第12話 王都防衛編 『ジルベール家と決着! そして――」
「もう王都が見えます。なんて速さなのかしら」
ティアナクランは《移動魔工房》の窓からめまぐるしく移り変わる景色に驚きを隠せない。後部座席から身を乗り出して外を見てしまう。
フレアたちはジルベール家との対立を国王に裁定してもらうため現在王城に向かっていた。
隣の席に座るフレアが胸を張って自慢する。
「馬よりも速く、私の魔力の続く限り半永久的に走ります。すごいでしょう」
「すごいわね。それでいて魔法の防護加工がなされた金属で外装を覆っているのだから安全に人を運べるわ。これはとんでもない発明でしてよ」
車輌を運転しているリリアーヌが付け加える。
「でもまあ、フレアっちが乗らないと動かないけどね」
王女は改めてフレアを見る。
今もフレアと体が接しているシート部分から可視化できるほどの膨大な魔力が自動で吸収されていく。フレアの無尽蔵とも思える魔力には目を見張るものがある。
それでいて両手両足には少なくとも魔力を封印する魔導具のリングが4つも見えているのだから恐ろしさすらある。
(これで魔法少女として覚醒していたのなら間違いなく神聖オラクル帝国の《イーリス》が予言した救世主そのものね)
今フレアたちの通っている森の中は野生動物も多く見られのどかである。それを見てリリアーヌがふと疑問を持った。
「そういえばフレアっち。どうして人間の領域内にいる動物は無魔化しないの?」
「人間の領域が深いほど土地の魔力濃度が高いことが要因だとみています。特に森の植物は以前調査した結果、清浄な魔力を周辺にふりまくことが判明しました。そうして動物たちを無魔化から守っているようです」
それは王女すら知らなかったようで素直に感心していた。
「フローレアは様々な仮説を検証してくれるので助かりますね。いままで王国ではそのような疑問を提唱し検証した学者すらいません」
「むしろなぜ国の学者が雁首そろえて疑問に思わないのか、私は不思議ですよ」
それを言われては王女も苦笑するしかない。
(いや、もしかしたらこれは意図的なのかもしれません)
「フレアっち、王都北門についたよ」
リリアーヌの言葉にフレアとティアナクランは顔を見合わせる。
「あっという間、そう言いたくなる時間でしたね」
「これからの予定は?」
「軍の護衛を受けて夜間秘密裏に先行した見習いの魔法少女たちが無事王都に到着しています。お父様が圧力をかけていますので王都内に入ればもうジルベール家は手が出ません。私たちは安心してこのまま城に向かいましょう」
既に生徒たちは3個中隊規模の騎士が護衛につき王都に着いている。彼女らは王族が認可する安全な宿に待機してもらい裁定を待つことになる。
「問題はこの重要機密の車ですわね」
王都は高い城壁に囲まれた人口30万人の要害都市。
北、西、南門のどこを通ろうとも城下街を抜けなければ王城にはたどり着けない。
しかし、この重要機密の塊のような車を城下に放置はできない。必然的に《移動魔工房》は警備が厳重な城内に連れて行くしかないのだ。
「この《移動魔工房》を見たらお父様が何というか。しかも、大勢の民の目にふれてしまう。考えただけで頭が痛いわね」
事実、この後王都の民は大騒ぎになった。王女が軍の兵たちを手配しなければ大混乱となっていた。
騒ぎが人を呼び見物人であふれかえった大通り。その中では遅遅として進まない。ティアナクランは民を安心させるため馬に乗り護衛兵に囲まれながら周囲に愛想を振りまく。それだけで神経をすり減らしていった。
「なんだ、これは……」
騒ぎを聞きつけ城内で執務をこなしていた国王ビスラードは展望台に駆け込み居城前の庭園広場に入ってくる大きな車に言葉を失った。
金属の塊のようであり、箱のような形をみて、そして動くさまにようやく馬車ではないかと想像する。しかし、どこにも馬の姿が見当たらない。
いや、あの大きな金属の威容を果たして馬が引けるものかと思い至る。
そうなるとビスラードは思考することを諦めた。
そして停車後に下車するフレアの姿をみて納得する。
