第35話 竜人王女編 『ユーナ、王女に宣戦布告!?』
休憩を挟んで続く実習は砲撃特化型と空戦型魔装法衣について行われた。
隅でいじけているフレアに代わり既に習熟を終えているティアナクランとリリアーヌが教官をつとめる。ティアナクランが砲撃特化型、リリアーヌが空戦型を教える。2人は実演を交えて進めていた。
「砲撃特化型は見た目通り法衣も強固であり砲撃に強いだけではなく近接攻撃にも対応できますわ。それが『マギカ・イージス』システムです」
砲撃特化型の背中には細長いシールドが羽のように装備されている。表面は赤い精霊結晶に覆われ物理、魔法どちらにも高い防御力を発揮する。
シールドがそれぞれ独立して浮き上がるとティアナクランに寄り添う騎士のように空中で静止している。それを見て生徒たちが沸き立った。
「すごいですぅ、シールドが独りでに動きましたよ」
ミュリが驚いていると演習施設の自動砲撃システムが起動しティアナクランに向かって砲弾が放たれる。
砲撃は風を切り裂き迫りくる。
「殿下、危ないです」
ミュリの悲鳴のような警告に手で制してシールドに命じる。
「防ぎなさい」
命令を受けてシールドは正確に砲撃の軌道を予測して防ぎきる。次々に続く砲撃を無駄のない動きで決して通さない。
「マギカ・イージスは攻撃を察知して自動迎撃する優秀な防衛兵器です。このように砲撃はもちろん――」
リリアーヌに視線を向けると剣での猛襲が始まった。すぐにリリアーヌが間合いに踏み込み、無数の斬撃を2つのシールドが自動で防衛する。
「――近接攻撃も防ぎます。その間に魔法を相手にたたき込むことも可能です」
ティアナウランは軽い砲撃を防御の隙間を狙って放つ。それはカウンター気味に体にはいるとリリアーヌが後ずさる。リリアーヌの空戦型魔装法衣もまた優秀であり、軽い砲撃の直撃ではダメージが見受けられない。
「砲撃特化型は遠距離スタイルの弱点である近接戦闘にマギカ・イージスで対処できます。その上で強力な砲撃を近距離からたたき込むことが出来ます。魔法使いは後方で砲撃という概念は砲撃特化型に不要です。これは戦術の革新と言えましょう」
それには多くの生徒から感嘆の声と拍手が巻き起こる。それを見てフレアは更にいじけてしまう。
「開発したのは私なのに、……(しくしく)」
魔法少女に怒られ気落ちするフレアをルージュは寄り添って慰めている。
ルージュがフレアを抱きしめているとティアナクランの機嫌はどんどん悪くなった。ティアナクランは声に怒気が含まないよう注意して続ける。
「……注意すべきはシールドの強度と予測を超えた攻撃ですわね。自身の予測を超えうる攻撃にはマギカ・イージスも対処できません。それは自動迎撃機能には福音魔法が応用されているせいなの」
「もう1つ注意点はシールドが2つだということよ。2つで捌ききれない手数には対処できなくなります。このシステムを過信しすぎず有効に用いることを推奨しますわ」
マギカ・イージスの能力にキャロラインがそわそわしていた。
「こんなんむっちゃ最高。砲撃手にとっては夢のようなシステムやね。砲撃特化型強すぎーー。敵を気にせずバンバン撃ち放題やねーー」
小躍りしそうなほど喜んでいるとティアナクランが思い出したように注意する。
「あっ、大事なことを忘れていましたね。このシステムは魔力消費が非常に高いので魔力の低い生徒は多用しないように。ここぞというときに使用しましょう」
「ああーー、一寸先が転じて闇やねーー」
「キャロラインちゃん魔力量不安なんだ? よしよし」
クラスでも魔力量は最も低いキャロラインは悲しい悲鳴を上げた。ミュリが優しく肩をなでてあげている。魔力の成長著しいミュリが励ますことはキャロラインにとっては慰めになるのかは疑問だが。
