第31話 竜人王女編 『いきなり求婚!? レジーナとの出会い』
「あははははは」
それは交易都市ガランでの戦闘から2週間が経った頃。フレアはグローランス商会に隣接する屋敷の研究室で狂ったような高笑いを始めた。
完成した新装備にフレアはハイになっていた。
「フレアっち、朝からうるさい」
「はい、すみません」
まだ日も昇り始めたばかりの早朝。また寝室にやってこなかったフレアを心配し様子を見に来たら案の定徹夜である。リリアーヌはフレアの手を強引に引っ張り研究室から連れ出した。
「全く。まずお風呂だよ」
「自分で入りますから離してください」
「駄目、ふらふらじゃない。危ないんだから手伝ってあげる」
「ええーー」
不満そうなフレアにリリアーヌは有無を言わせぬ笑顔である。
(ああ、こういうときのリリーは逆らえないやつですね)
時にリリアーヌは頑固できかないときがある。大抵は他人を心配しての行動であるのでフレアも反論できなくなる。
フレアの持つ屋敷は領主よりも立派な作りをしている。当然貴族の贅沢である個人の広い浴室も完備。
さらにはリリアーヌも当初は驚かされたシャワーなどといった画期的なグローランス商会の新製品が取り付けられている。
(最初はシャワーからお湯が出たり、蛇口からいつでも飲み水が出てくることにびっくりしたっけ)
手早くフレアをお風呂で身綺麗にした後、自室に戻るとリリアーヌはフレアの髪を温い風の初級魔法で乾かしながら櫛を通して手入れをする。
少々ずぼらなフレアを見ているとリリアーヌは我慢できずフレアの世話をあれこれとしてしまう。
その間、髪の手入れの気持ちよさ、更に寝不足もあってフレアは椅子に座ったまますやすやと眠ってしまっている。
「学園に行くまであんまり時間もないけれどお休み、フレアっち」
可愛らしい寝顔を眺めながらリリアーヌはフレアを気遣った。
朝食はフロレリアが自らその腕前を披露する。可愛らしいエプロンを着て楽しそうに厨房を駆け回るその姿はとても若々しい。一児の母とは思えない。
同時にリリアーヌは可愛いもの好きなところは母親譲りなのかと納得する。
「はわあ、ママは相変わらずお綺麗です」
「というか出会ったときから変わっているように見えないんだけど。フレアっちの家系ってどうなっているの?」
思えばクラウディオも祖父でありながら見た目が若い。グローランス家は不老の家系なのかと思ってしまう。
できあがった朝食の皿を持ってくるフロレリアにフレアが立ち上がる。
「ママ、配膳は私がやります」
「ふふ。そう、じゃあお願いしようかしら」
「わーい」
それを見たリリアーヌは苦笑する。
「フレアっち、子供みたい」
「あら、リリアーヌちゃん。フレアはあれでも11歳よ」
「あっ、そうでした」
見た目は幼いけれどふだんの胆力と凜々しい振る舞いがフレアを年上のように錯覚させていた。
「フレアっちってフロレリア様以外では凄く頼もしいから、なんだか年上の人みたいに見えて」
「あらあら、そうなのね」
それにはフロレリアが嬉しそうに表情をほころばせる。
「幸せそうですね」
「そうね。フレアは手のかからない子だからちゃんと私に甘えてくれているのならとても嬉しいわ」
けれどリリアーヌには気がかりなことがある。子供っぽい様子を見ていると引きこもりになる弱々しいフレアを連想してしまう。
(あれってフレアっちのストレスが限界に達したから引き起こされるのかな)
フレアを見守っているとフロレリアがまじめな表情で言った。
「リリアーヌちゃん、お願いがあるの」
「お願いですか」
「フレアを守ってあげてね」
「はい、それは任せてください。それがアタシの役割ですし」
