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閑話 9

ブックマークが200人を越えました!

拝読してくださった皆様、誠にありがとうございます。

~商業ギルド・リーフェン王国首都クルストン本部ギルドマスター サヘラ・フェテセイロ・アルセルフの視点~


今日の昼過ぎにギルドにやって来たヤムという娘。

とんでもない拾い物だねぇ。

大国の宝物庫にだって入ってなさそうなエクストラポーションの極上品、別名・フルポーションを儂の目の前で作ってみせた。

手紙にはあの子が商業ギルドに来た経緯も書いてあったが、薬師ギルドの馬鹿に感謝しないとね。


そこにノックの音が響き、

「お入り」

「失礼いたします奥様。お茶をお持ちしました」

執事のヨハンがポットを持って入ってきた。


儂がヨハンのいれた茶に口をつけていると、珍しくヨハンが口を開いてきた。

「奥様あのヤムという娘ですが…なぜ邸宅に?」

「気に入らないかい?」

「どこからかの手先という可能性も」

ヨハンの顔が厳しくなる。まあ無理もないさね。

商業ギルドのマスターともなれば、どこで恨みを買っているかわかりゃしない。

警戒するに越したこたぁない。

だが少なくとも襲われたりはしないだろう。

「それはないさ。リガルト坊やの封蝋と魔法付きの手紙は本物だし、本人の容姿も一致してる」

「で、あったとしてもなぜ…」

食い下がるヨハンに、儂は茶をすすりながら、あの娘を屋敷に泊めた理由を説明してやる。

「1つ目は、今のクルストンじゃあ宿なんかみつからないからね。若い娘を寒空の路頭に寝かせるのは酷だろう?あれだけ美人なら尚更だ。若い頃の儂程じゃないがねぇ♪」

儂の発言にも、ヨハンは難色を示していた。

なので、だめ押しを与えてやる。

「もうひとつはこれさ」

「ポーション…で、ございますか?」

儂が差し出したポーションを受け取ったヨハンは、訝しげにそれを見つめている。

「そいつはあの娘が私の目の前で作ったエクストラポーション。しかも極上品のフルポーションさ」

「まさか!?」

儂の言葉を聞き、ヨハンはポーションをガン見する。

まあ無理もないさね。

儂でも、うら若き見習い魔道師だったころに、師匠に見せてもらったのは、ダンジョンで見つけたというエクストラポーションの高品質だった。

「事実さ。それも2本」

そういいながら、もう1本をテーブルに置くと、ヨハンは信じられないものを見た顔になり、深く溜め息をつきながら、ゆっくりとポーションをテーブルに置いた。

そうしてハンカチで冷や汗を拭き、あらためて儂に向き直った。

「では今話題になっているメセで活躍した薬師というのは…」

「多分偽物だね。メセの薬師ギルド長が自分達の手柄にしようと名声を利用したんだろう」

「あの娘はそれを訴えに?」

「逆さ。王様に関わりたくないからちょうど良かっただとさ。王都に来たのは、純粋に祭り見物らしい」

そのほうがあの娘に眼がいかなくていい。

まあメセの街を修めているゼルバンドの坊やは知っているかもしれないけど、その辺りは目端がきくから心配はないだろうね。

「これだけ価値のある人間に親切にしておけば、なにがしら見返りがあるもんさ」

そういいながら、儂は2本のフルポーションを特製の金庫にしまいこむ。

「ではあの娘…ヤム様に護衛をつけることに…」

「下手にしない方がいい。価値ある人間と思われるからね。まあ、あの娘は淫魔だから価値ある魔族になるかね」

2つある魔族の国か、それとも別の国から流れてきたかは知らないが、この国に居着いてくれるなら儲けものさね。

「明日の宴が楽しみだね。どんな偽物がでてくるのやら」

精々嫌われないようにしないといけないねえ。




~リーフェン王国貴族 薬師ギルド・リーフェン王国地方都市メセ支部ギルド長 ダルスノン・バドゲン・パスメノス子爵の視点~


僥倖だ!

この私の支配する薬師ギルドのあるメセでモンスタースタンピードがあり、その最中に薬師が活躍したという。

しかもその者は平民だという。

ならば、その功績はこの私のものにしてやるのが、その平民にとっては名誉極まりないことだ。

その幸運に泣いて喜ぶ事であろう。

しかし悔しいことに、その薬師は若い女とのこと。

男であったならこの私自身が宮廷薬師になれたものを!

しかもその事はかなり広がっており、王都に報告にいく連中を買収したとしても、隠蔽は難しい。

なので、所属していたメルンケート男爵の娘である、フリジア・アイアナ・メルンケートを代役に立てた。

幸いこの娘も乗り気だ。

あとはこの娘が宮廷薬師になれば、彼女を見いだし、的確な指示をした私には、王都の薬師ギルドの副ギルドマスターくらいの地位は確実だろう。

場合によっては昇爵もありうる。

そうすれば王族とも繋がりができる。

あとは、実際に活躍した平民の娘を確保し、奴隷にしてフリジアの代わりに薬を作らせるだけだ。

そうすれば、私の未来は約束されるのだ!

そして今!

私はフリジアを伴って、建国記念の宴が開かれている大広間へ向かうのだ!

これから暫くは閑話が多めになりますのでご了承ください


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします



PS…ブックマーク200人突破記念というわけではありませんが、本作品内の『ここはR18でもいいかな』と思ったところを、R18内容にして、ノクターンに掲載予定です。

よろしければどうぞ。

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― 新着の感想 ―
[一言] サヘラ婆さん良い人なのか?したたかと言った方がいいのかな。ダルスノン、こいつは碌な奴じゃなさそう。偽物がばれたらとかに考えがいかない所でもう駄目だな。
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