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まったりギルドのレイド攻略。  作者: ゴッティー
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第2話 出発

「あの、本当に付いてきてもらってもよかったんでしょうか?」


 さっきリリスさんの家で地図を見せて貰った時、町が地図の中心にあって、その町の大きさから推定すると、私の予想ではここから町まで歩いくのに最低でも4時間は掛かると思ったのだけど、そう考えるとリリスさんは私が町に着いてからまた4時間掛けて再びこの場所へ戻らないといけないことになる。


「別にいいよ。それにこれから一週間一緒なんだから敬語は必要無いよ。それとまだあなたの名前を聞いていなかったね」


 これから一週間一緒ってもしかして町までそんなに長くかかるのかな?まず、私そんなに歩けないよ。それにあの地図、全然距離感違う…。それとも町がそんなに大きいのかな?また不安ごとが増えてしまった。


「私は、秋風 葵」


「アキカゼ アオイ? 変わった名前ね。よろしくね、葵!」


「はい。あの、これから一週間って町まで一週間も掛かってしまうということですか?」


 もしそうだとしたら大問題だ。第一に私の足は一週間も長距離を歩けるようには作られていない。そして第二に食料や寝泊まりするテントなども持っていないし、その前にリリスさんも私も二人共、手ぶら。今から一週間も森でサバイバル生活をしながら町へ目指すような準備はしていないし、一番の問題は今、私はヒールを履いているということだ。そして服も昨日、メイドの出雲さんに頼んで洗ってもらったばかりのスーツを着ている。ちなみにスーツの色は黒と中は白だ。


「ええ、町に着くまで大体一週間ってとこだけど、時々小さな町も寄っていくからずっと森じゃないから安心してね」


 どうやらリリスさんは私が森で寝泊まりを気にしていることを察してくれていたようだ。時々小さな町も寄っていくと言っていたけど確か地図には載っていなかったような気がするのだけど、この世界の地図は本当に情報量が少なく、メインの道以外は全く記されていなかった。


「はい、ありがとうございます。旅の途中などに必要な水や食料なども持っていないようですが、今から付近の小さな町へ?」


 と、私が言うと、リリスさんがポケットから小さな巾着袋をポケットから出した。巾着袋は決して食料や飲み物を入れることが出来る大きさではない。となればその中に入っているのはお金。そう私は予想していたが、リリスさんが巾着袋を開けて中身を見せると、私は目を輝かせて中身を覗いた。巾着袋の中身は、その外見には絶対に似合わない大きさの空間があり、大量の物や食料などが置いてあった。


「マジックバッグよ。あなたは持っていないの?」


「いえ、私は魔法の類の物や知識は一切無いので」


 本当に何もない。この世界は魔法や魔道具が日常的にあるようだが、私はそのようなことは全く知らないし、それにそもそもいきなりこんなファンタジーの世界に転生か召喚かよくわからないけどとにかく今はこの世界からの耐性が全くない。


「ところであなた本当に足が遅いのね。あなたもしかしてAGIに1ポイントも振っていないの?」


 えっと、AGIって何だったっけ…。あ、そうだ! 確か敏捷度とかいうやつだね。でもいきなりなんでゲームの話? 私の足の遅さと何の関係が!?


「AGIってゲームのAGIですか?」


「ゲーム? よくわからないけど敏捷度の事よ。お嬢様の中では何て言うの? 速度? 回避? ステータス見たらわかるでしょ?」


 ステータス? この世界で今、流行っているゲームの事でも喋っているのだろうか? さっきリリスさんの家にある鏡でチェックしたけど外見がかなり若く、高校生くらいにはなっていたと思うけど、それでも高校生にゲームの話って…。それにもし私が大のゲーム好きだったとしてもこんな森の中でゲーム機持ってきているわけないでしょ!?


『ステータス、オープン_アキカゼ アオイ認証完了』


 頭に響くロボット音の声。どうやら私は何かに認証されたようだ。すると丁度、私の胸の数十センチ前に半透明のパネルが現れた。そのパネルにはしっかりと私の名前が記述されており、ステータスが載っていた。ステータスは全能力が0。ステータスポイントは現在2ポイント。今、この場でどれかにステ振りすることも可能だけど、この世界が本当に通常のゲーム仕様と同じ効果をステータスに持っているのかがまだ不明なのでどれに決めるかはまた後でにしよう。


「で、どうだった?」


「AGIは0です」


 リリスさんは代わりに彼女のステータスを私に見せてくれた。彼女のステータスはこんな感じだった。


リリス / LV43

MP / 30+15

HP / 106+10

ATK / 15+5

MATK / 75+25

DEF / 20+5

HIT / 10+10

AVOID / 26+0

ASPD / 39+0


STR:3 INT:15 VIT:10 DEX:2 AGI:13


スキル

≪魔法V≫≪魔力III≫≪筋力I≫≪体力II≫≪防御I≫≪命中II≫

[フレイムII][ファイヤーボールVI][アイスIII][バブルII][ウィンドカットV][ヒールV]


 私はこのステータスが高いのか低いのかはわからないけど、魔女と名乗るくらいだから多分多い方なのではないだろうか。でも今の私と比べると圧倒的だ。


「どう? かなり上級魔法も覚えているし、レベルも結構なものでしょ。他のものにステータスポイントを振りたいのもわかるけど、並大抵のAGIは取っておいた方が良いわよ」