「今度は竜人、人間、契約精霊と戦うことになるかもしれないから。もしかしたら神にも等しい精霊と戦うことも……。特に『彼女』は魔法少女全ての敵よ」
「彼女って誰のこ……」
そのときお盆にフレアがたくさんのお皿をのせ、ダイニングテーブル前に持ってくる。
「お待たせしたのです」
「ああ、フレア。そんな一遍に危ないわよ」
「大丈夫、荷重の偏重はちゃんと計算してますよ」
いかにもフレアらしい物言いにフロレリアは頬にて手を当てて呆れる。
「……やっぱり子供らしさが足りないかしら」
「たしかに」
リリアーヌはフロレリアの意見に同意した。
昼食を終えて寝不足のフレアを心配しリリアーヌは手をつないで学園に向かう。
既にガランは復興需要もあっていつも以上に賑わっている。各ギルドが稼ぎ時だとせわしなく活動していた。
建築ギルドは建物の再建。商人ギルドは物資の仕入れなど。うわさを聞きつけて周辺都市からも仕事を求めた人材が行き交い宿屋も、飲食店も人であふれている。
ガランはまだまだ成長著しい都市だった。
「ほむ。いつもよりも都市が賑やかですね」
馬車が幾つも通路を行き交い道幅もいつもよりも狭く感じるほどだ。
「危ないからちゃんと手をつないでるんだよ」
「私子供じゃないんですけどね」
「子供です」
「……リリーも2つしか違わないのに」
ただでさえ幼女に間違われやすいフレアはこの構図が他人にどう映るか気になって落ち着かない。
「そういえばフレアっち今朝は何をそんなに笑っていたの」
「ああっ、聞いてくれますか!?」
前のめりでいかにも話したくて仕方ない様子のフレア。言ってからリリアーヌは自分の発言の迂闊さを嘆く。
(聞くんじゃなかった。アタシのバカ)
だが後悔してももう遅い。心優しいリリアーヌは目をキラキラさせて心躍らせているフレアに向かって続きを促すという選択肢しか持ち合わせていない。
「ええ、また魔法少女の新装備が出来たのでしょ?」
「よく分かりましたね」
フレアはどんなに凄い発明をしても魔法少女が関連しないとここまでテンションは上がらない。分からないはずがなかった。
そして、後で知ったティアナクランが頭を抱えるであろう未来も容易に想像できる。
――いつものことだった。
「前に言っていた新型の魔装法衣が完成したのですよ」
「ええっ!?」
驚くリリアーヌにフレアは説明に入る。
「ガランの戦闘を受けて強化する方針が固まったらあっという間でした」
「方針って?」
「ガリュードというとにかく物理でないとダメージがまともに通らない上位の無魔が現れたのですよ」
「ああ、きいてるよ。大変だったねフレアっち」
「今後は対ガリュードや竜人など防御が堅い敵に対抗する早急な強化が必須だったというわけです」
「それで最近根を詰めていたんだ」
「その通りです。魔装法衣の力不足で魔法少女が傷ついたら大変ですから。間にあってよかった」
リリアーヌはそれを聞いてフレアっちらしいと笑う。魔法少女が好きすぎていつも必死なところが特に。
そして自身のことを大事にして欲しいともリリアーヌは願う。
そういえば今朝にフロレリアから竜人の名が突然出てきたことがリリアーヌには引っかかっていた。
「竜人かあ」
「どうかしましたか?」
「えっと、フロレリア様から竜人に気をつけるように言われたんだ。何かあるのかなって」
「ほむ。ママが?」
渡り商人から国内に竜人が入り込み、何かを探っているという情報はフレアの耳にも届いていた。
(ママは渡り商人のような諜報機関はもっていません。となると何かそれに寄らない心当たりがあるのでしょうか)
考え込んでいると不意にフレアは人とぶつかってしまう。
「ふみゅ」
まるで大岩にぶつかったかのように一方的にフレアが転ばされてしまう。
「フレアっち、大丈夫?」
