第45話 初めての旅行⑥ 襲撃と発覚
ちょっと短めです
1/28 文書を一部修正しました
不意に冒険者達が慌ただしくなった。
下馬したり、武器を構える音が響き、
「オークの集団だ!乗客は馬車からでるな!」
という、乗客全員に護衛達からの指示が飛ぶ。
その声と同時に狼獣人の女性が飛び出し、若旦那さんは、寒さ避けではない結界の魔法を馬車にかけた。
馬車の外からは
『ヒトクウ!』
『メスニコヲウマセル!』
と、いきりたちながら近づいてくるオーク達の声が聞こえてくる。
老夫婦や親子はしっかりと抱き合い、行商人さんは荷物に抱きつき、若旦那さんは本を持ったまま入り口を睨み付けていた。
だが冒険者達は、みんなかなりの強者だったらしく、10分もしないうちに、オーク達の声が全て聞こえなくなった。
「オークは撃退したぞー!」
冒険者の責任者の女性の声がひびくと、全員がほっと息つく。
幌の幕が開き、狼獣人の女性が帰ってきた。
「ただいま戻りました」
「おかえりミレイユ」
狼獣人の女性は、怪我をした様子もなく、馬車に乗る前に、剣や鎧に着いた血を拭き取りはじめた。
そのとき、あの嫌な声が響いてきた。
「おい!どういうことだ!死ぬかと思ったぞ!」
「物凄く怖かったのよ!慰謝料をはらいなさいよ!」
この世界の旅行は、こういったモンスターや盗賊の襲撃と言うのは、切りたくても切り離せないものなのは常識だ。
であるにも関わらず、こういった主張をするのは頭がおかしいとしか表現しがたい。
にも関わらず、あの親子は、オークに襲撃されたことに対して、冒険者と御者に文句を言っていた。
だが、冒険者も御者もまったく相手にせず、手際よく処理を済ませて出発した。
親子はぎゃあぎゃあとわめいていたが、馬車が出発すると、慌て乗り込んでいた。
夜営地に到着し、夜営の準備をしている間、あの親子は不気味なまでにおとなしかった。
が、その日の深夜。
「捕まえたぞ!」
突然男性の大声が響いた。
外にでてみると、あの親子が大人数に囲まれ、冒険者に取り押さえられていた。
「一体どうしたんですか?」
「この連中が盗みを働いた」
囲んでいた1人に尋ねたところ、分かりやすい答えが帰ってきた。
そしてもちろん、彼等は観念などしていなかった。
「俺達は高価そうなもんを預かってやってただけだ!」
「そうよ!むしろあんた達が感謝して保管料を払いなさいよ!」
親の発言は当然だが、
「俺が持ってた方が有効的に使ってやれるからもらってやったんだ!」
まるで頭の悪い貴族のような子供のセリフにも、全員があきれ返った。
親子は縄で縛られ、冒険者達が乗る馬車の床に転がされることになった。
それはたとえ子供であろうと、容赦はなかった。
王都に到着したら、警備隊に引き渡す事が決定したようだ。
もちろん彼等はわめき散らした。
が、冒険者達のリーダーの女性が、討伐証明のためのオークの頭を突き付け、
「いまここでこうなりたいか?」
と、脅すと、静かになった。
ついにやってしまいました。
犯罪者奴隷へのジョブチェンジ確定です
先日の松葉づえの案件は、完治いたしました?
誤字報告ありがとうございました。
自分では気がつかないものですね
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




