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第35話 馬鹿女の逆恨み

お待たせしました


ざまぁの対象の登場です


運ばれてくる怪我人達からの話によると、小型・中型のモンスターはあらかた駆逐され、あとはこのモンスタースタンピードの原因であるランドドラゴンと、大型が数匹という状態らしい。


この救護所も、マジックハイポーションはのこり3本。

全員がへろへろの状態で、怪我人を治療している。

城壁の向こうからは、時折爆音と衝撃波が襲ってくる。


冒険者達は、それを聞いていたとしても、治療が終われば、城壁の向こうに向かっていく。


僕はここではなく、城壁の外に向かうべきだったのかなと、後悔しはじめた。


すると、外から城壁を崩さんばかりの歓声が響き渡った。

「やったぞー!ランドドラゴン始め、全てのモンスターの討伐を確認!」

城壁の伝令が、拡声器のような魔道具で、冒険者達の勝利を伝えていた。


とはいえ、怪我人が居ないわけではない。

増えなくなっただけで、それまでに怪我をした人はまだまだいる。

なので、救護所の仕事はまだまだ終わらない。


冒険者で動ける人は、モンスターの素材や魔石集め。

怪我人の搬送。

そして、遺体の搬送をはじめた。


さすがに即死した人は、ハイポーションでも治らないし、蘇生魔法については、智嚢神様が

『地上の生き物にとっては禁忌に触れるものなので、どういうものかは教えておくが、やり方は絶対に教えないし、会得しようともしないように』

と、釘をさされたので会得せずにおいたので、使うことは出来ない。

なので、冥福を祈ることと、街を守ってくれた事への感謝することしかできない。

それこそ、生死を操れるのは神様だけで十分だろう。



それから1時間ほどして、怪我人の搬送はなくなり、治療も9割は終了した。

街の人達も元の生活に戻るべく、行動を始めていた。


その時。


救護所に武装した一団がやってきた。

明らかにガラが悪く、街の存亡に関わるモンスターとの戦闘には参加していないのが見ただけでわかった。

そして、その中の一人が、小さな女の子を羽交い締めにして、ナイフを突き付けていた。

そしてその先頭には、あのギルドの元・受付嬢フォルミナがいた。

彼女には、不法な奴隷売買に関して、逮捕状と手配書がだされているらしい。


彼女は一歩前にでると、治療に当たっていた人達や怪我人達を、睨みながら見回し、

「ヤムって女がいるでしょう?出しなさい!」

それを聞いた瞬間。

僕は視線が集まる前に、彼女の前にでた。


僕が前に出てくると、フォルミナとその後ろの男達はにやにやとした笑いを浮かべていた。

「私がヤムです。どういうご用件ですか?それよりまずその子を離してもらえませんか?」

男の1人に拘束されている女の子は、涙目で恐怖に震えている。

その子を解放させてからと思ったが、案の定こちらの言葉には耳を貸さなかった。

「久しぶりね田舎女。あんたのせいで私は今までの地位を失い、犯罪者の濡れ衣を着せられたわ」

なんとも図々しい発言だ。

父親の権力を傘に着てやりたい放題。

気に入らない女性冒険者を、たぶん後ろにいるチンピラ冒険者に襲撃させて、違法な奴隷商人に売り飛ばす。

おまけにギルドの仕事はろくにせず、イケメン冒険者に色々貢がせていたらしい。

であるにも関わらず、自分は無罪だと言い張っている。

呆れすぎて言葉を失った。


が、なんとか気を取り直し、

「女性冒険者を奴隷として売り飛ばしていたと聞きましたが?」

と、ストレートに反論をしてみた。

「はあ?私は同業の冒険者に、『あの子は冒険者に向いていないから、新しい就職先を世話してあげて』って頼んだだけよ」

不機嫌を隠そうともせず、フォルミナは自分は無関係と言い捨てる。

その内に、騒ぎを聞き付けた警備兵や街の人達、さらにはリガルトさんたちまでやってきた。

それでもフォルミナと男達は、余裕の態度を崩さなかった。


するとフォルミナは、僕に向けてなにかを投げつけた。

それは、明らかに怪しい首輪だった。

「これをどうしろと?」

「それをつけなさい。何でもあんた、高値で売れるポーションが作れるらしいじゃない?私の奴隷になってたっぷり稼いでもらうわ。断るならこのガキを殺すわよ」

フォルミナは、別の男のからナイフをうけとると、人質の女の子に突きつけた。

「リノ!」

女の子の母親らしい女性が、必死の形相で近寄ろうとしているが、他の人達にとめられている。


僕は首輪を拾うと、その首輪を見つめ、『解除(ディスペル)』の魔法を、詠唱することなくかけた。

明らかに、装着した人を奴隷にするための魔道具だったのと、そのあとの展開が読めていたからだ。

「着けましたよ。その子を解放してください」

僕が首輪を着けたのを確認すると、フォルミナはしてやったりという表情をうかべ、

「するわけないでしょ。この街の連中はみんな殺す予定だもの。そもそもこのモンスタースタンピードは私が起こしたのよ。この街で一番価値のある女である私を排除したんだから当然よね」

予想通りの反応をしたフォルミナの発言に、全員が驚愕する。

そして丸い水晶玉をとりだし、僕や街の人達にみせつける。

「これが、ランドドラゴンを召喚するアイテムよ。冒険者もへろへろな今の状況なら、倒されることはないわ。この私に無礼を働いた街の連中なんか皆殺しが当然。まずはこのガキからね♪」

フォルミナは、女の子にナイフを振り下ろす。


その時、僕は自然と身体が動いていた。

子供を人質にするのは悪党の定番ですね


ご意見ご感想よろしくお願いいたします

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