第15話 森での生活
ちょっと短めです
暖炉亭で一夜を明かし、ブート(パン)と野菜のスープという朝食を済ませると、朝の早いうちに門をでて、家へと帰ってきた。
メセの街から帰ってきて、まず取りかかったのは、半分も終わっていない状態の柵の制作・設置の続きである。
ペンキ塗りは終わっているので、まずは杭の打ち込みからだ。
まずはすでに打ち込んでいる杭の根本に、柵を張りたい方向に向けて未使用の杭を寝かせる。
そしてその先端の地面にべつの杭を軽く刺し、上からハンマーで叩き込んでいく。
杭の高さは、杭より長い棒を、打ち込んだ杭の上に置いて、その高さと同じになるように、調節して打ち込んでいく。
こうすれば、幅も高さも揃った柵が出来上がるのである。
これを繰り返していき、杭を全部打ち込んでから、正面入り口になるところと、滝に向かう勝手口のところを除いて、板を張っていく。
正面入り口と勝手口には、サイズが合う既製品の扉に、同じ色のペンキをぬってから取り付ける形だ。
今度は雨が降ることもなく、範囲自体があまり広くないためか、帰ってきた日を含めて3日ほどで完成した。
柵の取り付けが終わってみると、柵の中が殺風景なのに気がついた。
元々何もなかったのだから当たり前だが。
「薬草でも栽培してみるかな」
せっかくなので、野生のものを栽培してみることにしようと思う。
だが、翌日はポーション作りに専念した。
期日までこの日をいれて5日。
先に作って置けば後から慌てなくてすむ。
というわけで今度からは、戻ったその日に制作することにしよう。
そしてさらに翌日。
神様のバッグと金剛杖を手に、森の中での採取に出かけることにした。
勿論、水や食料も携帯済みだ。
ちなみにこの森は死魔の森といい、冒険者でも浅いところまでしか立ち入らず、深いところからは生きて帰るのは不可能だとも言われている。
油断は禁物なので、慎重に歩みを進めていると、直ぐに目当てのものがみつかった。
この世界でのポーションの主原料・ローア草だ。
これに様々な材料を混ぜることで、ポーション・ハイポーションその上のエクストラポーションになるのだ。
ほかにも、マジックポーションの主原料になるテナン草もみつかった。
ちなみに、ポーションは青、マジックポーションは赤になるのは、それぞれの草の花の色が関係している。
そうして、そろそろ昼の時間に差し掛かったころ、ついに魔物をみつけた。
『警戒』の魔法に反応した魔物はオーク。
胡椒のような植物の採取をしようとした時に、見つけてしまったのだ。
天界での訓練で、紛い物と対峙したことはある。
が、本物は初めてだ。
彼らの手には、兎や鹿、自分たちの親戚でもあるかもしれない猪もあった。
探索中に動物を見掛けなかったのは、こいつらが狩りをしていたからだったらしい。
僕の家からは離れているので、放置する方向で立ち去ろうとしたのだが、透明化の魔法を使っていなかったこともあって、偶然にも見つかってしまったのだ。
よく考えると、富士の樹海みたいなところに柵とテントがあるって、死ぬほど怪しいですよね(笑)
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