「ああ、またクラウディオの孫娘がやらかしたのだな。我が娘もかわいそうに。あれに付き合うのは大変であろう」
既に憔悴しきっているように見えるティアナクランを見て、裁定は少し時間を空けようとビスラードは決めた。
一方で城の庭園広場から《移動魔工房》を見つめる人物がいた。
ジルベール公爵である。西側の戦線を支える将でもある彼は40代ではあるが今だ現役同然の肉体を維持している。公爵の中では武闘派に位置し、精悍で彫りの深い顔つきをしている。
「あれがグローランス嬢か」
登城に際しては見たこともない馬車を持ち出し、城にいる多くのものが驚きと畏怖でフレアを見る。
ここで《移動魔工房》を目にした重鎮はフレアがただ者ではないと印象づけることができる。
「なかなかに派手な演出をしよる」
そして、距離があるにもかかわらずフレアとジルベール公の視線は交錯する。彼は理知的なフレアの目から多くのものを感じ取る。
「なるほどな。もはや11歳の貫禄ではない。ワシと同等と見ねばなるまい」
ジルベール公はマントを翻しその場を後にする。
「我が公爵家の立ち位置、この裁定で見極めん」
意味深な言葉を残し彼はその場を後にした。
人質の保護が完了しフレアたちは今日という日を迎えた。魔法少女候補生たちは城下の街にて待機する。一方でフレアとリリアーヌは王城にいる。ティアナクランの呼びかけで王城に関係者が招集されたのである。
玉座の間にて国王ビスラード・ロシュフォード・ブリアントがこのたびの騒動について決を下すこととなった。
ここには関係者であるジルベール公ほか王国宰相バスコーニュも同席し、告発者としてティアナクランとフレアが相対する構図となる。
そして、発言権はないが一歩下がってフレアの護衛としてリリアーヌが付き添っている。
「フローレア、宰相のバスコーニュは貴族主義の筆頭格よ。彼は敵対側にあると思って間違いないわ」
それを聞いてフレアは宰相を観察する。事前に宰相について渡り商人からある程度の情報は得ていた。
今も柔和な虫も殺さないような優男を装っているが裏では相当黒い男だと分かっている。貴族の腐敗の元凶とも目されていて裏社会にも通じていると報告にあった。
国王は宰相の本性を知らず実務能力の高さから重用している。国王は能力さえあれば公爵でなくとも宰相に登用するほど才能を重視する傾向があるがこの男に限っては非常に危険だと考えている。
(まあ、イケメンって時点で気を許す気はありませんが)
いまだにホークがやってこないことから国王は姿を見せていない。そうこうしているとバスコーニュが声をかけてくる。
「あなたが近頃評判のフローレア様ですね」
「何度かお会いしたことはありましたがゆっくりとお話しするのは初めてでしたね。バスコーニュ様、いえ、宰相閣下の方がよろしいですか」
「お好きなようにお呼びください」
「ありがとうございます。ではバスコーニュ様と」
フレアは彼のねっとりとした視線を受けて生理的な嫌悪感を覚える。
(何なのでしょうか。妙に下手ですね)
初めて受ける類いの視線に困惑するとティアナクランが教えてくれる。
「(ぼそっ)気をつけてね。彼はロリコンで有名だから」
(最悪ですね。まさか自分がそういう目で見られるとは思いませんでした)
少しひるんだフレアを心配しティアナクランは会話に割り込む。
「バスコーニュ、あなたが出向いてくるとはどういう風の吹き回しですか」
ティアナクランが尋ねるとバスコーニュは態度がフレアとは一変する。王女に対して敬意が少々足りない態度で応じた。
「次期公爵家を継ぐホーク殿は私も大変目をかけていたのです。このたびの嫌疑は何かの間違いであると、擁護するために出席しているのですよ」
「目をかけていた、ですって?」
「ええ、私も折を見ては貴族の心構えをよく説いたものです。彼は大変物わかりのいい優秀な逸材でした、くくくくく」
最後は形容し難い狂気的な笑み。フレアの中で宰相の危険度がどんどん増していく。前世の経験が警鐘を鳴らしていた。この男は危険だと。
(言葉の端々にどす黒い感情を感じます。この男一体?)
