奪還作戦 8
ヒナ回
相手の知合いらしい白髪に灰色の肌で角が生やした男から魔力が溢れ、いまだに荒れ狂う嵐を起こした玉に手をかざすと魔力ごとうちだしたように見えた
魔力塊は嵐の起点に向かうと嵐を静めながら上方へと昇って行く
『………メエェエーーー』
上から何かが叫びながら落ちて来て、地面に激突した
『………』
『………』
『………』
全員の視線が集まる中、地面に激突した山羊顔の人(?)はムクリと起き上がり周りを見渡して視線が集中してるのに固まる
『メェ……ってバアル様酷いですメェ』
『おー、無事だったか、悪い悪い、、、お前以外と頑丈ね』
再起動して角男を見つけると文句をいう山羊顔、角男はバアルって言うのね
全然悪いと思ってない様子で軽く答えるバアル、小声で頑丈とか言ってるのが聞こえたが山羊顔には聞こえなかったようだ
『おっと』
バアルがこちらを向き、相手の男が斬りかかって来たのを受けとめた、乱入してきた二人に気をとられて油断し過ぎだ
『なんで、止めたバアル』
『不意打ちじゃあ、つまんないだろリョータ、やるなら楽しませてくれよ』
バアルの言葉に舌打ちしながらも離れて行く
『アンタもそれでいいよな』
『えぇ』
リョータと呼ばれた相手に向き直る
『そうだ、実験も回収も済んでるから、これが終わったら引き上げるからな』
『わかった』
短く答えて、正面から突っ込んでくる
肩は問題なく動くわね、こっちも相手に向かって行きながら炎で剣を作る
相手の攻撃を土魔術で少し盛り上げていた段差を蹴ることでバックステップして回避、続いて背後の土を盛り上げ蹴ることで加速して突きを入れる
『あまい』
態勢を建て直したところにきた突きを払いのけようとした、私は払われる流れに抗わず流れるように回転して体重を乗せた一撃へと繋げる
『なっ!?』
体重を乗せた攻撃を受けて吹き飛ぶリョータ、すかさず土魔術で礫を作り追撃を放つ
礫で固めてる間に背後に別の魔術を用意する
『魔術の並列起動か』
バアルが面白そうにつぶやく、間もなく魔術が完成してリョータを岩の檻に閉じこめることに成功した
『あなたは、、、どうするの?』
乱れた息を整えながらバアルに聞く
『やりたいのはやまやまなんだがねぇ』
バアルが近づいてくる、身構えつつ周りを確認するけど山羊顔がいつの間にかいない
「ヒナさん」
山羊顔がどこにいるのか探そうとしたらリューイの声が聞こえた
『リューイ』
入口の方からリューイが姿を見せこちらにかけよってくるのが見えた
「大丈夫?」
『えぇ、どうしてここに』
「連絡しようとしたら繋がらなくて心配で来たんだよ」
連絡なんかあったかなと、魔道具を探すがみあたらない、どうやら戦闘中に通信の魔道具を落としたみたいね
『ふむ』
バアルがリューイをみてなんか確認しているみたいだ
『ちょっと遊ぶか』
バアルが楽しそうにつぶやくと手を地面へとかざすつぶやきとは違い禍禍しい光を放つ赤黒い魔法陣が浮かび上がった




