表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/128

第90話 教え諭す

最近話の内容的に主役の影が薄い


「テウコグ枢機卿!?なぜここに…」

「なに。健康のための散歩です。それに、色々と良いこともありますでな」

その間にも、枢機卿の後ろにいる騎士達が、青年を拘束してしまった。

そして枢機卿はその青年の前に立つと、真剣な表情を向けた。

「さて。若き修道士よ。貴殿が信奉している人間至上主義とは、ある愚かな国が、神パウディルではなく、自国の王を神と崇め、神パウディルを貶めるために唱え出したものだというのは理解しておるのか?」

まるで、学校の先生のような雰囲気で、自分がやっていたことがどういうことなのが説明を始めた。

「そんな!私は神パウディルを貶めるなど微塵も考えておりません!」

青年は、信じられないといった様子で訂正をする。

しかし枢機卿は、表情を変えずに、冷静に言葉を続けた。

「よく考えよ。神パウディルは、『平和に生きようとする全ての者達に祝福を与える』と、開祖であるアーノントゥに直接御言葉を(たまわ)られた。

そしてその様子は万を越える者達が目撃していたという。

そしてそれを覆すなら、『祝福は人間のみに与えられる。それ以外の種族は下等である』という御言葉も、同じようにもたらされるべきであろう。

だが、その様な話は一切聞かない。

となれば、人間至上主義は、神の言葉を捏造し、まるで自分自信が神のように振る舞うことを目的に、唱え始めたものということだ。

そして貴殿のやったことは、神パウディルの意思に逆らう背教行為。罰せられねばならぬ」

「そんな…」

人間至上主義はともかく、神様への信仰は本物なのか、枢機卿の言葉に、青年は絶望の表情を浮かべ、ガックリと肩を落とした。

すると枢機卿は、周囲にいた人達に向かって、

「皆のものよ!このような世迷い言を語る者がいた時には、言い返したりせずに、静かに警備の詰所に向かい、報告するようにせよ!さすれば必ず!神の正しき教えに殉ずる者達が、その者をこらしめるであろう!」

と、演説じみた言葉を投げ掛けた。

その枢機卿の行動によって、どうにか場は収まりました。

「助けていただき、ありがとうございます」

ラシャナさんは前にでると、枢機卿に向かって丁寧に頭をさげた。

「なに。拝金主義者(われわれ)にとってもあの連中は目障り。やつらは人間以外を奴隷以下と考える。それでは金は増えることがない」

枢機卿は、困ったものだという様子で、連れていかれる青年を見つめていた。

「それはどういうことですか?」

僕は思わず質問してしまった。

奴隷なら、一切の給金を与えず、食費も洋服代もなにもかも最低限にして働かせれば、確実に利益になるはずた。

実際に僕は前世でそういう生活をさせられていたのだから。

すると枢機卿はふむと頷き、

「たしかに奴隷としてこきつかえば収入は増える。しかし奴隷は意欲がなくなる。なにをするにしても、意欲的に取り組むのと、簡単に殺されてしまうから仕方なくするのとでは、どちらがより良い結果を生むかは明らか。

どこの世界に、奴隷となって喜ぶ者が居ろうか」

真剣な表情でそう答えてくれた。

そしてラシャナさんに視線をむけ、

「聖女ラシャナ殿。貴殿は拝金主義者を嫌うが、教会を維持するにも、施しや救済をするにも金は必要。その金を集めているのは拝金主義者であるということも、覚えておくとよろしかろう」

さっきとは違った、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべた後、騎士達と一緒に立ち去っていった。


その場に、僕と一緒に残されたラシャナさんの表情は、少し悔しそうだった。

しかし次からは復活。

…するかなぁ…


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 枢機卿って悪徳拝金主義者と言うより、元はラシャナと同じだったのかな?
[一言] 何を以て拝金主義とするかどうか、ですよね。 組織運営やある程度の体裁を整えるためにお金を稼ぐのは、必要経費の捻出として認められます。 しかし、そんな事は組織の上層部であれば皆承知の上でしょう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