第1話 地獄に落とされた
初めての連載小説です。
よろしくお願いいたします
誤字報告ありがとうございました
無間地獄を阿鼻地獄に変更しました
僕、矢嶌六三は、高校の卒業式が終わったその帰り道、通り魔に殺された。
全く良いことのなかった人生が終わり、有名な三途の川を渡って冥府に向かい、裁判官たる閻魔大王がいる裁判所に連れてこられた。
列に並ばされ、何日も待たされた後に、ようやく法廷内に入ることができた。
法廷の中央に居る閻魔大王は、図書室の本で見たような紅い肌に、震え上がるほどの威圧感をはなっていた。
僕の番になり、証言台に立たされ、全ての亡者の情報が書かれていると言われている、有名な閻魔帳を閻魔大王がチェックした瞬間、閻魔大王の顔色が変わった。
ただでさえ恐ろしげな顔が、より恐ろしい表情にかわったのだ。
「まさかたった18年足らずでここまでの悪行を重ねているとはな…」
僕を睨み付けながらそういい放つと、それ以降全く身に覚えのない罪状を山ほど、とてつもなく山ほど並べられた。
「そんな!僕はそんなこと身に覚えはありません!」
「見苦しいぞ極悪人めが!貴様の様な傲慢で、強欲で、残酷で、醜悪な人間には虫酸が走る!貴様の様な奴は最も厳しい阿鼻地獄こそがふさわしい。連れていけ!」
自分はそんなことは身に覚えがないと訴えても聞いてはもらえず、閻魔大王の部下である獄卒鬼に腕を掴まれ、地獄の法廷から引きずり出された。
散々だった人生が終わり、やっと救われるかと思った矢先に、見に覚えのない罪の濡れ衣を着せられた。
獄卒鬼たちに引き摺られながら僕は
絶望した。
ああ、やはり僕は、死んでからもこのような目に遭う運命だったのだ。と。
阿鼻地獄へは、専用の穴から落とされる。
勿論、獄卒鬼に蹴り飛ばされてだ。
穴に落とされても直ぐにはたどり着かず、気の遠くなるような時間が経過した後、ようやく地面に叩きつけられ、車に轢かれたカエルの様になり、身体中の血液と体液、そして肉片が辺りに飛び散った。
そして暫くすると、身体が元のように再生され始める。
そうして身体が元に戻った所に声が掛けられ、髪の毛を掴まれ、立ち上がらされた。
「よく来たな最低のカス野郎!最高の地獄にようこそ!」
その声の主は、赤い肌に筋骨隆々の身体。強面を通り越した恐ろしい顔。口から覗く牙。虎縞の腰巻きに巨大な金棒を携えた、赤鬼だった。
「早速だが、歓迎の印に風呂にでも入れてやろう。生皮が剥がれ落ちるほどの熱湯の風呂にな!」
それは所謂、釜茹でというやつだ。
「ひいっ!」
赤鬼の言葉に思わず後退りしようとするが、髪を掴まれているために逃げることができず、巨大な大釜のある方に引き摺られていく。
あちこちから悲鳴やうめき声が上がり、ぐちゃぐちゃになった亡者が転がっていたり、鬼が亡者を殴りつけていたりと、正気ではいられない光景がひろがっていた。
「さあ着いたぞ。今日から永遠とも思えるような時間をかけて、生前の罪を悔い改めるんだ…なっ!」
赤鬼は、牙を見せながらニヤリと笑うと、僕の髪の毛を掴んで大釜に投げ入れる。
こうして僕の、文字通りの地獄の生活が始まったのである。
阿鼻地獄とは、底に落ちるまで2000年かかり、刑が終了するまで、349京2413兆4400億年とも682京1120兆年ともいわれている。
時間のもろもろはつっこまないでいただけるとありがたいです。
普通に考えて、落ちるまでに普通の人間は死にますので…
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タイトルに(仮)があるのは、いいのがなかなか思い付かないためです。