倒れてお尻から転んだフレアはたいした外傷は見られない。だがぶつかった相手の持っていた飲み物と食べ物が服にかかってしまった。
「痛たた、大丈夫ですよリリー」
お尻をさすりながらも元気そうなフレアの言葉にほっとした後リリアーヌはぶつかった相手に注意する。
「ちょっと、ぶつかっておいていうことはないの?」
「そちらこそ私の貴重な食べ物を台無しにしておいてどう責任をとるつもりだ」
相手は明らかに大量の食べ物を抱えて歩いていた。視界が塞がった状態でぶつかっておきながら高圧的な対応にリリアーヌはむっとした。
一方でぶつかった相手はお忍びで視察中の竜人レジーナであった。
各地を食べ歩きガランは美味しい食べ物がたくさんあるとうわさを耳にする。それに我慢ができずつい帰国前に寄ってしまった経緯があった。
「何その言い方。あなたどこかの貴族か何か? ずいぶん偉そうじゃない」
リリアーヌに指摘されレジーナは自分の失態に気がつく。ついいつものように人間を見下す癖のままに接してしまった。竜人だとは言えない。がこの国の貴族を詐称するのも差し障りがあった。
「それは……」
周囲で見ていた人々がうわさする。
『あんな小さな子を突き飛ばしておきながらあの言い方はないわ』
『っていうか突き飛ばされたの姫ちゃんじゃない?』
『ほんとだ。姫ちゃんじゃねえか』
『相手はどこの貴族だ。この北方であの子に喧嘩売る骨のある奴がまだいたのか』
非常にまずい。レジーナは焦った。
予想以上に注目を集める事態に脳裏には任務失敗の文字がよぎる。
周囲から漏れ聞こえる人々の話から突き飛ばした子供が住民から慕われていることもわかる。
(姫ちゃん? もしかしてこの子は貴族令嬢か王族か)
場合によってはこの国の軍も動く事態になるかもしれない。そうなっては厄介だと焦っていると不意に理知的な視線で射貫かれていることに気がつく。
視線は突き飛ばした子供から発せられている。
(何だ? 本当に見た目通りの子供なのか)
とても子供が放つ眼光とは思えない。固まっているレジーナにフレアは立ち上がる。
「こちらの不注意ですね。ごめんなさい」
素直に子供らしく謝ってくるのでレジーナは内心安どしつつ応じる。
「わかったならいい」
目立ちたくない。すぐに立ち去ろうとしたレジーナをフレアはがしっと腕を掴んで引き留める。
「お詫びに美味しい料理をごちそうしますよ」
「なに!!」
つい食い気味にレジーナは振り返り聞き返す。
「本当か?」
「ええ、私商会を運営してるので是非寄ってください」
それを聞いてレジーナは納得する。何かしらの高い地位にあるのだろうと思ったが富豪の娘なのだと理解する。
とはいえフレアは運営していると言ったのだがこのときのレジーナは言い間違えたのだろうと勝手に解釈していた。
こんな小さな子が商会を立ち上げたのだといっても信じられないことだろう。
それも――――。
「…………はあ!?」
今や王国最大規模を誇るグローランス商会の経営者などと知るよしもない。
巨大な建築物を前にしてぽかんとレジーナは立ち尽くす。
フレアの衣装が汚れていることに気がついた従業員が慌ててフレアを連れて建物の奥に消えていく。
その間にレジーナはお客様として丁重に店内に通された。
座っている椅子からテーブル、廊下の花瓶や絵画、豪華絢爛な内装と調度品の数々。ここは王宮かと言いたくなる程の厳かな雰囲気と別世界のごとき静かな時間。
王城からスカウトした一流のメイドが入れた紅茶を差し出される。
「――はっ?」
ようやく意識が現実に追いついたところでレジーナが正面で優雅に紅茶を口にするリリアーヌを見る。
リリアーヌもまたどこかの王族か貴族のように堂に入った仕草をしている。
「この商会は何だ?」
「グローランス商会。この王国で間違いなく最大の豪商だね」
