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第17話 襲撃

5/27 一部修正しました

商業ギルドと取引を始めてから、早くも2ヶ月=60日がたった。


家では、完成した畑で様々な植物の栽培を始めた。

見つけた薬草や香辛料を始めとして、超越調達で購入した野菜の苗も植えてみた。

まだ収穫が出来ていない物も多いが、毎日観察をして記録をとるのはなかなか楽しい。


そして、運動のための周辺の見回りをしている時に、此方を見つけて襲ってきた気性の荒い動物なんかを倒して、食料や超越調達のポイントに変えたりしている。


ちなみに動物とは会話は出来なかった。

会話が出来るのは、言語がある生き物だけらしい。

まあ、会話が出来たら仕留めづらくなるので、出来なくて良かったと思う。


ゴブリンやオークといった魔物は、家に近寄って来るようなら仕留めることにした。


街に行った時は、商業ギルドでの取引が終わったら、市場をみたり、図書室で本を読んだりしている。

司書さんには毎度釘を刺されているけども。


時には、八百屋のおばさんに頼まれて、商業ギルドを挟んで、個人に薬を格安で処方したり、たまたま立ち寄った生地屋のおじさんがぎっくり腰になったのを治してあげたりということもあったりした。


あとは、悪ガキに胸やお尻を触られるセクハラを受けることぐらいだろうか。


今回も、いつもの種類と数のポーションを納品し、図書館で本を読み、暖炉亭で一泊。

その翌朝に、八百屋のおばさんとおしゃべりをして、かなりおまけをしてくれたお買い得品のエリプ(りんご)を買って、家路に着くべく城門を出てしばらくしたとき、後ろから誰かがつけて来ているのがわかった。



街から近いところは、商人の馬車や人通りがある状態だったためか、襲ってはこなかった。

が、街からかなり離れた時には、人気(ひとけ)は全くなくなっていた。


そこで尾行者達に振り向いた。

そこにいたのは、傷面(きずつら)の男にひょろ長い男にモヒカンの男の3人組という、見るからに真っ当な冒険者では無いように見えた。

鑑定してみると、3人ともに恐喝・強盗・強姦・殺人・違法人身売買などの犯罪歴があるとことがわかった。


「なんの用ですか?」

僕がそう訪ねると、ひょろ長い男がニヤニヤしながら口を開いた。

「俺達はよぉ、メセの街を魔物から守ってる冒険者だぁ」

「それはどうもご苦労様です。それでなんの用ですか?」

「実は活動資金に困っててよぉ。ついてはいつも守ってやってる市民からカンパをして貰おうと思ってよぉ」

ひょろ長い男はゆっくりと僕の側面にまわり、

「ついてはお前の有り金全部と、身体でのご奉仕と、奴隷としての売り上げの全額を寄付していただくって話よ」

ひょろ長い男が横に移動するのにあわせて、リーダーらしい傷面(きずつら)の男が一歩前にでてくる。


なんとも理不尽な募金の催促だ。

まあ、予測は出来ていたことだけども。


「お断りですので他所にどうぞ」

(きびす)を返してたちさろうとしたが、

「待てやコラ!アニキがカンパしろっていってんだろうが!」

いつの間にか移動していたモヒカンが前を塞ぐ。

「俺達は銀級(シルバーランク)の冒険者だ。痛い目見たくなきゃいうとおりにするんだな」

チンピラ冒険者達は、僕を囲んでゲラゲラと笑い合う。


そしてモヒカンが近寄ってきて、

「アニキィ!ヤッちまっていいすか?」

興奮して荒い息を吐きながら手を伸ばしてきた。

「バカ野郎!処女かどうか聞いてからだ!処女だと高く売れるからな♪」

「それより荷物を頂いとこうぜぇ」

チンピラ冒険者達は、実に楽しそうに、僕という獲物の皮算用を進めていた。


この連中の会話の雰囲気はよく知っている。

前世の人達の一部が僕に向けていた、他人をいたぶるのが楽しい時の雰囲気だ。


だが、今は前世ではない。


抵抗も出来ないほど無力ではない。


オーク相手とはいえ、危害を加えようとする相手を殺害する経験もつんだ。


だから、連中に負けるわけにはいかない。


負けるわけがない。



こういってはなんだが、オーク達の方が本能的かつ余計な計算もないだけ、(いさぎよ)い感じがしなくもない。

そして、オークの時には使用しなかった、サキュバスの力を、使ってみようと思った。


「じゃあ口!口ならいいっすよね?!」

「噛まれていいならな♪」

「噛んだらぶん殴るだけっふがっ!」

僕は一番近くにいたモヒカンの顔を両手でつかみ、

「なにふるんだっ?!」

モヒカンの顔を見つめてにっこりと微笑み、

「うへっ♪なんかこいつヤル気満々みたいっすぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」

手のひらから精気を吸いとった。


キスの方が効率はいいだろうが、こんな奴とキスはしたくない。

モヒカンから手を離すと、ぐったりとその場に倒れた。

かなり吸ってしまったが、死んではいないだろう。


「てめえ!何しやがった!」

残りの男2人が僕を睨み付ける。

その瞬間に、僕は魔眼を発動させ、2人を麻痺させた。

「う、動けねえっ!」

「なんだこりゃあっ!?」

ルタースに来てから初めての、そして実戦での初めての吸精と魔眼の使用だったが、うまくいったようだ。

「この人からは食事をさせてもらったんですよ。まあ、ほとんど必要はないんですけどね」

僕は、くすくすと笑いながら、モヒカンを2人の足下に座らせ、軽く頬を叩き、覚醒したところで魔眼で麻痺をさせた。


そして3人を同時に見つめて、催眠をかけた。

「僕に会ったことは全てわすれろ」

「「「はい。貴女に出会ったことは忘れます」」」

「今から街にかえって、警備兵に自分のやった犯罪の全てを告白して、牢にはいりなさい」

「「「はい。今から街にかえって、警備兵に自分のやった犯罪の全てを告白して、牢にはいります」」」

「ではいけ」

「「「はい」」」

命令が終ると、彼等はモヒカンを担ぎながらふらふらと街のある方向に向かっていく。

彼等の姿が見えなくなると、ふうと息をはいた。


殺しても問題はなかっただろう。

オークは殺害しても、人間は殺さないというのは、傲慢な考えだ。

彼等は逮捕されれば死罪になる可能性は非常に高く、間接的には殺害したことになるのかもしれない。

でも僕の正直な気持ちとして、あいつらは自分の手を汚してでも殺す価値すら無いと思ったのは事実だし、あんな連中の命を背負いたくもなかった。

だったらこの世界の司法に任せればいい。


そういう実に我儘な理由で、僕は殺さなかったのだ。


辺りに人影がないのを確認してから、透明化の魔法を使ってから羽根を出し、空を飛んで家路についた。


しかし、なぜかスピードを出す気にならず、昼前には城門をでたはずなのに、家にたどり着いた時には、夕方近くになっていた。



ついに人間との戦闘です。

この世界では、盗賊や犯罪者に襲われた場合、返り討ちにしても罪にはなりません。定番です


ご意見ご感想よろしくおねがいします


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