続いてリリアーヌが自身の空戦型に装備されている小さな盾を指し示す。
「補足するね。空戦型にもマギカ・イージスは搭載されているけど盾は1つ。それも小型で丸い形状のバックラー型なの。防御というよりはバッシュアタックなど敵にぶつけた方がいいかもね。盾の縁は刃のように鋭くて魔法付与ができるようになっているから投擲するのもいいよ。まあいろいろ戦いに応用できるから試してね」
そしてリリアーヌはふわっと風の魔力を纏うと重力から解き放たれたように空中に浮かび上がる。
「何より空戦型の最大の特徴は飛翔できること。飛翔は固定魔法式だから魔力消費も最小になるようにフレアっちが設計してあるよ。空を飛ぶには風の魔法が基本とされてきたけれどこの空戦型は質量制御と重力制御でさらに効率化されてるの」
「加えて爆発の反発力を利用した『超高速推進飛行』も可能になるよ。けれど超高速推進飛行は難易度高いし魔力消費が激しいから危険だね。皆にはリミッターがかけてあるの」
それにはええーーと不満そうな声があがった。特にシャルが納得いかないと主張する。
「ふん、みくびらないでよね。あたしは使いこなしてみせるわ」
「危険だから駄目!!」
「ふ、ふん。あたしは大丈夫だもん」
「ふーーん、じゃあ体験してみる?」
「えっ!?」
リリアーヌはシャルの前の前に降り立つと体に腕を回して空へと飛び立った。
「ちょっと、待ちなさいよ。心の準備が」
「大丈夫、大丈夫」
「ほんとに?」
「そんなもの無駄だから」
リリアーヌの残酷な宣告の意味を理解し顔を真っ青にするシャルは次の瞬間には体に突然降りかかる圧力を感じて視界が一転する。
爆音が鳴り響き空に軌跡を描いて飛行していく。2人を生徒たちは無言で見送った。
「い、い――やぁぁぁーーー―ーーー―――――…………」
絞り出したような悲鳴が大空に響いた。
さらには音速を超えてますます轟音が鳴り響き見ているだけでも生徒たちを震え上がらせる。彼女たちは思ったのだ。
『超高速推進飛行は絶対やめよう』と。
空を駆け抜けて描かれる魔力の線条にルージュはつぶやく。
「綺麗な青空ね。わたくしも飛びたくなったわ」
アリアは信じられない化け物を見るように言った。
「あなた頭おかしいですわよ」
そして、わずか3分足らずの飛行にもかかわらずシャルは泣きはらした顔で地上に戻ってきた。すっかり憔悴した様子に超高速推進飛行の過酷さが窺える。
(アタシも最初は怖かったなあーー)
リリアーヌも最初の飛行はトラウマになっている。王都上空を飛んだときは今と違い空飛ぶ箒だった。けれども不安定な挙動だったのでいつ墜落するかといっそうハラハラしたものだった。
「びえええーーーん、怖かったよおーー、サリィーー」
「はいはい、もう大丈夫ですよ。怖くない、怖くないですわ~~」
心も体も包容力抜群のサリィがシャルを抱き留めて慰める。
それを見てルージュがリリアーヌを非難した。
「ピアスコート、惨いことするのね」
「あなたがおっしゃいますの!?」
ルージュの言葉にアリアはびっくりだ。先ほど飛びたいと言っていた感想はどこに行ったのか。
「ごめん。やりすぎちゃったね」
申し訳なさそうにするもののリリアーヌは必要なことだと思っている。それだけ空を飛ぶことは危険だと教えたかったのである。
特に慢心が態度に出ていたシャルにはしっかり教えておく必要があった。
「でも考えてみてね。超高速推進飛行は途中うっかり魔力切れになるとものすごい速度と高度から墜落することになるの。そんな状況で無事に済むと思うかな?」
