閑話 8
短めです
~パウディル聖教巡教団団員 ラーナの視点~
今回の巡教地・リーフェン王国の地方都市メセでは、本当にいろんなことがありました。
着いたそうそうのモンスタースタンピード。
逃げ出した上に、聖堂を封鎖していった拝金主義の者達への怒り。
救護活動がはじまった時に、街の人達が直ぐ様に協力してくれたこと。
そしてなにより驚いたのは、ヤムという女の人の治癒魔法の技術と魔力でした。
実は転生者の私は、人より多くの魔力をもっています。
その私と同等、下手をするとそれ以上の魔力を持っているのではないかと思うほど、魔法で治療をしていても、魔力が切れることがありませんでした。
その上治療も的確で、学校の保健体育レベルの私とは段違いです。
ラノベなんかでは主人公は色々活躍してるけど、それを上回る人は居るものだと感心しました。
そんな彼女はサキュバスでした。
サキュバスと言えば、ゲームやラノベにも登場するHなモンスターですが、この世界ルタースでは、純魔族・吸血鬼と共に魔族と呼ばれ、エルフやドワーフのように、人間との交流もあり、普通に文化的な生活をしています。
魔族だけの国ももちろん存在します。
しかし何よりの問題なのが、フレーメル王国の工作員が居たことです。
あの国は近年になって人間至上主義を掲げ始めました。
何でも人間だけが、創造神・女神パウディルの祝福を受ける価値があるのだそうです。
元々キナ臭いことばかりやっている国家なのは有名ですが、益々駄目な方向に向かっているようです。
女神パウディルは平和に生きようとする全ての者達に祝福を与えてくださいます。
人間にだけ祝福を与るなどと、聞いたことがありません。
御本人から聞いたのですから間違いありません!
ともかく今回の事は、リーフェン王国の国王陛下と、我がパウディル聖教の法王猊下に報告されることでしょう。
しかしもうひとつ気になることがあります。
サキュバスの女性、ヤムさんが『パウンドケーキ』と言ったことです。
この異世界ルタースは、料理も製菓もあまり発達していません。
私はお料理もお菓子も、知識も腕前も壊滅的なので作れません。
今までこちらに来た人達の中にも、広めた人はいませんでした。
なので、パウンドケーキなどあるはずがないのです。
もしかすると、あのヤムさんは、私と同じ転生者なのかもしれません。
もしヤムさんが転生者なら、あの治癒魔法の技術と魔力も納得できます。
だとすれば、注意しなければいけないかもしれません。
今のところ悪い印象はありませんが、そう装っているのかもしれません。
ラノベでは、転生や転移をしてきた人のなかには、能力を悪用する輩もいます。
彼女。もしかしたら元々は男性かも知れませんが、善良な人であるかどうかは、まだまだ判断材料が足りません。
今度、パウディル様に訪ねてみることにしましょう。
出来れば善良な人であることを願いたいものです。
初の転生者登場です。
彼女は、前世から美人で人気者でした。
よくあることなのですが、『ヤム』と書いて変換しようとすると、
『ヤム◯ャ』とでてくるときがあります。
鳥山明先生が偉大なのがよくわかります。
ご意見ご感想よろしくお願いいたします




