぐちゃ。


 びしゃぁ。ずさぁ。


 グリーンスライムを切り裂く音が地下水道に響く。


 昨日よりも効率が上がり、一日で四十五匹のグリーンスライムを討伐できた。

 おかげで今日も『ゲーマー』レベルが3上がったことを、視界のポップアップで確認している。



「ロミーさんいます~?」


「うっ…。リョウヘイさん。換金台はあちらですよ~。」


「はいはい。りょうかいです。」


 昨日よりは汚れずにギルドに帰ってきたと思ったのだが、やはり臭うらしい。

 そして地下水道帰りだとロミーさんがやっぱり冷たい。


 ギルド中から冷たい視線と尊敬の視線の両方を集めながら、換金台で四百五十クルを受け取り、俺はギルドを後にした。




 宿屋についた俺は、夕食を終えて体を洗った後、現状を整理する。


 今まで生き抜くことを目標にしてきたが、今日一日で四百五十クルを稼ぐことができ、少し心に余裕が出てきた。


 直近の方針は生活を維持することで変更は無いが、この先どうする?


 王国に召喚された時は、魔族討伐という大きな目標があったが、今は追放された身だ。

 元の世界に帰ることも、帰る方法は無いって宰相のデビアスが言っていたし、おそらく無理なのだろう……。

 俺を追放した人たちとか和馬や匡を見返したいという気持ちも少しはあるが、目標にするのは違う気がする。そもそも力不足で追放されたのだから、見返すことは難しいだろう。



 ポジティブに考えると、ゲームみたいな剣と魔法の世界を体験できているのだから、最大限この世界を楽しむのもありかもしれない。

 冒険したり、旅をしたり、魔術を覚えたり……。


 そう考えると、魔族との戦いに巻き込まれなかったのは、逆に運が良かったかもしれない。


 ただ、やりたいことをやるためにも、力は確実に必要になってくる。

 王城から追放されたことで、力が無いことの悔しさは身にしみた。



 生活が安定したら、出来る限り強くなっていこうと決め、俺はステータスを開く。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

<ステータス>

職業/レベル:ゲーマー/Lv8 (戦士/Lv15)

HP:81(16+17+48)

MP:36(10+17+9)

攻撃:86(21+17+48)

防御:75(15+17+43)

魔攻:33(10+17+6)

魔防:48(12+17+19)

速度:73(27+17+29)

幸運:25(5+10+10)


スキル:ロールプレー、ヘルプ、ニューゲーム

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 戦士のレベルが大きく上がっている。ゲーマーと比べて早すぎないか?

 それにHPとか攻撃とかが、魔術士のときより大きく伸びている。

 かわりにMPとかは全然伸びてないが、今はHPと攻撃と速度が大事だ。


 強くなる分には全然良いのだけれど急成長しすぎだろう。

 なんか裏がありそうで怖いな……。


 あとは、今日買った魔術書で、『身体強化』と『ライト』の魔術の訓練だな。

 幸い魔術の基礎は王城で学ぶことが出来から、訓練の方法は分かる。



 魔術訓練を一時間くらい行った後、翌日に備えて休むことにした。




「ロミーさん!おはようございます!」


「リョウヘイさん、今日もよろしくです!」


「今日もグリーンスライム討伐に行こうと思うのですが!?」


「え、えーと、実はグリーンスライム討伐の依頼は昨日の分で一旦終了なんです。」


「なんですとー!」


「そもそも、地下水道にグリーンスライムが増殖する頻度はあまり高くないのです。今回リョウヘイさんが討伐してくださったおかげで、下水の流れも良くなったそうなので、昨日の夜に依頼が取り下げられました。」


「そうなんですか。じゃあしょうがないですねー。」


「リョウヘイさんにはとても感謝しています。グリーンスライムは弱い魔物にも関わらず、場所が場所なので冒険者の方は誰も受けたがらなかった依頼でしたから。」


「その分報酬もよかったんですよね!?」


「ええ、相場の五倍ですかね!」


「ええっ!そんなにですか!!」


 昨日、四百五十クル稼いで喜んでいたが、実際には九十クル程度だったのか……。

 金策を考えなければ。



「他になにかお金が稼げる依頼はありますか?」


「リョウヘイさんはGランクですので、無難に薬草採集はいかがでしょうか。」


「薬草採集ですか。討伐系が良かったのですが。」


 初心者への依頼といえば薬草採集だ。テンプレ展開で心惹かれるものがあるが、今は討伐依頼を優先したい。

 もちろん、俺でも討伐できるような弱い魔物にするつもりだが。



「Gランクですと、今のところ無いですね。ちなみにリョウヘイさんの到達度はどのくらいですか?」


「うーんと、十日程前に測定したときは、一段階目でした。」


 召喚直後を思い出しながら答える。そういえば今は何段階目なんだろう。



「そうですか。やはり止めておいた方がよいかと。二段階目からが討伐依頼を受け始める目安です。あ、グリーンスライムは特例ですよ。」


「そうなんですね。到達度ってどこで調べるのですか?」


「アリス教会で調べることが出来ますよ。ここからですと、王都の南出口の側の王都南教会が最も近いですね。」


「アリス教会?」


「はい、アリス教会は女神アリス様を信仰している宗教です。アリス様は、このローランハイム大陸に魔術を始めとした様々な知識を広めた偉大な方なんですよ。」


 宗教が絡むテンプレ展開だ。俺のなかの中二病が反応する。

 しかし、なんでどこの異世界もこう宗教が好きなのかねぇ。テンプレだと司祭様とかが悪役だったりするんだが……。



「わかりました。今度教会に行ってみますね。今日は薬草採集をします。」


 今日は討伐依頼を受けられなさそうなので、薬草採集をすることにする。

 日々の宿代くらいは稼ぎたいとこだが、厳しいだろう。


「そうですね。その方が良いかと思います。薬草の生育場所ですが、このギルドからですと、王都南入口を抜けた先にあるレーゲンスの森が最寄りですね。レーゲンスの森ならば、奥に入らなければ魔物に出会うことも無いでしょう。」



 ロミーから採取場所を聞き、レーゲンスの森に向かう。

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