 多分、私のステータスだとAGIを上げても体力、HPが0だからどっちみちこの森を抜けることは難しいんだけどね。


 それから5時間程経過した。もう周りは暗くなり、夜になっていた。私の足はもうぱんぱんに腫れており、足の感覚は既に無くなっていた。だが、リリスさんはまだ大丈夫そうで、歩く速度も彼女の家から出て歩き始めた頃と同じ速度だ。


「葵、大丈夫? もう日も落ちたし、今日はこの辺で寝泊まりしようか」


 私は首を縦に激しく振った。今日は5時間も歩いたのだ。それもこの数か月間全く外へ出て歩いていない私がだ。するとリリスさんはマジックバッグからテントを取り出し、組み立てていった。だが、私はもう立つことも出来ない為、その場で座って休憩している。


「リリスさん、ありがとうございます」


「別にいいよ。それよりもうご飯の準備ができたからこっちにおいで」


 私はリリスさんに呼ばれ、そちらへ歩いていった。するとそこには見知らぬ機械の上で焼かれている肉、野菜があった。


「リリスさん、これも魔道具ですか?」


「そうよ。まさかこんな物すら見たことが無いとはね」


 そう言ってリリスさんはそこから肉をプレートの上に乗せ、私に渡した。やっぱり肉は美味しい! けどソースは付けないのね。少し残念。その日、私はご飯を食べた後、すぐにテントで寝た。


「おはよう」


 そうリリスの声が聞こえ、私は目を覚ました。昨日は大変疲れていた為、すぐに寝ることが出来たが、それでもまだ足の痛みは消えていないようだ。だけど5時間歩いた割には結構回復した方だと思う。


 今日も朝、朝食をリリスさんと食べた後、私達は永遠と続く同じような景色が広がっている森を歩いた。


「町が見えてきたわよ」


 そういってリリスさんは森の奥を見た。私には全く見えなかったが、リリスはかなり目が良いため、遠くの方にある町を見ることができたのだろう。

(やっと着いた…。もう足の感覚が無い)


 町にやってくると、そこにはたくさんの人が歩いていたが、どの人も皆中世の時代の様な服を着ていた。建物は全て木でできており、地面は乾いた土だった。私とリリスさんはその数多く並んでいる店の中から一際目立った大きな剣と杖の看板がある店に入って行った。


「よ、おっさん」


「げっ、リリスかよ。今日はどんなクエストを受けに? 悪いがAランクの依頼の魔物の材料を大量に買うお金は少なくとも今月中は内には無いぞ」


 リリスさんは店の扉を入り、その正面にあるカウンターに立っている中年の男の人にそう言った。


「いや、今日はCランクの依頼を受けようと思ってね。それと多分この子ギルドカード持ってないから作ってあげて。金は私が払う」


「あいよ」


 この店の中は外見と違い、案外広かった。入り口を入ってすぐ右隣には多数の男の人と女の人が座っており、全員腰や肩などに武器を提げていた。その人たちの雰囲気は決して良いものでは無く、少なくとも3人の男の人は私の体をしたから舐めまわすように見ていた。かなり気分が悪いが、何かをされたわけでは無いので、私もリリスさんの後追ってカウンターの前まで歩いた。


「では君、この魔道具の上に手を乗せて」


 そう言われ、私はその人がカウンターの上に置いた黒くて四角い箱の上に手を乗せた。するとその箱の横から一枚の板が出てきて私はそれをとった。そこには私の名前が記述されていた。だがそれ以外の記述は無く、裏にはギルドの決まり事のような物が書いてあるだけだった。


「おっさん、良いクエスト無かったからダンジョン潜りに行くわ」


「げっ、あんまりおっきい材料持ってくるなよ、後で都内まで持っていくの大変なんだからな」


「了解、了解、じゃあね」


 そう言ってリリスさんが店を出たので私も続いてこの店を出た。それからリリスさんは色々とパンなどの保存食やポーションなどという物を買い、私達は再び先程までの森の中へと入って行った。


「ところであなたはどんな魔法を使えるの? さっき魔法売り場で何か買っていいたようだけど」


 そう、リリスさんが町で買い物をしている時、私も色々と町を見回って、とある時計屋さんで先程まで私が着けていた腕時計を売り、かわりに魔法ポーションを露店から買っていたのだ。その腕時計は時計屋の店長によると、見たことが無く、かなり小型化な為、高額で買い取りをしてくれた。そのお金で私は魔法ポーションを買い先程その全てを飲み、ステータスポイントもINTに振った。


 お陰様で私は[アロー][ファイヤ]≪魔力I≫≪魔法I≫を習得することが出来た。[アロー]と[ファイヤ]の消費魔力はどちらも1で威力はかなり弱いことがわかるけど、何も攻撃手段が無いよりはましだね…。あ、防御系魔法を取っておいた方が良かったかな?現在HP0だから私の体力は生身と同等。そういえばこの世界ではゲームと違ってやられたら死ぬかもしれないんだった。今はリリスさんとパーティーを組んでいるから彼女が数体、魔物を倒したら私にも経験値が入ってレベルが上がるかもしれないから次はHPにステータスを振ることにしよう。


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