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第29話 メセの街の風景③

お待たせしました

メリックさんと世間話をしているうちに、僕の順番がやって来た。

指定された商談室には、アイーダさんがいた。

ミルカードさんが配慮をしてくれたのだろう。


「いらっしゃいヤムちゃん。待ってたわよ!さっそくだけど品物を出してね」

「はい。今回は先日とちがって、いつも通りの数になるんですが…」

「その辺りは聞いてるから大丈夫よ♪」

アイーダさんは、査定用の用紙を取り出し、インク壺とペンを取り出した。


僕は商品をテーブルに並べ終わると、アイーダさんに話しかけた。

「先日は申し訳ありませんでした。私の問題に巻き込んでしまって」

するとアイーダさんは、此方を見ることも手を止めることもなく、

「気にすることないわよ。元々私達商業ギルドは、あの冒険者ギルド長を叩き出す話を、姉さんのパーティーメンバーから聞かされててたからね。あいつのバカのお陰で流通はとどこおるし、国外の品まで入りにくくなってたんだから。むしろ巻き込んだみたいになったんだから、こっちが謝らないといけないくらいなのよ」

前任者のディウスに対する話をしてくれた。

「じゃあこれが今回の代金ね。いつもながらいい品質よね」

アイーダさんは、僕の作ったポーションを嬉しそうに眺めつつ、代金を渡してきた。


僕は代金をしまってから、レジルス(オレンジ)のパウンドケーキが2本入ったバスケットを2つ取り出した。

すると僕が説明をする前に、

「お詫びの品ね?さっきの私の話を聞いたとしても、自分がきっかけで知り合いに迷惑をかけたのが申し訳ないからせめてものお詫びとしてもってきた。そうよね?」

「はい…」

物凄い迫力で全てを説明してしまった。

「レジルスのパウンドケーキです。皆さんでどうぞ」

「ありがと~家に帰ったら早速いただくわ♪」

アイーダさんがパウンドケーキが入ったバスケットを手に取ろうとした時、

「そう。じゃあ早速切り分けないといけないわね♪」

僕とアイーダさんしかいないはずのこの部屋で、横から声がした。

「ミルカード主任っ!いつのまにっ!?」

それは、受付で急がしそうにしていたはずの、ミルカードさんだった。

「せっかくヤムちゃんが()()()ってもってきてくれたんだから、皆でいただきましょう。貴女も自分の分だけ持ち帰らずに、ここで()()()たべればいいじゃない」

「そ…そうですねー」

アイーダさんは視線を反らし、ミルカードさんは笑顔で追い詰めようとしていた。

どうやらアイーダさんは一人占めを画策していたらしい。


しかし、ミルカードさんが来てくれたなら丁度いいので、相談をしておくことにした。

「あの、ミルカードさん。ちょっとお時間よろしいですか?」

「あら、なあに?」

バスケットを確保しながら、僕の方に顔をむける。

「じつは、この街に居住を考えているんですが、物件とか土地は商業ギルドであつかっているんですか?」

それを聞いた瞬間に、2人の目付きが変わったのが解った。

「あなた…メセに定住するつもりなの?」

アイーダさんがバスケットを奪い取ろうとしながら、質問をしてきた。

「はい。そうすれば、街の状況や情報も手に入りやすいですし、納品も楽になりますから。あ、でも、今すぐではないですし、条件とか値段とか色々ありますから…」

「解ったわ。次までには幾つか物件を見ておくわ」

ミルカードさんはアイーダさんの攻撃を巧みにかわしながら、にっこりと笑い返してきた。

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

ミルカードさんとアイーダさんは、にっこりと笑った。

バスケットを挟んで、奪い合いをしながらだけど。

まだ日常風景は続きます。


オレンジのパウンドケーキは、近くに売っているお店があります。

美味しいけど高い…


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