「バスコーニュ殿、陛下のいらっしゃらないうちに話を進めても仕方あるまい」
遠回しにジルベール公が宰相を窘めた。それにはフレアは意外に感じた。
(それに比べてジルベール公は意外でしたね。顔つきもどこかじじ様に似ているかも)
とてもあのホークの父親とは思えぬ紳士的な空気を感じ取りフレアは戸惑った。
一方で宰相はクツクツと小さく笑った後、別の話題を切り出す。
「そういえば奴隷市場を厳しく規制するよう陛下に進言なさったとか。困りますねえ」
その発言にティアナクランは不快な表情をあらわにする。
「奴隷制は我が国の品格を陥れる行為です。何より昨今他国より受け入れた難民移民の受け入れによって我が国は大きく経済発展を果たしています。奴隷の推奨はその流れに水を差すものといえましょう」
「例の開放特区のことですか」
実に嘆かわしいと言いたげの宰相。開放特区とはフレアが手を回して始めた開放自治政府。難民たちに自治を認めた領土のことである。そこはリリアーヌの保護する難民も暮らす場所だけにフレアも眉をひそめる。
「バスコーニュ様、まさか開放特区を反故にするつもりですか」
フレアの問いにバスコーニュはあからさまに目尻を下げて応じた。
「御安心ください。フローレア様。既に実績を上げられたあなたの特区をどうこうしようという気はありませんよ。陛下もあなたの働きに大変お喜びでした。その若さでその手腕、実に素晴らしいですね。私の妻に欲しいほどですよ」
最後の言葉に鳥肌が立ったフレアだが何とかこらえて愛想笑いを返す。それを好意的に受け取った宰相は改めてティアナクランに向き直る。
「しかし、ファーブル翼竜共和国、特に神聖オラクル帝国は奴隷の力によって著しい発展を遂げている。また奴隷取り引きによる経済市場も馬鹿に出来ません。事実、現状の税収で資金繰りに苦しむ貴族からの陳情が増えていましてね。奴隷制を望む声が根深いことを知らぬ訳ではないでしょう。奴隷は安い労働力により財政が活性化するわかりやすい政策なのですよ」
財政の悪化に関しては昔から王族の頭の痛い問題だったが徐々に解消されつつある。その要因がティアナクランの隣にあった。
「果たしてその言い分は全ての貴族に当てはまるのでしょうか?」
「どういうことです?」
王女の切り返しにバスコーニュはその真意を測りかねる。それを見てティアナクランはここぞとばかりに畳み掛ける。
「近年、北方においては奴隷制がなくとも税収は健全化され、逆に潤っていますのよ。他国にも新たな産業特産品が輸出され、国内に大きな利益を生んでいますわ。気がついていませんか?」
「初耳なのですが……」
宰相は知らなかった。近年は貴族至上主義の方針を転換し富をもたらすフレアに歩み寄る北方貴族で結束が固まり情報統制が効いている。しかも渡り商人なる組織で情報遮断しているので敵対貴族に情報が流れない。
(力をつけて勢力を確立するまでは無名の方が楽ですからね)
ぎりぎりまで敵に敵だと認識させないことこそがフレアの戦術だった。そのための渡り商人であり、フレアが求める真価である。
そこでジルベール公が興味深くフレアを見ていることを認識した。特に北方の経済の話で意味深に視線を向けている。
「ジルベール公、フローレアが何か?」
「いや、北方の著しい発展は少しだけ聞いている。その件に関して是非とも西側の貴族連合も一枚噛ませて頂きたい。まあ、既に幾つか西の貴族には手が回っているようだがね」
そこでまたもジルベール公はフレアをみた。
(これはジルベール公に気づかれていたとみるべきでしょうね)
