第41話 初めての旅行② 出発前の不安要素
お待たせしたしました。
ちょっと短めです
翌朝。
僕はウキウキしながら馬車の発着場にやってきた。
チケットカウンターにいき、チケットのチェックをすませると、指定の馬車にむかう。
そこには、馬車のチェックや、荷馬を馬車に繋いだりしている御者さんや見習いの人達がいた。
「おはようございます。王都までよろしくお願いしますね」
「任せといてください。ですが、何かあった時は、こちらの指示に従ってくださいね。あと、行程時の規則も守るようにお願いしますよ」
「はい。わかりました」
御者さんは、チケットのチェックをしながら、軽く注意を促してくる。
ちなみに、定期便馬車を利用料をする時の規則は、
1・理不尽及び犯罪になるようなものでない限り、御者及び護衛の指示には従う。
2・食事・寝床(寝具)は自分達で全て用意をする。
3・他者の迷惑になるような行動はしない。
4・上記の項目及びその他迷惑行為があった場合、営業妨害・盗賊本人・盗賊の引き込みと見なして、処分もやむなしとする。
と、いうものである。
ちなみに、馬車は御者2人・乗客数8人の10人乗りの幌馬車で、全部で12台。
内2台は護衛の冒険者用。
さらにもう3台が貨物専用。
のこりの7台が旅客用。
さらに8頭の馬に冒険者が乗って随伴する。
御者は14名で、内1人が全体の責任者。
冒険者は18名。
乗客は56名。
計88名が今回の定期便一行になる。
綺麗に整列している馬車を眺めていると、
「おはよう。少し雲が出ているようだね」
なぜかリガルトさんがやってきた。
旅装などはしておらず、いつもの服装だったので、ついてくるとかではなさそうだ。
「おはようございます。どうかしたんですか?」
「実は、1つ頼みがあるのだが、よろしいかな?」
「なんでしょう?」
「この手紙を王都の商業ギルドマスターに渡して貰えないだろうか?」
リガルトさんはそういって、封蝋のついた手紙をさしだしてきた。
「それは構いませんが、私が持っていって大丈夫なんですか?」
こういう手紙は、きちんと依頼を受けた冒険者や、身元のはっきりしている人でなければいけない気がするのだけれど。
「それは問題ないだろう。君自身も商業ギルドに登録しているのだから」
そういえばそうだった。
そんな話をしていると、前の方になる幌馬車のあるほうから、大声が聞こえてきた。
なんだろうと気になって見に行くと、30代前半くらいの男性と、20代後半くらいの女性。
そして10歳くらいの男の子という家族連れと、御者さん達が口論をしていた。
「ですから、この馬車は8席あるし、お客さんも多いんだから、全部の席にお客さんを乗せるに決まってるでしょう!」
「ふざけんな!8人も乗ったら狭苦しいだろうが!」
「そうよ!私とこの子を病気にする気?!」
「ですから、この馬車は8席あるんですから、貸しきりにしたけりゃあと5席分チケットを払ってくださいよ!」
「なんで払わなきゃいけねえんだよ?」
「そこはあんた達が気を利かせるところでしょう?」
親子連れは、我儘極まりない要求を、御者の人にぶつけていた。
「あの家族には気を付けた方がいい」
「そうみたいですね…」
僕もリガルトさんも、その親子連れの行動に眉を潜めた。
そんな不安を感じながらも、出発の時間がやってきた。
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最近、TSUT◯YAの店舗に展示してあった『キングダム』のポスターの文字『KINGDOM』を見て、
『キングドム』と、読んでしまいました…