リリアーヌのいう状況を想像して生徒たちは鳥肌が立ち黙り込んだ。
「だからね、もっと訓練してして大丈夫だと分かったら制限解除していくから我慢してね。まあ、半年はしっかり訓練しておきたいところかな」
重苦しい教室の空気を変えるべくティアナクランが手を打つ。
「わたくしからも付け加えましょう。砲撃特化型の多重詠唱システムは慣れるまで2つまでとします。同時に広域ロックオンシステムも制限をかけます。フローレアかわたくしか、リリアーヌでなければ解除できないようにします」
それにはユーナが手を挙げる。
「理由を教えてもらってもいいかしら」
「多重詠唱システムは完璧ではありませんの。補助的な機能と考えてくださってけっこうです。身に余る力は暴走を引き起こし自身ばかりか周囲をも傷つけかねません。広域ロックオンシステムも同様です。窮地に迫られ無理な使用によって暴走することがあってはいけません。制限解放は皆さんの習熟を見計らって個別に行います」
「なるほどね。分かりました」
そう言って引き下がるとユーナはチラリとフレアを見る。泣き疲れてルージュの肩により掛かりすやすや寝ているフレア。そんなフレアを慈しむようにじっとみていた。
このときになってティアナクランは『あれ?』と違和感を抱く。
今日のユーナはよそ見をする場面が何度も見受けられる。他の生徒であれば気づかなかったが優等生のユーナだと余計に目立つ。
(ユーナが気にしているのはフローレア?)
波打つような内心を抑えてティアアンクランは最後の機能を説明する。
「最後に上位の無魔が用いる反魔障壁。砲撃で破るには一定の威力が求められることは周知のことでしょう。その打開策として考案されたのが『シールドスルーショット』になります」
そう言ってティアナクランは無詠唱で火の魔法球を作り出した。見た目は普通の魔法球。だがティアナクランはそれ以上特別なことは何もしない。ただ試すような笑みを浮かべて生徒たちを見回した。
「それだけですの?」
「その通りです、アリア。これが『シールドスルーショット』の基本形となります」
困惑する生徒たちの中で何人かの生徒は気がついたようだ。中にはあまりにも常識から外れた魔法に確信が抱けない生徒もいる。
ティアナクランはそこで気がついているであろうユーナを指名した。よそ見をしていることに対する罰も含めてだ。
ユーナは席を立つと確信を持って答える。
「その魔法球は火属性の防御魔法で作っているのでしょう」
「正解です」
「「「えぇーーーー!!」」」
多くの生徒が驚嘆した。防御障壁で攻撃するなどこの世界の常識を逸脱していた。『嘘でしょう!?』と懐疑的な生徒にユーナはクスクスと面白がっている。
「みんな忘れていないかしら。『最強の初級魔法』は薄い風の障壁で火の魔法に圧力をかけ爆発の威力を上げたでしょう。ヒントは既にあったのよ」
あっ、そうかと納得する生徒もちらほら。それでもすぐに受け入れるのは難しい様子は見て取れる。
「ユーナの言うとおりです。『シールドスルーショット』は障壁砲撃のことなのです。これは防御障壁の特性を生かし、反魔障壁の弱点を突く画期的な攻撃法となるでしょう」
黒板に図を貼りつけティアナクランは説明する。
「個人で張り巡らせる防御障壁は基本的に外側は強固ですが中はもろい」
「フローレアが言うには砲撃において堅い障壁には堅い砲撃が有効なのだそうです。『シールドスルーショット』は貫通力を追求した砲撃となります。堅さにおいては防御障壁がトップクラスの魔法と言えるでしょうね。だからこそ魔法障壁を鋭い円錐状にして回転、射出すれば上級無魔の障壁も貫通できるという理論です」