北の隆盛の影にフレアがあることをジルベール公は確信していた。腹を決めたフレアは一石を投じる。
「私は今回の騒動を本来子供間の問題と捉えています。親(公爵家)を巻き込むことなく内々に済ませられるのならばそれに越したことはありません。もしご子息の問題に関してジルベール公の強いお力添えをいただけるのならば幸いです。その暁にはこちらから見返りを用意したいと考えております」
「ほう、それは興味深い」
ジルベール公が食いついた。それには宰相が当惑している。
そこで見計らったように国王ビスラード・ロシュフォード・ブリアントが入室する。
「ほほう、役者が揃う前から事態は収束の様相をみせておるのう」
国王ビスラードの登場に全員が礼をもって迎える。
「皆のもの面を上げよ」
玉座に座りビスラードは発言を許可する旨を周囲に発する。
「陛下、このたびは息子のことで心労を患わせてしまい面目次第もありません」
「よい。それより面白い話になっておるではないか」
興味の視線はフレアに向けられた。
「はい、陛下の許可をいただけるのであれば西方にも手を伸ばしたくおもいます」
「ふむ。クラウディオの孫はこのようにいっておるがどうよ、ジルベール公」
「我が息子の不祥事はこちらの調べでもどうやら事実のようです。しからばこちらの方で厳しい処罰を考えております」
「ほう、どのように処すつもりよ」
「ホークには公爵家を継がせるつもりはありませぬ」
その言葉には宰相はもとよりビスラードにも不意打ちであった。
「っくく、思い切ったことをいうものよ」
ビスラードの言うとおり、ジルベール公爵家としては素直に告発の内容を認めるばかりか、社交界に表明してきた跡継ぎを取り消す。これでは公爵家の面目が立たない。
フレアも内心では驚くと同時にジルベール公の評価を改めていた。
(この方は豪胆なのかも知れませんね。話をする価値もありそうです)
こうなると黙っていられないのが宰相だ。ようやく貴族至上主義の勢力図が書き換わる危険性に思い至ったためだ。
「よいのですか? ジルベール公。告発を認めるなど貴族の社会にとって痛恨の至り。撤回なされよ」
「いいや、そも、ホークは跡継ぎにふさわしくないと考えていたのです、バスコーニュ殿」
「どういうことですか?」
そこで深い溜め息を刻み、ジルベール公は重々しく口を開く。
「我は跡継ぎに最も優秀な子をと考えていた」
「なればこそ、なぜ?」
「アルフォンス公爵家の跡継ぎ、――準公爵殿より忠告があってな」
そのことにフレアはひっかった。アルフォンス家の準公爵といえばフレアの婚約者である。準公爵は親から正式に公爵を継ぐまで後継者が名乗る仮の爵位。
まだ顔も知らない婚約者からの援護に落ちないものがあった。
「ホークには幾つか公爵家の仕事を任せていたのだがその実績が不正によるものと分かった。実質は側室の子に仕事を押しつけホークは遊びほうけていた。よからぬ輩ともつながっていたようだ」
実に深い呆れを伴った溜息が間に入る。それだけでジルベール公の失望が伝わってくる。
「ゆえに今後は側室の息子こそ私の跡継ぎにと押すつもりである」
そこで改めてジルベール公はフレアを見る。
「ついては是非とも先ほどの見返りを要求したいものだ」
暗にジルベールはこう要求したのだ。北方のように西の地方を豊かにせよと。
フレアとしてもこれで西の貴族たちに強い影響力を持つことが期待できる。望むところであった。
「お任せください。西を北方に負けない豊かな領地にして見せましょう」
ジルベール公は満足げに頷くとビスラードに向き直る。
「陛下、では裁定を願いいたしします」
