第39話 最後の襲撃
短めの間隔での投稿です。
前話がちょっと長いかなとおもったので切り離した部分に加筆したものです
残っていた怪我人を全員治療し終わったころには、街はだいぶ落ち着いてきていた。
日は傾き始め、だんだんと寒さが増してきはじめる。
もし、モンスタースタンピードを終息することができなければ、全員がこの寒さのなかを、安全な場所まで強行軍をしなければならなかっただろう。
そんなことに安堵し、テントの片付けをしていると、不意に後ろから声をかけられた。
「甘い匂いがする…」
「「うわっ!」」
一緒に作業をしていたラーナさんまで驚いた。
声のした方に振り向いてみると、その正体は冒険者ギルドの諜報員?の、モーティアちゃんだった。
「誰ですか貴女?」
彼女と初対面のラーナさんは、おんぶお化けになっているモーティアちゃんを驚愕の表情でみつめている。
「冒険者のモーティア」
モーティアちゃんの方は、いつものぼんやりした表情を向け、気の無い挨拶をする。
「それは…お疲れ様でした。ありがとうございます」
ラーナさんは、モーティアちゃんが冒険者と名乗ると、丁寧に返答と労いの言葉をかける。
と、その瞬間モーティアちゃんの表情が引き締まる。
そして僕の匂いを嗅ぎ始めた。
「レジルスの匂いがする…」
その言葉に僕は驚いた。
パウンドケーキをつくったのは前日の朝。
今日の昼までやっていたポーション製作時のローア草などの匂い。
さらに直前まで手当てなどしていた怪我人の血の匂いもあるだろうに、なぜわかるのかが不思議で仕方ない。
「レジルスの匂い~」
鼻を鳴らしながらしがみついてくる様子は、動物を彷彿とさせる。
「わかりましたわかりました!後で冒険者ギルドにもっていきますから」
「ちなみにどういうお菓子?」
「レジルスのパウンドケーキですよ」
モーティアちゃんの質問に、僕は普通に答えた。
その時、ラーナさんの眉がピクリと反応したことに気がつく事無く…。
その夜は、街をあげての宴会に突入した。
もちろん全員ではなく、領主のゼルハンド伯爵や冒険者ギルドや商業ギルドの全職員。
動くことのできる警備兵。
酒場や宿屋の従業員は忙しく働いていた。
その全員の顔は、喜びにあふれていた。
余談
翌日の朝に商業ギルドのロビーで、ポーション制作の謝礼の話をしていた時に、ルイーダさんがやってきました。
そして、
「はぁいヤムちゃん♪石鹸と洗髪剤は持ってきてくれてるのよね?」
の一言に、アイーダさんやミルカードさんを始めとした女性達が色めき立ち、取り囲まれました。
そして笑顔の尋問により、石鹸・洗髪剤・調髪剤そして、ナターシャさんに渡していた薬用オールインワンクリームの存在まで喋らされました。
暴力はありませんでしたが、前世で不良に囲まれて袋叩きにされた時よりも怖かったです…
いつのまにかブックマークが150どころか160になってました!
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