ティアナクランはその場で遠くにみえる魔法障壁に守られた標的を指し示すと通常の火球で砲撃した。
だが強固な魔法障壁に守られ標的は無傷で残っている。
「このように通常の魔法ではダメージを与えられない標的も」
今度は形成したシールドスルーショットをぶつけると障壁を打ち破り見事標的を貫通した。しかし標的はまだ原形を残している。
「シールドスルーショットの注意点は貫通に主軸を置くことで障壁を抜くことは出来ますがダメージは通常の攻撃魔法に及びません。それはやはり貫通の特性によるものです。シールドスルーショットは障壁破壊や堅い相手へ牽制としての使用を推奨します」
「付け加えるのであれば訓練すればシステムの補助がなくても可能な技術です。魔装法衣の種類に関係なく皆さんには習得を推奨します」
その間もユーナはフレアを見つめている。その視線は他の生徒とは質が違うような気がしてつい口が滑った。
「ユーナ、フローレアがどうかしましたか」
聞かれたユーナは王女を見て思案顔の後、フッと微笑を浮かべる。そして、ティアナクランを糾弾する言葉が飛び出した。
「いえ、殿下はフレアさんに言い過ぎたのではないでしょうか。フレアさんは私たちを思って動いてくれているのよ」
声音はやんわりとしたものだった。しかしそれは王女への批難である。場の空気は一気に張り詰め、周囲の生徒ははらはらした面持ちで2人を見守る。
ティアナクランはまさかユーナから苦言がくるとは思っていなかった。それでも正論で切り返す。
「フローレアのなすことは時として国を揺るがしかねません。自重を促すためにもきつく言い含めておく必要があります」
反論のしようがない正論である。それでもユーナが厳しい視線を向けたまま1歩も引かずに立っている。
一体何が起こっているのか周りの生徒は困惑する。その中でルージュは感心したような視線をユーナに向けていた。
「私はこのクラスでフレアさんと1番古い親友なの。3歳の頃から一緒に遊んだわ」
それを聞いてティアナクランは穏やかではいられない。自分よりもずっと前からフレアと友人だった事実にどうしようもない羨望を抱く。同時に疑問を持った。
(なぜユーナはこのような牽制じみた発言を?)
「信じられないかもしれないけれどフレアさんは5歳になるまではとても繊細で気が弱い子だったの。だから私が守ったわ。必要ならこれからもそうするつもりよ」
そう啖呵を切ったあとユーナはふわりと聖女のような微笑みを浮かべる。そして、締めくくった。
「――それだけよ」
話は終わったにもかかわらずその場はしーーんと静まり緊張状態は解けそうにない。
一体ユーナさんはどうしたの?
などと心配の声も上がる。
(ユーナ、あなたは何を考えているのですか)
ティアナクランは訳も分からずユーナを見つめる。言いようのない胸騒ぎだけが広がるばかりだった。
ファーブル翼竜共和国の地上には多種多様な人種が生活する。地上の大半は豊かに生い茂る緑地に覆われ、獣人、エルフ、ドワーフなどが生活する。
だが広い国土の中には共和国に属さない種族や邪悪な存在も潜んでいる。地上は彼らに日々生活を脅かされおびえる毎日を過ごしている。
本来はそんな彼らを守るのが竜人の仕事である。しかし、いつしか竜人はおごり地上にいては翼が汚れると役目を放棄している。
例え軍を出してくれたとしても地上の人々は歓迎することはなくなった。
なぜなら――――。
「グオオオッ」
巨大な体躯のトロールたちが雄叫びを上げて獣人たちのいる集落を襲っていた。
醜い鼻と耳を持ち、見上げるような巨大な体躯に家屋を素手で叩き潰す怪力を持つ。
オオカミの容姿をした獣人らが中心となって必死に応戦するが傷を負わせてもすぐに再生してしまう。そうなると勝負は目に見えていて戦える者は一方的に減るばかりだ。
