第97話 根底に流れる日本人の習慣と精神
話の主軸として空気の多い主人公…
僕は、ちょっとでも雰囲気を変えようと、昨日聞いた話の中で気になった事を聞いてみた。
「そういえば、パウディル様以外の神様にお会いしたことはあるんですか?」
実はパウディル聖教は一神教ではなく多神教だ。
僕がよくいく教会は、予算と敷地の都合からパウディル様の像だけだが、聖堂以上の建物には、パウディル様以外の大神と呼ばれる神様の像も設置してあるのだそうだ。
「はい。豊穣神フィトレア様と、智嚢神エンティア様と、冥界神モルテス様にお会いしたことがありますよ」
そのラシャナさんの返答を聞いた瞬間、ある考えが浮かんだ。
しかし、
「もちろん。亡くなった人を蘇生することはしないといわれました。ゾンビで良いならしてやろうとは言われましたけど」
その僕の考えを読んだかのように、言葉を続けた。
じゃあ、僕やラシャナさんは何なのだろうと考えてしまった。
元の世界で死亡し、異世界で生き返った。
これは蘇生じゃないのだろうか?と。
そんな僕の考えを読んだかのように、またラシャナさんが声をかけてきた。
「私達は違うと思いますよ。私は間違いなく母の子供として産まれていますし、貴方は別の種族として存在しています。つまりは輪廻転生の範疇なのだと思いますよ」
そういわれれば、そうなのかもしれない。
最高神様は蘇生させてやるとは言わなかった。
もしそれをして良いならしてもらえるはずだ。
蘇生が出来なくはないのだろうが、神様達の倫理観として、してはいけない事、もし実行するにしても物凄く条件が厳しいものになっているのだろう。
兄だった人を気に入ったあの愚神は別だろうけれど…
それにしても、なんで僕が考えていることが読めるんだろう?
それに、雰囲気を変えようとしたのに、さらに落ち込むような結果になってしまった。
「すみません…。結局嫌な思いをさせてしまって…」
「いえ、気を使わせてしまったみたいですみませんでした」
2人とも日本人だったのもあってか、なぜかお辞儀とお詫びの応酬になってしまった。
「お2人ともなにをしてらっしゃるんですか?」
そのお辞儀とお詫びの応酬が止まったのは、その光景を目撃した修道女さんに声をかけられた時だった。
「ヤッヤムさん!昼食の後に、お祖父様の遺品整理をお手伝い願えますか?」
「はっはい。喜んで!」
僕もラシャナさんも、真っ赤になりながら取り繕いつつ、食堂に向かった。
年末年始にかけて、所用などもあり、
更新ができないかも知れません。
その際はご勘弁ください…
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