第11話 ギルド巡り
誤字修正の報告ありがとうございました。
何度も見直したはずなのに、以外と自分では気がつかないものですね
メセの街は、上空から見た通りの、まさに中世ヨーロッパの町並みだった。
このまま観光をしていたくはあったが、大事な用件を済まさないといけない。
とはいえ、その場所を知らないので、近くにあった八百屋のおばさんに声をかけた。
「すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」
「あいよ。いらっしゃい!」
そのおばさんは、恰幅のよい肝っ玉母さんと言ったような雰囲気だった。
「あの、薬師ギルドと言うのはどこにあるんでしょうか?」
そう訪ねると、おばさんは渋い顔をした。
「薬師ギルドならこの先の豪華な建物がそうだけど、あんなところに何の用事なんだい?」
「はい。薬を買い取って貰おうかと」
おばさんは、渋い顔のまま僕の身なりを見て、
「やめたほうがいいかもしれないよ。あそこは貴族様の巣窟だから、庶民はすぐに追い出されちまうよ」
そう忠告してくれた。
それを聞くと、物凄く行きたくなくなるが、そういう所は1回は行って追い返されておいた方がいい。という智嚢神様の豆知識にしたがって、行っておくことにした。
薬師ギルドは直ぐにわかった。
何しろ無駄に豪華で、無駄に派手だったからだ。
ともかく恐る恐る中に入ると、大きなホールになっていて、正面にはカウンターがあり、左手には豪華な装飾のついた螺旋階段。
右手の奥には重厚な扉。その手前には、豪華なソファーセットがなん組か置いてあった。
ともかくカウンターに向かおうとすると、
「紹介状は?」
いきなり声を掛けられた。
声のした方向をむくと、カイゼル髭で、神経質そうな顔をした男性が、こちらを睨み付けていた。
「こんにちは。あの…」
「紹介状はと聞いてるんだ!」
フードをとって挨拶をと思ったが、それを遮られた。
勿論紹介状などあるわけがない。
「もっていませんが…」
「チッ…!」
それを聞くとあからさまに舌打ちし、
「ここは栄光ある薬師ギルドだ。何処の馬の骨ともわからん者が出入りできる場所ではない!帰れ!」
イラついた表情で睨み付けてくる。
神様との生活で、多少はなれたものの、こういう人は苦手なので早々に退散することにした。
「わかりました。こちらには2度と関わりません。失礼致します」
「当然だ!さっさと失せろ!」
罵声を浴びながらも、丁寧に頭を下げると、素早く薬師ギルドを後にした。
そしておばさんの情報は正しく、いい人なのだということがわかった。
次に向かったのは、ファンタジー作品でもっとも有名な場所、冒険者ギルドだった。
先程の薬師ギルドと違い、頑丈そうな作りではあったが、カウンターがあるのは一緒、左手には依頼書が貼り付けられているボードがあり、右手には背の高いテーブルだけが並べられていた。
冒険者の姿はなく、どうやら依頼を受けてでていった後らしかった。
僕はフードを外してから、1人だけ残っていた受付嬢の人に声をかけた。
「すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」
ファイルらしき物を読んでいた受付の人は、顔を上げると僕の顔をしばらく見つめてから、睨み付けてきた。
「あのさあ、あんたみたいなブサイクな上に品も無さそうなのが冒険者ギルドを利用出来るとおもってるの?」
「え?」
僕は一瞬なにをいわれたのか分からなかった。
が、明らかにこの人は悪意しか向けていないことが、わかった。
「とっとと田舎に帰ってブサイクな男と牛の肥やしでもいじってなさい!ほら!シッシッ!」
僕は、腹が立つを通り越して唖然としてしまった。
僕の容姿の良し悪しはともかく、受付嬢としては絶対に駄目だろうと思うことを平気でいい放つこの人に、怒りよりも恐怖してしまった。
「わかりました。失礼します。ここには2度と近寄りません」
なので、薬師ギルド同様に早々に退散することにした。
ムカつく対応をした2人は、実際にぞんざいな対応をしてきた店員を思い出してしまいます
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