イベント三日目 2
「そっち行ったよ」
『了解、“氷弾”』
黒い靄が高速で飛行して行く、そこにモニカの氷弾が殺到して凍った個体が地面に落ちて砕けた。
ブラッドビートルは硬い甲殻を持つ群体モンスターで一体でも残すとすぐに元通りになってしまうのが厄介だ。
『“ピアーシングアロー”』
フリジルトさんの弓技がオレールさんの盾を抜けて来たブラッドビートルを仕留めて行く
『悪い、助かった』
『しっかりしてよね』
さっきから決定力が足りなくて、倒す速度と復活する速度が同じくらいで一向に数が減らない、消耗してるだけじわじわと不利になっていってる。
『一気にけりをつけないと不味いな』
「何か良いアイデアありますか?」
『あぁ………1ヶ所にまとめて殲滅しよう』
ブラッドビートルは昆虫だから火に弱い、燃えるのがこわいから火魔術が使えないから苦戦しているのだけど、クロトさんはあっさりと殲滅案を出した
『土魔術あたりでブラッドビートルを閉じ込めて“火球”放りこめば良いだろう』
「なるほど」
『オレールとフリジルトは1ヶ所に固めるための牽制を頼む』
『任せて』
『わかった』
オレールさんがさっそく盾技を使ってブラッドビートルを誘導していく。
『君たちは土魔術か火魔術使えるか?』
「どっちも使えません」
『私、土魔術使えます』
『土壁だと逃げられるかもしれないから、まわりからドーム状に一気に盛り上げてくれ』
『わかりました』
モニカが少し下がったところで本を構えて待機する。
『火球は俺がやろう、君はオレール達を手伝ってくれ』
「了解」
クロトさんがモニカの所まで行き、俺はフリジルトさんの横を抜けてオレールさんの側まで行き布陣が完成した。
「いきます」
いつもより短めに作った槍で、オレールさんの盾の陰から飛び出して三連続突きをした。
称号のインセクトキラーのおかげか、ブラッドビートルの硬い甲殻をものともせずに貫けるが点の攻撃なのですぐに元通りになる。
『さがって………“バッシュ”』
反撃に来たブラッドビートルを大きくバックステップで距離を取る、こちらを追撃してきたブラッドビートルには入れ替わるように前に出たオレールさんが盾を叩きつけるように押し出して迎えうつ。
『“フラッシュシュート”』
フリジルトさんが時間差をつけて二本の矢を放つ、先に射った矢に後から射った矢が追いつき閃光を発して弾けた。
「“噴水”」
オレールさんと入れ替わった後に準備していた魔術を使った、周りから噴き上がった水が1ヶ所へと流れこむ、ブラッドビートルが一塊となった。
『“土壁ドーム”』
『“火球”』
好機を逃さず土壁がドームを形成する、水に濡れて動きが鈍いブラッドビートルに火球がぶつかったところで土壁のドームが完成してブラッドビートルを閉じ込めた。
ここで『やったか?』はフラグなので、みんな一息いれつつ無言で様子を見ている。
昆虫の焼ける嫌な臭いが辺りに漂っているのが気になりはじめた頃に景色がグニャリと歪んだ。
『もう大丈夫そうだな………お疲れさん』
オレールさんがみんなを見回して、声をかけてきた。フィールドボスを倒したからか無事にインスタントエリアから抜け出せたようだね