フレアへの態度が腹に据えかねているリリアーヌの対応は素っ気ない。
レジーナと言えばお目当ての商会に接近する機会を得た幸運に内心意気込んだ。
「そして、君が突き飛ばした子が商会の最高責任者にして創業者だよ」
「……はあ!?」
今日に入ってレジーナは何度固まったことだろうか。リリアーヌの言葉が事実ならばレジーナの印象は最悪ではないか、レジーナは焦った。
「冗談だろう?」
「フレアっち昔から神童って呼ばれてたから」
(なんということだ)
額を抑えて天井を仰ぐ。天井には見事な絵画が一面に描かれている。それがフレアの権威がいかほどかを表している。それがさらにレジーナを気落ちさせる。
「お待たせしました」
フレアの声がしてレジーナが振り返ったときにははっと息を飲む。
わずかな時間にフレアはまるで本当のお姫様のような礼装のドレスと貴金属の装飾で着飾り威風堂々現れたのである。
この手法は以前に初めて国王ビスラードと謁見した際にもみせたものだ。突然の変わり身とギャップで相手にただ者ではないと思わせる印象戦術である。
「私はグローランス商会の責任者をしております、フローレア・グローランスと申します」
これは参ったとレジーナは苦笑すると佇まいを改め立ち上がり挨拶する。魔法で姿を変えていた容貌も変化し頭には角が生え、瞳には獰猛な竜の目の輝きが宿る。
感情によっては魔力が走り淡い光を放つ髪など竜人特有の特徴が見られる。レジーナの髪もまた青く美しい輝きを見せている。
「私はファーブル翼竜共和国からやって参りました。レジーナ・フォン・ローゼンハイムと申します」
「やはり、竜人の方でしたか」
フレアは別段驚いた風ではないがリリアーヌは警戒を強める。なにせフロレリアに忠告を受けたばかりなのだ。これが偶然とは思えなかった。
フレアはそんなリリアーヌを手で制する。
「名前から察するに貴族の方ですか」
「そのとおりです」
「エルフや人族、獣人族などの多種族の集まりから選出される代表によって政治が行われるファーブル翼竜共和国。失礼ながら共和国とは名ばかりであり実質は竜人による独裁君主体制と聞いています。大統領は傀儡で竜人の王族貴族こそ国の代表と接して問題はありませんね」
「我が国は鎖国同然でありますがよく内情をご存じだ」
「今のあなたにも国賓として接するべきでしょうか?」
それにはレジーナが首を横に振る。
「今回は秘密裏に視察に回った次第。先ほどの失礼な振る舞いどうかお許し願いたい」
フレアの権威をみて手のひらを返したレジーナにリリアーヌは呆れている。そしてフレアがどうしてレジーナを商会に招いたのかようやく納得した。
非があちらにあったとしても相手の感情によっては国際問題になる。相手は他国の貴族。対応には慎重になる必要があった。
(適わないな。アタシは相手が竜人だってことすら気がつかなかったのに)
フレアは微笑を浮かべて奥に促す。
「お忍びということでしたら堅苦しい話は無しにしてお話しませんか。レジーナ様は我が商会に興味があるご様子ですしね」
「ありがとうございます」
この間、和やかにやりとりをしているようでレジーナはむしろ肝が冷える。フレアの言葉に織り交ぜられるのは鋭い探り。化けていたのに竜人と見破り、商会に接触しようとしていた件を言い当てることといいフレアに恐怖を感じている。
(こちらの目的も悟られているのかもしれない。油断ならないな)
「簡素ではありますが私自ら手料理を振る舞いレジーナ様をもてなししたいと考えております。他では食べられない美味の数々をお楽しみいただけると幸いです」
「他でべられない美味……」
ゴクリと思わず喉が鳴る。先ほどから奥より漂う香ばしい香りが鼻孔をくすぐり心惹かれていた。美食の予感にレジーナはあらがう術を持たない。
