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第64話 利益のある商談

お待たせいたしました

王女様のお悩みを解決したあと、昼食をサヘラさんのお屋敷で食べて(作ったのは僕だけど)からやってきたのは、以前も来たことがあるメリックさんの店、メリック商会だった。

確かにメリックさんなら僕と面識があるし、お城にも出入りが出来そうだ。


周りより一際大きな店舗の『メリック商会』が、王都でもかなりの大店(おおだな)だと聞いたのは今さっきのことだ。

そんなことを聞くと、ますます敷居が高くなってしまった。

「じゃまするよ。店主のメリックはいるかい?」

そんな僕を尻目に、サヘラさんは平然と店に入り、店員に声をかける。

「これはサヘラ様!直ぐに旦那様を呼んで参ります!」

店員さんもサヘラさんの顔を知っているらしく、直ぐ様反応し、メリックさんを呼びにいった。


メリックさんはさして時間をおかずにやってきた。

「これはこれはサヘラ様!それにヤムさんまで!いやぁこれは嬉しい来客だ!」

「あんたにちょいと頼みがあってね。奥で話がしたい」

サヘラさんは簡単に要件をつたえると、勝手(かって)知ったる他人の家とばかりに奥に入っていく。


奥にあったメリックさんの執務室に案内?された僕とサヘラさんは、洗髪剤・整髪剤・石鹸・薬用オールインワンクリームの現物を見せ、王妃様からの要望をつたえてみた。

それを聞いたメリックさんは暫く考え込み、

「ふむ…つまり、王妃様王女様ご所望のこの洗髪剤と整髪剤。その他色々の王都への買い付けと輸送と王室への納品を私に一任したいと?」

内容を改めて確認するように口を開いた。

「はい。勝手なお願いで、ご迷惑になってしまうのて、どうしても無理なら断っていただいても…」

「とんでもない!王室に品物を納めることができるのは大変名誉なことですからね。元々メセの町には定期的に行き来をしていましたから、問題ありません。このお話は是非とも受けさせていただきます!」

僕が申し訳なさそうに断っても構いませんと言う前に、メリックさんからOKの返事をいただいた。

「なので、もしよろしければ、王室に納めるのと同じ数を私どもにも購入させていただけませんか?」

「抜け目がないねぇ」

どうやらメリックさんが乗り気になったのは、自分のお店でも販売をしたいからだったらしい。

サヘラさんはにやにや笑いながら僕の方をみつめてきた。

後から聞いた話だと、たちの悪い商人だと、注文主の倍の数を発注し、支払いを注文主に請求する際に倍額を要求、品物は半分しか渡さないという手段をとる(やから)もいるらしい。

「細かいところはリガルトさんと相談してからになりますけど、それでよろしければ」

「ありがとうございます!」

僕としても、メリックさんなら信用できるし、サヘラさんからの推薦もあるのでかまわないと判断した。

だがそれならどうしてもお願いしておきたいことがあった。

「それでその…」

「わかっています。製作者の名前は明かさない。ですな」

「ありがとうございます」

実は、いままで販売していた薬に対しても、製作者の名前は明かさないようにお願いしていた。

時間がたてば知られてしまうとは思うけれど、今のところは大丈夫のようだ。


「そういえば、新しく就任した宮廷薬師の方が、

フリジア・アイアナ・メルンケート男爵令嬢だとはびっくりしました。てっきりヤムさんだと思っていたのですがね」

宮廷薬師の任命の話は、一般にはあまり詳しくは告知されないらしい。

その理由としては、他国からの引き抜きや誘拐の防止のためらしい。

そんな情報を、電話もインターネットもないこの世界で、いち早く入手しているのは流石と言えるだろう。

「一度間違えられはしましたけど、王様を騙そうとしていなかったのでおとがめなしでした」

とりあえず結果だけ報告する。

嘘は言っていない。

「そうでしたか。ですが私としては、こうやってお付き合いができるのが嬉しくもありますな。宮廷薬師になってしまったら、私達はおいそれと近寄れなくなってしまいますからな」

そういってメリックさんはにっこりと相貌を崩した。

「ところで…この見本はいただいてもよろしいですかな?扉の向こうから妻が睨んでいるような気がしまして…」

その笑顔には、いつの間にか脂汗が浮かんでいた。

定番の衛生用品の販売開始です


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします


作品とは関係の無いことですが、


2020年末4月12日に、

声優の藤原啓治さんが永眠されました。

陽気で子煩悩なお父さんから、

胸糞の悪くなる悪役まで、

幅の広い演技をされる大好きな声優さんでした。

心よりのご冥福をお祈りいたします。



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