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第19話 お礼品の顛末

食いしん坊はホッコリするとおもいます

暴食は別


7/2 一部修正しました

冒険者ギルド長に絡まれた事について、この先どうしたものかと考えていると、ツインテールの女の子が顔を近付けて鼻を鳴らし始めた。

「な…なんですか?」

「くんくん…。甘い匂いがする」

「ちょっとモーティアちゃん!はしたない真似はやめなさい」

オネエの人がツインテールの女の子を(たしな)めるが、彼女は鼻を鳴らすのを止めない。


原因はわかっている。

チンピラ冒険者に襲撃された日に、八百屋のおばさんの所で買ったエリプ(りんご)をつかったアップルパイだ。

ちなみにリンゴの砂糖煮とカスタードクリームの入ったカスタードアップルパイだ。

かなりおまけをしてもらったので、その御礼のつもりで持ってきたものだ。

神様のバッグではなくリュックに入れていたから匂いが漏れたらしい。

食べやすいように、ホールではなく小さい長方形のを多めに作ってきたので、少しくらいは分けても大丈夫だ。


というか、何となく食べさせないと離れない気がする。


僕はアップルパイの入ったバスケットを取り出し、

「贈答用なんですけど、いっぱいあるから少した…」

「食べる!」

食べますかと聞く前に、ツインテールの女の子に即答されてしまった。


ツインテールの女の子。モーティアちゃんは、アップルパイを受けとると、眼をキラキラさせながらアップルパイにかじりついた。

エリプ(りんご)の甘酸っぱさとキムル(ミルク)の濃厚な甘みが絶妙♪」

小動物のように頬を動かしながら食べる様子はなんとなく可愛い。

「ごめんなさいね。まったくこの子は、食べ物の事となるとこうなのよ」

オネエの人が頭を抱える様子は母親のようにみえた。

男の人だけど…。

「いえ。こんなに美味しそうに食べて貰えると嬉しいです」

モーティアちゃんが食べるのを、ずっと見ていたくなってしまう。


「ところで、どこかにむかってる途中ではないの?」

モーティアちゃんの食べる様子を見つめていた僕は、

エロいお姉さんに声をかけられたことで、まだポーションを納品していないのを思い出した。

「すみません。そろそろいかないと。助けていただいてありがとう御座いました」

4人にお礼をいい、足早に商業ギルドに向かった。



商業ギルドでは、何故かギルド長のリガルトさんと、買い取り担当者のアイーダさんの2人が応対をしてくれた。

のだが、買い取りを進めていくのはアイーダさんで、リガルトさんは横で座っているだけだった。

「今回も前回と同じ数、同じ品質ね。買い取り額は前回と同じで50万クラムでいいかしら?」

「はい。おねがいします」

いつも通りの数と品質のポーションに、アイーダさんはにっこりとしてくれた。

やっぱり、さっきの冒険者のエロいお姉さんによくにている。


そして買い取りが終了すると、

「ヤムくん。すこしよろしいかな?」

ようやくリガルトさんが話しかけてきた。

「はい。大丈夫ですが」

「君はここにくる前に、冒険者ギルド長に絡まれていただろう」

リガルトさんは、眼を鋭くさせながら、先程僕の身に起こった出来事を訊ねてくる。

「どうしてしっているんですか?」

「商人とは、情報収集が大事なのでね」

知られているならと、先ほどの顛末を話した。

アップルパイのことはいわずに。


その内容を聞くと、2人とも渋い顔になってしまった。

「冒険者ギルド長が随分と愚かな事をする」

「まあ、あの男ならやるわね」

「護衛を雇うべきだとは思うが、冒険者ギルドでは雇うことはできないか…」

「となると奴隷しかないんだけど…」

2人は僕を無視して話をすすめ、奴隷の所で顔をむけてきた。

つまりは、護衛のために奴隷を買え。ということだろう。

以前、アイーダさんに勧められたものの、僕は奴隷を買うつもりはないので、首を横に降る。

「まあ、無理強いをするわけにはいかないものね」

ため息をつき、それ以上はなにもいわなかったが、本当は無理強いをしたそうな表情をしていた。

僕が、自分達にとって利益が有るからというのが分かってはいるが、心配されるのはありがたいことだ。


ノックの音が響き、職員の人が納品用の箱をもってきた。

するとアイーダさんが、用意していた代金の乗ったトレイをテーブルに置いた。

「じゃあこれが今回の代金ね」

トレイには、金貨が4枚、銀貨が10枚並べられていた。

「はい。間違いありません」

そういって僕がトレイに手を伸ばすと、アイーダさんがそれを自分の腕で遮ってきた。


いったいどういうつもりなのかと困惑していると、

「ところでヤムちゃん。さっきから漂ってくるあま~い匂いはなにかな~?お姉さん気になっちゃうな~?」

アイーダさんが、急に怖い笑顔を浮かべながら、護衛の話の時よりも物凄い迫力で迫ってきた。

エリプ(りんご)と濃いキムル(ミルク)の匂いがするのよね~なんなのかな~?」

アイーダさんは、笑顔だったが、眼が笑っていなかった。

リガルトさんに助けを求めようとしたが、

「確かに甘い匂いがしてきている。是非とも教えて貰いたい♪」

にこにこした鋭い眼で、此方を凝視してきた。


その時の2人の迫力と視線は、僕の魔眼より強力だったと断言ができるだろう。



こうして商業ギルドにおいて、アイーダさんと、意外にも甘党だったリガルトさんに、アップルパイを2個ほど強奪され(おすそわけし)たのち、八百屋のおばさんに、無事残りのアップルパイを渡すことができた。


今後は対策をしておくことにしよう…。


この世界・ルタースも例に漏れず、嗜好品や甘味料は非常に高価です。

腕のいいパティシエは、貴族や王族が囲っています。

市民は、飴玉や焼き菓子や果物なんかで甘味を楽しんでいます。



アップルパイの見た目は、Mr.ドー◯ツのアップルパイを思い浮かべていただけると分かりやすいです。


ぱないの!(≧▽≦)



ご意見ご感想よろしくお願いいたします



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[気になる点] 非常に高価なはずなのに対価を示さずもらい受ける商業ギルド長及び職員
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