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第30話 メセの街の風景④

お待たせしました

毎日暑いですね~


商業ギルドでの買取が終わると、まずは暖炉亭に向かった。

以前、図書館にいってから向かったところ、部屋が満室で泊まれなかった事があるため、その対策のためである。


「こんにちわ。お部屋は有りますか?」

「いらっしゃい。空いてるよ!」

カタリナさんが酒場のスペースを掃除していた。

そしてそこには、カタリナさんの旦那さんデニスさんと、見知らぬ男性が、なにやら真剣に話し込んでいた。


「あの…なにかあったんですか?もし、怪我とか病気なら薬を処方しますよ!」

その余りにも真剣な様子に、ちょっと心配になり、声をかけてみた。

「いやいや、病気や怪我ではないよ。実はこの英魂亭のご主人が、間違えてカフト(じゃがいも)を大量に仕入れちゃってね。このままじゃ腐って赤字になってしまいそうなんだ」

「それで、俺より料理上手なデニスに相談をな」

僕の様子に、デニスさんは笑いながら否定し、事態を説明してくれた。

英魂亭のご主人は、がっちりとした身体に、顎全体を覆う髭、綺麗な禿頭(はげあたま)という、一見盗賊の親分みたいな人だった。

「うちのバカ息子が間違えやがってな。どうしたもんか」

よく見れば、テーブルにはいくつかじゃがいもが置いてあった。

じゃがいもは保存が効く作物だが、収納場所の限界もあるだろう。

思い付くじゃがいも料理はいくつかあるが、手間のかからないものというと一つしかない。

「あの…食用の油っていっぱいありますか?それと、底の深い鉄のお鍋」

僕の突然の質問に、3人は不思議そうに顔を向けてくる。

「両方ともあるけど、どうするんだい?」

「そのカフトを使った料理があるんです」


デニスさんは、僕を厨房に案内し、食用油と底の深い鉄鍋を用意してくれた。

「それで、なにをするんだ?」

「まずはカフトをよく洗います。土とかが付いてたりしますからね」

見たところじゃがいもは新鮮なので、軽く洗っただけでよさそうだった。

芽が出ているような場合は、芽をとり、皮は気持ち厚めに剥く方がいい。

「つぎに、カフトを八つほどの大きさにくし切りにします。そしてそれを水につけておきます。その間に、まずは油を鍋に入れます」

これには2人とも驚いていた。

実はこのルタースには、『揚げる』という調理法が産み出されていなかった。

だから、いけるのでは?と、思ったのだが、当たりだったようだ。


「次にかまどに火を入れます。そして油が温まったらを水を切ったカフトを投入。これで色が変わって来たら取り出します」

しばらくするとじゃがいもの色が変わってきたので油からあげて塩をふる。

「これで出来上がりですね。熱いから気をつけてください」

3人がじっと眺めたあと、

「じゃあ試しに…」

カタリナさんが一つ口に入れる。

が、暫く咀嚼すると黙りこんでしまった。

もしかしたらこの世界の人の口には合わなかったのだろうか?


謝って片付けようと思った矢先、カタリナさんはジョッキを手に取ると、ホルブ(ビール)をなみなみとつぎ、ポテトフライを口に放り込み、ホルブを一気に流し込んだ。

「デニス。これはまずい…本気でまずい…ホルブがっ…ホルブが止まらなくなるっ!」

カタリナさんはジョッキを握ったままプルプルと震えていた。


それを聞き、デニスさんと英魂亭の御主人も、ポテトフライを手に取る。

「上手い!まさかカフトにこんな食べ方があるなんてしらなかったよ!」

「お嬢さん、ヤムさんだったね。こんな調理法をどこで学んだんだい?」

英魂亭の御主人は、ポテトフライを手に、僕に迫ってきた。

「…薬師の先生と、薬の材料を試行錯誤している時にたまたま…」

普通の人だとわかってはいても、風貌の迫力から気圧されてしまう。

「詮索は野暮だよ。それより、これなら在庫を捌けるんじゃないかい?」

「そうだな。作り方も簡単だし、ホルブも一緒に売れそうだ!」

英魂亭の御主人は、嬉しそうにポテトフライを眺めていた。

「それより、泊まっていくなら部屋はいつもの2階の奥だよ」

「ありがとうございます」

ポテトフライを手に話し込み始めた2人を他所に、カタリナさんはいつも通りに、部屋の鍵を渡してくれた。


部屋にはいると、荷物を神様のバッグにいれ、それだけを肩にかけ、図書館へむかった

また日常風景です


ポテトフライも定番の1つですね

今回つくったのは皮つきのやつです


ご意見・ご感想よろしくお願いいたします


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― 新着の感想 ―
[良い点] ちゃんと芋を揚げる前に水につけてる。 些細な工程だけどマトモに芋を揚げるなら必須。 の、割りにこのての作品で描写を見たのは初めてな気がする(笑)
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