「ご厚意ありがたく」
「ふふ」
リリアーヌは見てしまった。与しやすし、とフレアの口元がつり上がったのを。
竜人は大食らいだ。特にレジーナはその傾向が顕著である。常人の10倍以上の量を食べたところでようやく食の進みが落ち着いてきた。
大きな食卓にレジーナは大量の空になった皿を積みあげていくさまはリリアーヌに戦慄をもたらす。
(よくそんなに食べられるわね)
開放型のキッチンでフレアは助手のメイドを4人もつけてせっせと次なる料理を作っている。服は活動的な衣装に着替えて可愛らしいエプロンを着けている。
「信じられない。世のなかにはこんな美味があったとは(もぐもぐ)」
「アタシはあなたの胃袋が信じられないわ」
レジーナにとってはフレアのさしだす現代料理が全て目新しい。食にはうるさいレジーナの舌を呻らせるものばかりだった。そして、腕を振るっているフレアの後ろ姿を眺めてレジーナは考え込んでいる。
もちろん両手のナイフとフォークはいまのところ止まる気配はない。
完全にレジーナはフレアに胃袋を捕まれていた。
「うーーむ、いいかもしれないな(はぐはぐ)」
「何がですか?」
「将来は料理が得意な伴侶が欲しいと思っていた。(ごっくん)腕っ節だけが強さではない。財力や知力、技能もまた力だ(ぱくり)」
「んっ?」
リリアーヌは首をかしげた。
何かかがおかしい。
いまもフレアに熱い視線を向ける意味が理解できない。
「フレアっちは女の子ですよ」
「ああ、人間は知らないのか。(もぐもぐ)私ら竜人でも高位の者は竜神に近い。その上強靱で融通の利く身体を持つ。(パクパク)性別も思いのままだ」
「え”」
リリアーヌは猛烈な嫌な予感をおぼえつつ腰の剣に手を添える。
「フレアっちを狙ってるの?」
「そうだ(ポリポリ)」
「フレアっちには婚約者がいるんだよ。相手はこの国の公爵家だよ」
「得難き伴侶は力尽くで奪う。竜人のならいだ(はぐっ)」
「何なのよ、そのトンでも迷惑な習慣は」
更に警戒心が上がったリリアーヌにレジーナは手を止めて笑った。
「だが、さすがに今回は出会いがまずかった。彼女の印象もいいものとは言えない。何度も通い時間をかけるとしよう。それだけの価値がある」
「いや、もう二度と来ないで」
もはやリリアーヌのレジーナを見る視線は変質者を見るそれだった。
もてなしに満足したレジーナは商会をでる。
見送りのフレアにレジーナは突然手を取ると熱い視線で見つめた。
「フローレア・グローランス」
「はい?」
「いつかそなたを奪いにくる」
「それは宣戦布告ですか」
竜人の文化を知らないフレアはいずれ軍を率いて攻めてくると捉えた。
「いや、私個人の求愛だ」
「はあ? 何の冗談ですか」
「竜人のことで困ったことがあったら頼るといい。ではまた会おう」
颯爽と立ち去るレジーナにフレアは誤解していた。まさか同性に本気で求愛されるとは思わないのが普通なのだから。
「あれは竜人なりのジョークなのですね。面白い人です。遠回しにまたもてなしてほしいということでしょうか」
だったら期待に応えなくては。料理の腕を褒められたのなら悪い気はしないとフレアはにこやかだ。
「いや、あれガチだから」
リリアーヌの突っ込みももちろん冗談と思ったフレアは聞き流す。
一方で今度会いに来たら斬りかかってでも追い返そう。リリアーヌは割と本気でそう考えていた。
レジーナはしばらく歩き離れたところで振りかえりグローランス商会を見る。
「彼女のことはエクリス様には伏せておきましょう。側室にすると言われも面倒ですし。あれは私の伴侶と決めましたから」
事実、エクリスにはグローランス商会での出来事やフレアに関して報告しなかったのである。




