第72話 不動産物件
今回かなりあっさりです
知り合いにお土産?を渡してまわった次の日は、ミルカードさんの案内で、物件を見て回ることになった。
「では近いところから見て行っていいかしら?」
「はい。お願いします」
そうして案内されたのは、以下の7件だった。
1件目。
商店街にある、元薬屋の建物・賃貸。
「狭い…ですね」
ここは商店街の通りにあり、販売をメインとした店舗の作りをしていた。
僕は小売り店をするつもりはないので、必然的に却下になる。
どうせなら、ちゃんと商売をする人に使ってほしい。
2件目。
商店街の裏路地にある元・魔道具屋・販売。
「悪くはないですけど…ちょっと暗いですね」
隠れ家みたいな感じで悪くはないのだが、回りに大きな建物が多く、売ったり調合するだけならともかく、ローア草を育てたりするには不向きだった。
3件目。
ある商会の敷地内の離れ・賃貸。
場所に到着した途端に、恰幅のよいおじさんがにこにこ顔で現れ、
「おお!貴女が例の薬師殿ですな?我が家の離れに住むということは家族も同然!遠慮なくなんでもおっしゃってくださって結構ですぞ!その代わりといってはなんですが…貴女の制作したポーションを家賃の代わりとして納めていただき、それを我が商会の商品として販売させていただきます!商業ギルドに卸すものも我が商会を通して販売をさせていただきます!」
いきなり、願望丸出しのマシンガントークを繰り出してきた。
それを聞いたミルカードさんは、
「そういう強要は許可した覚えはありませんが?」
その商人のおじさんを睨み付け、有無を言わさずに黙らせてしまった。
4件目。
貴族街にある貴族の別邸・賃貸。
「我がマシラス男爵家の別邸に住むということは我が家の使用人として…」
「強要は許可いたしません」
商人のおじさんと同じようなことを話し始めたので、ミルカードさんが話をぶったぎって早々に引き上げることになった。
5件目。
城壁近くの馬の放牧地近くの平屋・販売。
「広いですねー」
「ここは土地の販売にちかいわね。この家はなかなかに古いから価値はないに等しい、そのうえ繁華街からも遠いのがね…」
ここはとにかく土地が広く、テニスコート4面分くらいの土地に、3LDKくらいの平屋の家と、大きな木があった。
ここなら、滝の側の畑を全部移築できるかも知れない。
6件目。
倉庫街の空き地・販売。
「土地だけなんですね」
「建物は建てないとだめだし、治安がすこしね」
倉庫が立ち並んでいるところに、ぽっかりと土地が開いていた。
なんでも、資材置場だったところに建てた倉庫が火事で燃えてしまい、そのあとに何回か倉庫を建てたけれと、ことごとく火事で燃えたらしい。
そのため、だれも欲しがらなくなったそうだ。
「値段が安いので一応紹介しておいたけど…おすすめはしないわ」
7件目。
西門近くの2階建て・販売。
広さは普通で、建物もまだ新しい。
しかし、人の出入りする音がすごく、かなり賑やかだ。
しかも、夜でも篝火が焚かれていて、薄明かるいらしい。
以上が、紹介された物件の全てだ。
その夜、暖炉亭の部屋で、どれにしようかと考えながら、超越調達の品物リストを眺めていた時、あるものが目に入った。
それを見つけた瞬間。
僕はあの物件を購入することに決めた。
実際の不動産物件をみていると、ときどきとんでもない誤植と、とんでもな間取りの物件が発見されるのはどうしてなんでしょうか…?
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




