表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/128

第37話 黒幕の魔道士

お待たせいたしました。

「フフフフフフ…ハハハハハハ…アーッハッハッハッハッハッハッハッ!」

魔道士風の男の突然の笑いに、僕や街の人達、仲間の男達やフォルミナも驚いていた。

「ちょっと!いきなりなんなのよ!」

「くくく…。人間は、意外すぎる事が起きると笑ってしまうと言うのは、本当の事だと言うことが実感できたよ」

男は手を顔にやりながら、笑いをおさめると、僕に視線を向けてきた。

「まさか、行き掛けの駄賃に連れていこうと思っていた薬師が、まさかサキュバスだったとはな…」

男の僕を見るその目は、僕が前世において、全ての人から向けられていた視線と同じだった。


情けない事に、少しではあるが、その視線に恐怖を感じてしまった。


「せっかく俺の情婦にして、ポーション作らせて金を貢がせようとおもったのに…下等な淫魔風情じゃあ奴隷にしておくしかねえじゃねえか!あ、ポーションはそのまま作らせればいいのか」

男はフォルミナ同様の、身勝手な発言をしていた。


同じ穴の狢なのは分かっていたけれど、しっかり言葉にされるとなかなか腹が立つものだ。


そしてその男に向けて、先ほど僕が人質の女の子とランドドラゴンの召喚アイテムを奪い取ったことについて、フォルミナが噛みついた。

「ちょっと!あいつは私の奴隷にするのよ!それに、どうして『隷属の首輪』が効いてないのよ!」

「当たり前だ。あの首輪を着けた者が主人と認定するのは俺だからな。俺に危害を加えようとしたり、俺の命令に逆らわない限り、自由に動けるさ」

男は吐き捨てるようにフォルミナに言い放つ。

「騙したのね!この首輪を着けさせれば私の奴隷になるっていってたのに!どうしてよ?どうしてこの私を裏切るのよ?!」

フォルミナは、信じられないものを見るように男を見つめ、男の胸ぐらに掴みかかる。

「裏切ってないぜ?元々お前を利用するために近づいただけだ。それに俺はお前みたいなケバイ女は嫌いなんだよっ!」

「うぐうっ!」

男はいきなり、フォルミナの腹にナイフを突き刺し、

「おらっ!」

「うあっ!」

思い切り蹴り飛ばした。

フォルミナは腹から血を流し、地面に転がっているが、仲間の男達は誰も助けようとはしていない。

それどころか、にやにやと笑っているだけだった。

それは、彼女と男達の関係性を如実に表していた。


僕は思わずフォルミナに近寄り、治癒魔法をかけてしまった。

いままでずっと救護をしていたからなのか、自然に身体が動いてしまった。


その間に、男は地面に転がるフォルミナに侮蔑の視線を向けた後、

「光の翼よ!我は天翔(あまかけ)(きら)めきとなる!『光臨飛翔(ライトフライト)』!」

突然呪文で空に飛び上がり、上空8m程のところで制止した。


に、しても、なかなか恥ずかしい詠唱だと思う。


男は不意に僕に視線を向けると、

「淫魔!そのランドドラゴンの召喚アイテムを持って俺の横に来い!」

当然のように命令をしてきた。

なので僕は、男に近づくため、そのアイテムをもったまま、その男のところまで飛んでいった。

そのため男は、僕の『隷属の首輪』が機能していると確信しているのか、まったく警戒をしていなかった。

「ここでもう一度ランドドラゴンを呼べば、この薄汚い街も終わりだ!耳長や岩チビや動物や魔族なんかに生活する権利を与えているなど反吐がでるからな!」

男はまるで汚いものを見るように、街全体や街の人達をにらみつけていた。


その男の発言に、ラーナさんが前にでてきて、男に話し掛けてきた。

「そういう発言をするということは、貴方は最近人間至上主義を唱えているフレーメル王国の人ですね?」

そう発言するラーナさんの表情は、物凄く険しいものだった。

初耳の話だったが、言葉の意味は直ぐ理解できた。

さっきの男の発言から考えると、間違いなく、ろくでもないことだろう。

「…」

男はラーナさんの発言に対してなにも喋らなかった。

が、その表情は苦虫を噛み潰したようなものになった。

「黙っているという事は、間違いありませんね。それにしても他国に来ての、人為的なモンスタースタンピードを引き起こすなんて…。女神パウディルはお許しになりませんよ!」

ラーナさんは強い口調で男を叱責した。

その発言内容に男は真っ赤になり、怒りの形相を浮かべる。

「だまれ!女神パウディルに仕える聖職者の癖に、亜人や獣や悪魔のカタを持ちやがって!この俺が神に代わって天罰を与えてやるっ!」

男は怒りの視線と罵声をラーナさんにあびせると、また恥ずかしくなる詠唱を始めた。

「焔よ!我が敵は汝が敵 その灼熱の牙を、我が眼前にある全てに向けて突き立てよ!獄炎(インフェルノ)…」

明らかに、ラーナさんを含めた多数の人達に被害が及びそうな魔法っぽい詠唱をしている。

もちろん撃たせるわけにはいかない。

「『解除(ディスペル)』」

魔法の効果を消滅させる解除の魔法を、かなりの魔力を込めて男にはなった。


その瞬間、男が掛けていた飛翔の魔法と、火炎系の魔法が同時に消滅した。


そして飛べなくなった男は、

「え?」

地面に落下した。

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

が、地面に叩き付けられる寸前に、念動の魔法で急ブレーキをかけてストップさせた。

すると男は気絶し、失禁してしまった。

男を気絶から覚めないように地面に落とすと、

「『拘束(バインド)』」

その場から逃げようとしていた、フォルミナの手下の男達を、全員まとめて拘束した。



派手な戦闘は、基本ほとんどありません。

攻撃手段が杖術と魔法弾だけなので、派手に出来ないのです。

魔眼だとその瞬間に終了に…


なんとか使いどころを頑張ってみます!


ご意見ご感想お待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