閑話 3
令和初の投稿です!
~冒険者ギルド・リーフェン王国地方都市メセ支部所属 フォルミナの視点~
私はフォルミナ。
この世界で最も優秀な受付嬢よ。
だから、私の受付を受けれるのは最低でもシルバーランクの冒険者から。
まあ、当然よね。
時々身の程をしらないストーンランクが話しかけてきたときは、自分の身の程を理解させ、この私の時間を無駄にさせた代金もきっちり払わせてあげたわ。
今日も朝から雑魚冒険者が依頼を受けてでていき、私以外の受付嬢は全員が休憩にいった。
あれくらいで休憩だなんて、本当三流の受付嬢ばっかりよね。
私が受付カウンターで資料を閲覧していると、
「すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」
女のものらしい声がかかった。
私の至高の時間を邪魔するなんて、多分初めて街に来た田舎者ね。
その辺りを教えてやろうと顔をあげるとそこには、
病人のような生っ白い肌。
下品なピンクの色の髪。
薄気味悪い赤い目。
油を塗ったような唇。
世界一の受付嬢と言われる私とは比べ物にならない醜い女だった。
おまけにその下には醜い脂肪の塊がぶら下がっていた。
これはよくない。
そう本能的に理解した私は、分かりやすく諭してやることにした。
「あのさあ、あんたみたいなブサイクな上に品も無さそうなのが冒険者ギルドを利用出来るとおもってるの?」
「え?」
やっぱりね。
このブサイクな田舎者は、私のようなギルドの受付嬢にあこがれてやって来た。
でも残念ね。
貴女じゃあ受付嬢は無理。
だからきっぱりと未練を絶ちきってあげないとね。
ああ。なんて私は優しくて出来る女なのかしらね!
「とっとと田舎に帰ってブサイクな男と牛の肥やしでもいじってなさい!ほら!シッシッ!」
そう諭してやると、
「わかりました。失礼します。ここには2度と近寄りません」
そう言うと、そのブサイクな田舎者はそそくさと帰っていった。
あ、私としたことが、就職先を世話してあげればよかったわ。
まあ、後で冒険者にお願いしておきましょう。
~冒険者ギルド・リーフェン王国地方都市メセ支部所属・エルナの視点~
私は冒険者ギルド・リーフェン王国地方都市メセ支部所属の受付嬢をやっているエルナという。
冒険者ギルドの朝は戦争だ。
冒険者達が依頼の受付をするためにごった返すからだ。
冒険者達の依頼受付の波が終わると、私達はカウンターの奥に書類の元本を持っていく。
依頼の種類別に保存しておくためだ。
「混雑が終わったら直ぐに休憩だなんて、やっぱり三流ね貴女達♪」
そう私達に嫌味をいってきたのは、ギルド長の馬鹿娘のフォルミナだ。
それなりの美人ではあるが、化粧はケバく、香水は臭い上に、仕事は全く出来ない。
こいつのやってることと言えば、シルバーランク以上のイケメン冒険者に媚を売り、金品を貢がせることだけだ。
さっきの戦争の時間も爪の手入れをし、イケメン冒険者だけを集めたファイルを眺めていただけだ。
相手にするだけ腹が立つので、全員がコイツを相手にせず、奥の保管庫に向かった。
依頼書の仕分けが終わり、気は進まないがカウンターに戻ろうとした時、ギルド内に人影があった。
その人影はカウンターに向かい、フードを外してから、馬鹿娘に声をかけた。
馬鹿娘がうざったそうに顔を上げたその瞬間、馬鹿娘の顔が一瞬だけ引きつったのを、私は見逃さなかった。
無理もない、声をかけてきた人影は、
純白なので有名な風花草の花の様に白い肌。
短くはあるものの、ピンク色の絹糸の様な艶やかな髪。
吸い込まれそうな深紅の瞳。
みずみずしい艶を放つ唇。
女の私から見てもうっとりするくらいの美人だった。
おまけにその下には、なんともご立派な2つの果実がぶら下がっていた。
はっきりいってあの馬鹿娘とはエンシェントドラゴンと、スモールレッサーリザードくらいの差がある。
もちろん、馬鹿娘がスモールレッサーリザードだ。
さらに彼女はすっぴんと推測できる。
ケバい化粧しか出来ない馬鹿娘とは格が違いすぎる。
あの馬鹿娘もそれは理解しているのだろう、カウンターの見えないところで、脚を震わせ、拳を握っている。
多分、どうやって追い返そうかと必死に考えているのだろう。
「あのさあ、あんたみたいなブサイクな上に品も無さそうなのが冒険者ギルドを利用出来るとおもってるの?」
「え?」
馬鹿娘の言葉に、彼女は驚いていた。
当然だ。
要件を聞かずに、自分の好き嫌いで追い返すなど、受付にとってあるまじき行為だ。
多分あの馬鹿娘は、彼女が受付嬢になるためにやって来たと思い込み、追い返そうとしているのだ。
当然だろう。
彼女が受付嬢になれば、あの馬鹿娘に貢いでいた連中も、こぞって彼女に鞍替えする。
馬鹿娘にとっては死活問題だ。
「とっとと田舎に帰ってブサイクな男と牛の肥やしでもいじってなさい!ほら!シッシッ!」
勿論彼女が受付嬢になろうとしている可能性がなくはないが、彼女が大きめのリュックを担いでいるところをみると、行商人か荷運びだ。
買い取りを頼みにきたか、配達か、それも確認しないとは、無能もここに極まった感じだ。
本来なら、彼女を追いかけて用件を聞いた方がいいのかもしれないが、これ以上彼女を馬鹿娘に関わらせない方がいい。
あの馬鹿娘、噂では、人気のある女冒険者をさらったり騙したりして奴隷にしているなんていわれている。
勿論自分の手は汚さずにだ。
そんなことを思いながら、私はカウンターに座る。
正直こんな所はさっさとやめたくてたまらないが、やめられない理由がある。
それまでは、立派に受付嬢を勤めあげるつもりである。
私が受付に座ると、依頼を終えたらしい冒険者が入ってきた。
「おかえりなさい。依頼は達成できましたか?」
今回は女性目線。
次は本編です。
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