春のハロウィン
ハロウィンSS
『クラン専用のクエストとかあるんだねぇ』
ベルフェゴールが関心したようにつぶやいた、空中に浮かび上がるウィンドウを操作して次々と項目を開いていく
ポーンという告知音とともに調べものをしていたウィンドウに重なるように着信用のウィンドウが表示された、発信者の名前を確認してため息をつくとバアルは通話にさわる
『今、大丈夫だった?』
『あぁ、大丈夫だよ』
『ようやくシステムの修復が出来そうなんだけどね、なんかむこうから雑霊がまざりこんだみたいなのよ』
『雑霊かい?、、、あいつらは害はないだろう、浮遊してるだけだしねぇ』
『そうなんだけどね、この世界でどう変化するかわからないし、早めにむこうに送り返したいのよ』
『ふむ』
『だから回収してちょうだい、わたしはシステム修復と強化で忙しいから』
『仕方ないねぇ』
『回収用のアイテムは送るからそれを使ってね、、、まとまって対処できないようなら連絡して』
『わかったよ』
『それじゃ、お願い』
通信が切れると少ししてプレゼントBOXに新着の通知が出た、箱型のアイコンをさわると小型の蜂が実体化した
魔力を使い起動させる蜂型ドローンよ、視界のリンクも可能で針の部分に強制転移が仕込んであるから雑霊を刺して専用フィールドに転移させてね
使い方のメモも入っており、1000体以上ある蜂型ドローンを見て、いったいどれだけの雑霊が入り込んだのか憂鬱になりながらも遊ぶ為の仕事と、雑霊の検索を条件に魔力を通しながら次々と起動してドローンを放っていった
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
静寂につつまれた竜宮学園の教室、今は前期中間考査中で空中に浮かぶ半透明のウィンドウを操作して解答欄を埋める者、間違いがないか見直す者が手を動かしている
『そこまで、それ以上やるなよー』
電子音とともに監督官から終了を告げられて試験ページの送信ウィンドウが出てきたので送信する、お疲れ様でしたの文字が浮かび上がり前期中間考査が終了した
「試験も終わりかぁ」
試験からの解放のためかいつもより騒がしくなった教室で軽く伸びをする、長時間同じ姿勢でいたから伸ばすと気持ちいいな
『お疲れさん、竜宮城』
『お疲れ、それと竜宮城言うな』
いつものように竜宮城といじってくるのは悪友の彰だ
『鐘一くんお疲れ様』
『鐘ちゃんお疲れ様』
彰の幼馴染の彩さんと俺の幼馴染の伊吹もやって来ていつものメンバーが俺の周りに勢揃いした
『試験終わったから、やっとDDO出来るよ』
「俺は試験中もやってだけどね」
『余裕だな』
「普段から予復習してれば、問題ないからね」
『彰にも見習って欲しいわ』
直前のテスト勉強で苦労したのかため息をしながら彩さんは彰をみた
『そういえば明日だっけ?なんかイベント告知来てたよな』
「そうなの?」
『ハロウィンイベだったはずだよ、鐘ちゃん』
「ハロウィン?」
加速イベント延期から4週間近くたってるが、6月中旬でなぜハロウィン?
『竜宮城は黄金週間終わりに始めたんだよな?』
「そうだね」
『ゲーム内の時間は4倍だから、リアル1週間でゲーム内1ヶ月なんだよ、4月1日から11週経ったら、11月だろ』
「あぁ、ハロウィンは10月31日だっけ?」
『そうそう』
『でも春にハロウィンっていうのも変な感じね』
「春?」
『鐘ちゃん、DDOの1ヶ月は28日、13ヶ月で1年なのよ、四季があって1年で変わるのよ』
ちょっと前まで砂漠の近くにいたから季節なんてわからなかったな、良い天気だなぐらいにしか思わなかった
『去年とかハロウィンイベは秋の10月最終日だったから、春に開催とかいきなりよね、告知も直前だし』
『でも今年は専用フィールドらしいから、はじまりの街まで戻らなくてすむな』
春のハロウィンイベントは専用フィールドでするのか、今いる運河都市サンテールからでも参加出来そうだな
『竜宮城もハロウィンイベやるなら一緒にやらないか?』
「良いね、フレンド交換もまだだったしね」
『じゃあ、よろしくね』
せっかくだからリアフレでパーティー組んでハロウィンイベント楽しもうか




