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閑話 17

王都の人達の呟き

~リーフェン王国公爵 クロード・ヴォルガルド・ロード・グランダットと、リーフェン王国宰相兼侯爵 クゼル・アーロレス・モーリフェノスの会話(第三者視点)~


王都にあるグランダット公爵邸。

その一室で、主人であるクロード公爵と、宰相であるクゼル・アーロレス・モーリフェノス侯爵が、過去に勇者が考案したといわれる『戦盤(チェス)』と呼ばれる遊戯(ゲーム)に興じながら、ここしばらくの間に起こった出来事を話していた。

「なんとか上手くいきましたね」

「ああ。もし式典の会場に、モルビニアの次男坊辺りがいたら持っていかれていたかもな」

会話をしながらも、駒は滑らかに動いていく。

「彼はなかなか優秀ですからね」

「兄弟揃って暗愚なら簡単に騙せるのだがな」

「兄の方は国民に慕われていますし、暗愚ではないでしょう。それに2人とも暗愚だと、モルビニアの民と我が国が迷惑をこうむりますね…っと」

クゼル宰相の手に、クロード公爵は眉を吊り上げる。

「しかし、彼女はよくフルポーションの作り方を知っていたね?」

クゼル宰相は、不意に砕けた口調でクロード公爵に話しかける。

「師から教わったらしい。もう神のみもとにいるらしいがな」

クロード公爵は、それを気にすることなく盤面を睨み付ける。

この2人は、王立学術院の学術院生時代からの友人であった。

クゼル宰相は、童顔ではあるものの、学生結婚をしたためか貫禄があり、逆にクロード公爵は、姉ウェルナの国王との結婚によっての昇爵や、爵位の継承のばたばた、本人の奥手もあって結婚が遅れたためと、本人の子供っぽい性格もあいまって、クゼル宰相より年下に見えてしまっている。

「生きていたなら、ぜひとも我が国に招きたかったね」

本業は学者だと言い張るクゼル宰相は、会うことのかなわない、自分以上の知恵者に想いを馳せる。

「サヘラばあさんみたいなのだったらどうする気だ」

対照的にクロード公爵は、恩人であり師ではあるが、その言動や行動に難がある、サヘラ・フェテセイロ・アルセルフを思いだして、苦い顔をしていた。

「僕は平気だよ。息子は苦手みたいだけど」

「息子とは意見が合いそうだ。王手(チェック)

駒を動かすと、クロード公爵はくすりと笑う。

「後は、彼女が他国に拐われないように、替え玉には頑張ってもらわないと」

クゼル宰相は、王手を避けて駒を動かす。

「後見人は、自宅で()()()()()()らしいから、余計な知恵も回らないだろうしな」

こんどは、駒の動きと関係なく、クロード公爵は笑みを浮かべる。

「一度彼女とは、ゆっくり話がしてみたいかな。彼女も本が好きなようだし、いろいろな話が聞けるかもしれないからね」

「同感だな。俺はできれば厨房で作業をしてもらいながらがいいがな」

お互いに彼女・ヤムの価値を認めながら、その利用価値の見定めを考えていた。

「彼女の料理の腕前は話で聞くだけだから、一度お相伴にあずかりたいね。詰み(チェックメイト)

「ちっ…。相変わらず容赦ないな」

「陰謀劇は得意なのに、戦盤(チェス)は学生時代から上達しないね」

お互い笑いながら、脇に置いてあったエイヴェ(ワイン)のグラスを手に取った。



~王都にすむ貴族の女性達の噂話(第三者視点)~

「ねえ、ご覧になりました?王妃様と王女様の(おぐし)!」

「見ましたわ!もうすっごく綺麗でしたわ!まるで黄金の糸みたいでしたわ!」

「いったいどんなことをしたらあの髪が手に入るのでしょう?」

「噂によると、新しく宮廷薬師になった方が調合した、髪を洗うための液剤があるらしいですわよ?」

「うらやましいわ。どうにかして手に入らないかしら?」

「ではその新しい宮廷薬師の方に()()()すればいいのですわよ」

「そうですわね。所詮男爵令嬢ですもの、私達の()()()を断われる筈はありませんわ!」



~アルセルフ家執事・ヨハンの視点~


その日の朝食が終了した時、奥様は大きくため息をつかれました。

「どうかなされましたか奥様?」

「ベリスの砂糖煮が底をついちまった」

見れば、瓶いっぱいにあったベリスの砂糖煮が、すっかりなくなっていました。

「素晴らしく美味なものでしたから、減るのもはようございましたね」

このベリスの砂糖煮は、つい先日まで当家に滞在していたヤム様によって提供されたものです。

素晴らしい腕前の薬師であり、素晴らしい料理の腕前も持っていらした、実に美しく聡明で純朴で控えめな女性でありました。

「あのこをメセに帰すんじゃなかったかねえ…」

その彼女は、今は本拠地であるメセの街にもどっておられます。

その前に、様々な御料理を作り置きしていってくれたのですが、日持ちがするのは焼き菓子やカッカルチップだけなので、早くなくなるのはしかたのないことです。

できうるなら、ヤム様にはお早いうちに王都にきていただきたく思っております。

決して、私がグレートブルのエイヴェ煮込みを味わいたいと思っているわけではございませんぞ。

病院で、紙コップの自動販売機でアイスコーヒーを買ったら、どうやらコーヒーだけが切れていたか、誤動作を起こしたかで、水で薄めたアイスミルクみたいなのがでてきました。

自動販売機は管理が違うし時間もかかるため、仕方なく飲みました。

しかし、私の後に買った人のアイスコーヒーはまともでした。

ちくせう…


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[一言] ヤムロスの影響はサヘラさんの所が大きそうですね。 病院のカップ式自販機と言えば、ドリップの様子が液晶モニタで見える奴あるんだけど、それ見てるの好き。
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