第103話 『罪科の鎖』の先に居るもの
お待たせしたしました。
その鎖は、騎士団長だけではなく、乱入してきた騎士団全員を拘束された。
「なんだこれはっ!」
突然の事態に、ウェイアス達だけではなく、その場にいたほとんどの人達が驚いていた。
「これは『罪科の鎖』冥界の神モルテスに貸与いただいたと言い伝えられておる神器じゃよ」
全員が驚いているなが、テウゴク枢機卿がウェイアスの前まで移動し、シンプルな腕輪を見せる。
「対象にむけて『審判を』と唱えれば、罪科のあるものを捕らえることができ、その者に罪科がなければなにも起きないという、我がテウゴク家の家宝だ。私はこれを父から受け継いだ時から、毎夜自分に対して使用するようにしておる。幸いにして1度も捕らえられたことはないがな」
そういう説明をしたテウゴク枢機卿は、ちょっとだけ自慢気だった。
「ならばなぜこの私が捕らえられなければならないっ!私は神々の王なのだぞ!」
その説明を聞き、ウェイアスは一瞬で不機嫌になった。
あの人にとっては、自分は裁く側で裁かれる者ではないと信じきっているのだろう。
その表情は、元の顔が整っているだけに、とてつもなく醜悪だった。
「それは簡単です。貴方が神々の王になるなど、絶対にあり得ないからです!」
そしてわめき散らすウェイアスに、ラシャナさんがしっかりと『否』を突きつけた。
それを聞いたウェイアスは、ますます怒り狂った。
「ふざけるな!私は神パウディルと夫婦の誓いを交わし、この私に神々の王になってくれと懇願されたのだぞ!」
「では貴殿の命なら、神パウディルは姿を現し、この場で貴殿に跪くと?」
テウゴク枢機卿は、怒り狂うウェイアスにそう質問した。
するとウェイアスは、突然勝ち誇ったような笑みを浮かべ、
「当然だ!さあ、我が妻パウディルよ!我が眼前に現れ出でて跪け!」
『罪科の鎖』に拘束されたまま天を仰ぎ、本当に敬虔な信者なら絶対に口走らないであろう、神様を呼びつけて跪かせるという失礼なことを、平然と言いはなった。
もちろん神パウディルが現れるはずはなく、会議場にウェイアスの声が虚しく響いただけだった。
「なぜだ?!何故我が妻は現れないっ?!」
ウェイアスの顔に焦りの色が見えはじめる。
そこに、テウゴク枢機卿が畳み掛ける。
「当然であるな。我らが神パウディルが、『罪科の鎖』に捕らわれた者の言葉に答えるはずはない。反省と後悔の言葉ならばともかくな」
その言葉に、ウェイアスはますます怒りに顔を歪めていく。
「何をしている!早く現れて私の足元に跪け!」
そして、怒りを全開にして、天を仰ぎながら怒鳴り付ける。
するとその瞬間、『罪科の鎖』に捕らえられたウェイアスの足元にさらに黒い陰が現れ、
『罪科の鎖に捕らわれたままで、我らが主神への侮辱を吐くとはな。度しがたい愚か者だ』
若い男性の声が響いてきた。
すると、ラシャナさんとテウゴク枢機卿がさっと膝をついた。
けれど、僕と他の枢機卿たちは、呆然と事態をみつめていた。
その瞬間、凄まじい怖気が襲ってきた。
それは、神様達のところで修行をしていた時にお会いした、死を司る神=冥府神様が放っていたものと同じものだった。
冥府神様は直ぐに和らげてくれたけれど、今感じているものには、怒りの感情がこもっていた。
そうして現れたのは、蝋のような白い肌に、濃い青緑の髪・痩せた相貌に、軽装の兵士のような格好。
そしてその手には、鎖の束が握られていた。
僕は、この人?神?はたぶん間違いなく、話に聞いた冥界神モルテス様に間違いないと確信した。
話の内容的にどうしても主人公が空気問題
閻魔大王様は、初見はともかく、修行したあとはそんなに怖くなくなった。
(閻魔大王は、一番最初に死んだ『人間』なので)
実生活での所用や、体調や自身の筆の遅さ、他作品の製作などもあって、どうして遅くなってしまいました。
さらには近々『狩り』に行く予定まで…
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