「ああ、うぜえ。トロールかよ」
突如、雷鳴とともに声の主は地上に降り立ち雷を纏ったこぶしの一撃ではるか遠くにトロールを殴り飛ばした。
現れたのは竜人だ。格調高い衣を身につけ、体長185センチあまり。フレアが嫌いな顔立ちが整ったすらっとしたイケメン。トロールと比べて二回りも小さい体で圧倒した。
瞬きの間に2体3体と蹴散らし、地に伏したトロールは傷が再生しない。
「やっぱ、トロールみたいな雑魚には雷撃が一番だぜ。何度もぶち殺すのは面倒だからな。うん」
1人頷いていると他の個体とは明らかに格の違うトロールがおぞましい叫びを喉から発して竜人の前に踊り出す。
巨体の割におそるべき速度。油断か、それとも余裕なのか。竜人は振り上げられる巨大な棍棒を無防備に受けてしまう。
本来であれば原型も残らないであろう暴威。だが現実は金属製の棍棒の方が折れ曲がる。竜人は全くの無傷だった。
「ああん!? なんかしたか?」
竜人の体からは目に見える闘気が吹き出す。それが鎧のように竜人を覆っていた。
『鎧竜鱗』
竜人の圧倒的な武の象徴。それは魔法障壁よりも強固であり、力を倍加させる特性を持つ。
これに竜人の身体能力が合わされば手に負えない。
トロールの統率者はようやく戦力差を思い知るがもう遅い。
「死ねや」
拳一発で沈むと竜人は幾度となく足蹴にしていく。
「しね、しね、しね、しね、死ね死ね死ね死ね!!」
ピクリとも動かなくなったトロールにケタケタケタと不気味に笑い絶叫した。
それには見ていた獣人が恐怖に震え上がった。まともな精神ではない。
竜人には戦闘狂が多い傾向にあるがそれでもこの竜人から感じる異常性は群を抜いているようだ。
空を仰ぎ見れば遅れてきた翼を持つ人型が次々に集落に降り立った。いずれも武装した竜人である。
「ゲール様、遅れて申し訳ありません」
遅れてきた竜人兵たちが語りかけるのは惨劇を繰り広げた竜人。彼こそがファーブル翼竜共和国、竜人族王子の1人、ゲールである。
彼は既にエクリスに降り、庇護を受けることで長らえてきた。
「遅えんだよ、愚図が」
「重ねて申し訳ありません」
「だったらちゃんと徴収しろ」
「はっ」
その後、竜人たちによって行われたのは獣人の集落からの略奪だ。金品はもとより食糧もめぼしいものは根こそぎ持ち出していく。
集落の長が慌ててゲールに懇願にした。
「ゲール王子、どうかおやめください、我々は多額の税を納めたばかり。これ以上持ち出されては生活していけません」
「ああん、何言ってんだ。俺様がこなきゃてめーら全滅だったろうが。安いもんだろ」
「そんな、ご無体な……」
集落の長はゲールに蹴り飛ばされてピクリとも動かなくなる。竜人の力を受けては当然だ。
周囲からは悲痛な叫びが上がるが竜人は全く遠慮する気配がなく財産を奪い取っていく。
そんな時、伝令の兵がゲールの目にやってきてひざまずくと書状を掲げる。
「ゲール様、エクリス殿下よりお預かりした書状です」
「ああ、どうせ呼び出しだろ。すぐ行くと伝えろ。ブリアント王国に俺様も行くんだろ。なんで汚れた地上の国に行かなきゃならんのかね」
ゲールの愚痴を聞き流し伝令の兵は下がっていく。続いて部下がゲールに手紙を持ってくる。
「ゲール様、あの御方よりお手紙が」
「なに!? よこせ」
ひったくるように手紙を読むとゲールはニタァーーと醜悪な笑みを浮かべた。
「ケタケタケタ、俺様にも運が回ってきたぜーー」
ゲールは手紙を手早く燃やすとすぐに竜翼を広げて空へと飛び上がるのだった。それもブリアント王国に波乱を巻き起こすために。




