第81話 神様の名前は便利な命令書
ついに100話に到達しました!
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「貴様。自分の立場を理解しているのか?」
女騎士は、忌々しそうに僕を睨み付けた。
僕が要求をし、取引を持ちかけたのが相当腹立たしいらしい。
「私を連れてこないと、貴女達が咎められるんじゃないですか?」
しかし僕は怯むことなく、要求を突きつけた。
断られる確率は低いと考えた。
向こうも僕を連れていく事が優先なのだから、そのぐらいは大丈夫だと踏んだのだ。
ルルナちゃんは、家の柵から少しはなれたところで、若い男性騎士に腕を掴まれていた。
「ルルナちゃん!」
「おねえちゃん!」
女騎士が合図でもしたのだろう、若い男性騎士はルルナちゃんの腕を離した。
「大丈夫?怪我はない?」
「うん…」
鑑定したところ、怪我も毒も、呪いもかけられてはいないようだった。
「私はこの騎士さん達と行くところがあるから、今日はもうお家に帰りなさい」
「わかった…」
ルルナちゃんも、私や騎士達の緊張した様子を理解したのか、おとなしく頷いた。
そして僕は、ルルナちゃんが見えなくなるまで行方を見守ってから、
「いきましょうか」
彼等に声をかけた。
すると女騎士は僕を睨み付けながら、懐から聖印のようなものを取り出した。
「いまから我がパウディル聖教に伝わる『秘宝・神の御手』を使用する。これは聖印をもつものを一瞬で神都に移動させるものだ。本来は貴様ごときに使用するべきではないものだ。だがその前に」
「ぐっ?!」
女騎士が合図をすると、いきなり猿ぐつわを噛まされ、手枷をつけられ、目隠しをされた。
当然僕は外そうと抵抗したが、
「お前は下等とはいえ淫魔だ。神国内で万が一があっては困るからな。抵抗はするなよ?さっきの子供が背教者としてパウディル様の怒りを受けることになる」
と、いわれれば、大人しくするしかなかった
目隠しをされてしまったが、女騎士がしてやったりという顔をしているのが想像できた。
「ヨルパとヴェンスはこのまま私と一緒に。後のものはヒポグリフを連れて帰ってきてくれ」
「「「「「了解しました」」」」」
女騎士の命令に、騎士達はそろって返事をする。
ヒポグリフがいるんだと思ったところに、騎士2人が僕の肩を掴んで押さえ込み、膝をつかせたと同時に、腹に衝撃がきた。
「ぐっ…」
女騎士が僕の腹を蹴ってきたのだ。
「感謝しろ淫魔。お前のような下等な生き物が、神都に入る事ができるのだから…なっ!」
「うぐっ!」
女騎士は、楽しそうに僕を罵りながら、再度腹に蹴りを入れてきた。
「では神都に帰還する。『神の御手よ!我等をその掌の内に!』」
女騎士がそう言うと、目隠しをしていても感じるほどの光が発せられた。
100話突破記念に外伝的な話を制作したいと思っています。
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