尚早な展開ではあるがジルベール公は国王に判断を仰いだ。
「ふむ、本来ならば公爵家に処罰をも視野にあった。だがこの度の件、不問とする。なお、ジルベール公爵家の跡継ぎは――そうよなあ、病気を理由に変わる旨、余がしらしめておこう」
「お心遣い感謝致します」
「よい、そもそもこれは正式な裁定ではない。当事者のホークが姿を現しておらぬでな。内々に話が纏まってよかったといえよう」
王の言葉に宰相以外は揃って礼をする。当惑する宰相にビスラードは言い含める。
「宰相。ではそのように周知を徹底せよ。いたずらに公爵家のメンツを潰すわけにもゆくまいよ」
あまりの想定外な流れに言葉を失っていたバスコーニュ。彼は何が起こったのか分からず一度苦渋の形相を浮かべかけたが何とかこらえて頭を垂れる。
「万事お任せください」
だがその言葉は玉座の間の前からする喧噪によってかき消えた。
「父上、この私を後継者から外すとはどういうことですか」
強引に玉座の間へ踏み込んできたのはホークだ。遅れての登場。王がいる前での無礼な振る舞いにジルベール公は不快感をあらわにして一喝する。
「黙れ! 愚か者。陛下の御前である。まずはとるべき礼があろう。何より誰よりも招集に先んじるべきお前が今更どの面下げてやってきた?」
ジルベール公の迫力にホークはわずかに後ずさる。体に染みついた恐怖が思わず反応してしまった様子だ。
「我が国の国防に魔法少女の増強が急務。国の安定のため育成を急がねばならぬときにお前のした行動は浅慮である」
「うっ。し、しかし、貴族がそこのフローレアというただの平民にこけにされて黙っていろと言うのですか?」
ホークが怒りをあらわにフレアを指さしているとジルベール公は心底失望の色を浮かべた。
「はああ、やはり貴様は愚かだ。その娘がただの平民にしか見えぬのならその目は節穴よ」
「フローレアが一体何だというのです。祖父と母が騎士爵なだけのことでありましょう。そいつはただの祖父の威を借りた平民にすぎない」
ホークは周囲の冷めた視線にまるで気がつかず頭に血が上った形相でフローレアをにらみつけている。
とうに諦めの境地でありながらもジルベール公は言葉を重ねる。
「機密にかかわることゆえ詳しく話せぬがその娘は既に国に大きく貢献している重鎮である。それでなくとも11歳の少女とは思えぬ大器がうかがえよう。それが分からぬ貴様はあまりにも世界が見えておらぬ。お前は公爵の器ではない」
ホークにも分かってしまった。もはやジルベール公の表情からはホークに対する一切の期待もない。どんなに訴えたところで自分が後継者に這い上がる可能性はなくなったのだと自覚する。
「くそっ、フローレア。貴様が、貴様がいなければ、公爵を継げたのだ。この疫病神があっ」
今にも襲いかかりそうな剣幕であったがホークはフローレアを守るリリアーヌと王国最強の魔法少女ティアナクラン、さらには周囲に控える近衛騎士たちを見て逃げるように立ち去っていった。
一連のホークの非礼は王の前にあって重罪に値するものであった。
「陛下、愚息が大変な失礼を致しました。いかようにも処分を――」
ジルベール公がビスラードに謝罪を口にするさなか、切迫した声が響く。
「ほ、報告いたします。無魔の大軍がこの王都に奇襲っ!」
それは伝令兵の悲鳴にも似たしらせだった。
誰もが耳を疑った。
それはあり得ないことだった。王都と無魔の支配域の間には西と北の領土と防衛網が敷かれている。
全く察知されることなく無魔が王都に直接奇襲をかけるなど到底信じられるものではなかったのだ。