第98話 発見された手紙
主人公が空気気味…
昼食を食べ終えると、僕とラシャナさんは法王猊下の部屋に向かった。
法王猊下。いや、ラシャナさんのおじいさんの遺品を片付けて、新しい法王に執務室を引き渡すためだ。
とはいえ、血がついたカーペットの上では作業はできないので、デスクの上や中身、棚に並べられているものなどを、箱にいれて部屋の外に運び出す事になった。
それからは、僕もラシャナさんも、運びだしを黙々と進めていた。
流石は、大陸で一番の宗教団体の頂点に君臨する人の執務室なだけあって、使っている家具や調度品は高級品ばかりで気を使ってしまう。
書籍も、重たそうなタイトルのものや、歴史年表がずらりとならんでいる。
何冊か読んでみたいと思うものがあったけれど、それをやってしまうと作業が止まってしまうので諦めた。
そのうちに、修道女さん達何人かにも手伝ってもらったお陰で運びだしは終了し、部屋に残っているのはデスクや書棚や飾り棚だけになった。
そこに、新しいカーペットが運びこまれる。
以前使っていたものと全く同じもので、何枚かストックされているらしい。
その理由が、殺人事件があった時のためだったとしたら、なんとなくそら恐ろしい事に思えてしまった。
その場にいた人達で家具の全てを運び出すと、血のついたカーペットを回収し、大理石のような床に、カーペットからしみだした血を拭き取り、家具も水拭き・乾拭きをしておいた。
そして、その床と家具が乾くまでに、遺品整理をすることになった。
備え付けの物は別にし、法王猊下の私物を取り分けていると、日記らしきものから封筒がみつかった。
その封筒には、『残されし者へ』と、書いてあった。
つまりは遺言書ということだろうか?
「これは…お祖父様の字ですね」
ラシャナさんが中を開けると、案の定手紙が入っていた。
その内容を読んだラシャナさんは、
「ええっ?!」
と、声をあげ、驚愕の表示を浮かべていた。
内容が気になったが、盗み見するわけにもいかないので、整理がまだの物を持って来ようとしたところ、
「これ、見てください」
ラシャナさんが僕に手紙を差し出してきた。
いいのだろうかと思いながら、手紙を読ませてもらった。
「え?」
その内容は、本当に驚きのものだった。
しかしこの内容が真実だとしても、遺言書というものは、新しく作られたもののほうに効力がある。
しかし厄介なのは、この手紙に聖印が押されていると言うことだ。
「たしか今から、次期法王を決めるための会議が行われているはずです!急ぎましょう!」
ラシャナさんはそういって走り出した。
本年度から、事情もあり、多少更新が遅くなるとおもいます。
申し訳ございません。
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします。