閑話 13
お待たせいたしました
ヤムが拐われた後の動きです。
ちょっぴり短め
誤字報告ありがとうございました
~リーフェン王国国王 フォルス・ダガード・セルプセスの視点~
ヤムという娘の食事を食べた翌日の夕刻、サヘラ婆さんがやってきた。
俺にとっては、国王である俺を叱り飛ばしてくれる貴重な存在だ。
そのサヘラ婆さんが俺に会うなり、
「ヤムがお邪魔してないかい?」
と、いってきた。
この婆さんついにボケたかとおもったが、そうでないことはすぐにわかった。
普段はとぼけたようなこの婆さんの眼が、座っていたからだ。
あの娘が自分から城にくることなど絶対にありえない。
つまり、拐ったのかと聞いているのだ。
「来てないな。招待した覚えもない」
「そうかい。どうやら嘘じゃなさそうだね。やれやれ。お前さんがかこったんなら説教で済んだんだが、そうではないらしいのう」
このばあさんがこれだけ気落ちしているのは珍しい。
それだけあのヤムという娘が気に入ったのだろう。
「誰ぞ」
「こちらに…」
俺は、近くに控えている『耳目』を呼び出した。
「先の事実を公爵に知らせて、指示を仰いで探し出せ」
「承知」
『耳目』は、要件を聞き、命令を受けたらすぐに消えた。
婆さんは軽くため息をつき、
「美人じゃからのう。拐かされてもおかしくはないが、あの娘はサキュバスだ。むざむざ捕まらないだろうね」
そういいはなった。
たしかにサキュバスなら、飛んで逃げるなり、『魔眼』を使うなりすれば、楽に逃げられる筈だ。
と、なれば、
「顔見知りか人質をとられたか…。こういう手を使うのは、余程有能か余程のバカか…出来れば後者がありがたいな」
そういう選択肢が自然と出てくることになる。
「儂も商人の怪しいのを当たってみる。それにしても…この儂を出し抜くなんてやってくれるねぇ…どこの誰かは知らないけど」
そのときの婆さんの眼は、俺が子供の頃に見た、王宮魔道師であり魔道師団長だったころの眼に戻っていた。
~リーフェン王国公爵 クロード・ヴォルガルド・ロード・グランダットの視点~
あのヤムという娘が拐われてから6日がたった。
その間に私の元に届けられた情報には、1人の男爵の奇行が報告されていた。
義兄上。いや、国王陛下を苦々しく考えている連中や、日和見の連中の屋敷に訪れては、自分の配下にならないかと勧誘をしまくっているらしい。
その中で、ザザーコ男爵家は特筆することの無い平凡な貴族だ。
実際なぜ貴族であるのかもわかっていない。
噂程度ではあるが、過去に何度かあった動乱のどさくさに紛れて勝手に貴族になったのではとの話もある。
そして現在の当主は、いろいろと目立つ人物だった。
なので探らせたところ、見事に当たった。
すぐにでも救出をと考えたが、彼女の首には『隷属の首輪』がはめられていた。
『解除』の魔道具が無いうえに、屋敷の外に出られなくしている場合がほとんどだ。
恐らく、新年の宴で偽物の宮廷薬師の叙勲に乗り込んでくるつもりだろう。
彼女には悪いが、それまでは辛抱して貰おう。
こういう短慮な連中は始末にこまる。
パスメノス子爵が足を滑らせるのは、案外早いかも知れないな。
このあとの展開本当にどうしようと考えている今日この頃です。
誰かアイデアをください(笑)
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18禁版は近日に掲載予定