第5話 種族変更ガチャ
短めです
「そういえば、転生先はどんな所なのでしょうか?」
これは聞いておかなければいけないと思った。
その世界で役に立たない技能を訓練しても意味がないからだ。
「うむ。お前さんを転生させる先は、所謂剣と魔法の世界というやつじゃな。たしか…ルタースじゃったかのう」
「あ、そういうのならなんとかわかります」
小学校・中学校と、僕の分だけ給食費が払われていなかったために、担任に給食を食べさせて貰えなかった。
なのでその時間は図書室にむかい、ずっと本を読んでいた。
そのなかに、王道ファンタジーの作品があったので、ある程度は理解が出来た。
「じゃあ、怪我や病気を治す魔法とかあるんですか?」
「うむ、あったはずじゃ」
「そうですか」
その瞬間、訓練する内容が決まった。
「では早速種族を決めようかのう」
「もう決めるんですか?」
髭を撫でる神様の言葉に、驚いて眼を見開いた。
てっきり転生する直前にするものだと思っていたからだ。
「身体を慣らしておいた方がよいじゃろう?」
神様は片方の眉をあげてにやりと笑った。
すると、テーブルの上に四角い機械が現れた。
「このレバーを回して出たものが、お前さんの種族になる」
それは、いわゆるガチャガチャと呼ばれるものだった。
見たことはあったが、やったことは無かった。
「じゃあ引かせて貰います」
なので、ちょっぴりワクワクしながらガチャガチャを廻してみると、カプセルがころがりでてきた。
それを手に取り、暫く眺めてからカパッと開けてみた。
すると、身体が光に包まれ、その光が収まると、僕の体は劇的な変化を遂げていた。
僕が自分の身体をチェックすると、
頭には巻き角、
背中には大きな被膜の羽根が生え、
お尻からは先端がスペードの形になった黒い尻尾が生え、
何よりその身体はスタイルのよい女性のものになっていた。
生前に女性と関係を持ったことはないし、そういう雑誌を見る機会も少なかったので、どうしても興味が湧く。
僕が思わず2つの大きな山を触ろうとすると、神様が笑いながら声を掛けてきたので、慌て姿勢を正す。
「かっかっかっ♪これで、お前さんの転生後の種族は淫魔・サキュバスに決定じゃ。変更や抗議は受け付けんからな」
穏やかに話してはいるが、反論は許さないという雰囲気をかもしだしていた。
「はい。なんとか頑張ってみようと思います」
性別が変わってしまったのは驚いたが、直ぐに殺されるような生き物ではなかったのは幸いだろう。
だが、このあといずれ訪れる様々な厄介事を、この時の僕は知るよしもなかった。
正式にはカプセルトイっていうらしいですね。
サキュバスの頭は、羽根の方にしようかどうか迷いました